みなさんこんにちは。ことしもISMRMのランチョンセミナーレポートをいたしますね!
新機種Vida(ビーダ)
シーメンスでは、3月のECRでVida(ビーダ)という機種を発表しました。
この機種は、以下のスライドで示されるように
- 3テスラ、70cmワイドボア、55x55x50cmの広い視野サイズ
- 自由呼吸下スキャン(圧縮センシングとGRASP-VIBE法(後述)による)
- 最高で128のRFチャンネル
- 最大傾斜磁場60mT/m、Slew rate 200T/m/sの強い勾配磁場
の基本性能を有していますが、さらに特徴があります。
BioMatrix
この機種に最初に搭載され、また今後のシーメンスのスキャナーに展開されていく技術として、「BioMatrix(バイオマトリックス)」と呼ばれるものが発表になっていました。これは自動的に患者の特性に合わせて検査ができることを目指しているようです。
バイオマトリックスは次の3つからなっています。
- Smart sensors:天板に2つのセンサーが取り付けられており、患者の電磁場の変化を検知して心電図および呼吸同期ができます(センサーを別途付ける必要がない)
- Intelligent coils:コイル自体で患者形状に合わせたshimmingができます。
- Intuitive(直感的) body model:直感的な撮影範囲の設定ができます。
新しい自由呼吸化撮影法ー GRASP-VIBE
撮影法としては、今までの高速撮影法としてのVIBE→Radial VIBEの発展形として、Golden angleとcompressed sensingを用いた GRASP-VIBEというのが発表になっていました。GRASPは「Golden-Angle Radial Sparse Paralle MRI」という言葉の略のようです(Rがないけど、たぶん発音からそんな感じにしているのではないかと思います)。Golden angleでradialに撮影しますが、データの疎性(Sparse性)を利用して撮影する、compressed sensingの技術を用いているのでより高速に撮影できます。→「臨床画像」6月号の最新MRI特集で分かりやすい解説があります。
で、とにかく自由呼吸下で、高分解能3D gradient echoが撮れちゃうということです。
シーメンスでは、Compressed Sensingは、このGRASP-VIBEと心臓Cineの2つに提供するようです。そのほか、WIPとして、MRAやMRCP,磁化率アーチファクトに強い撮影などを開発していくとのことでした。
KinetCor社の、患者モニタカメラ→Motion Correction
また、面白かったのが、今後のBioMatrixのひとつとして、今回ハワイのスタートアップ企業で賞をもらったKinetCor社(Jeffrey Yu CEO)の開発した面白い患者監視カメラを採用するとのことでした。
詳細はわかりませんが、ヘッドコイルの上(ボアの上壁)にいくつかのカメラが取り付けられており、患者の顔が動くことを検知して、motion artifactを防ぐという技術のようです。
そういえば、自分のテスラ(モデルS=自動運転機能がついている)は、この間まで単眼カメラ映像(とレーダー)で自動運転をしていましたが、マイナーチェンジによりフロントカメラが3つに増えました。MRI版の自動運転みたいですね。
7T装置がいよいよ臨床機に
そのほか7テスラのニュースとして、
510K pendingになったとのことですので、臨床用として認可間近のようです。
0.4mmの分解能の脳MRAや
0.2mmの分解能の脳SWIが供覧されました。
勾配磁場についても、最大傾斜磁場 300mT/m、Slew rate 200T/m/sの性能を有するものを2011年にすでに作っていましたが、
(NEW)MRIを馬力で表示する(笑)
今回Skyra Connectomという特殊な機種に搭載しました。ここでおもしろかったのは、馬力換算表示していたことで、33000馬力相当なんだそうです。MRIを馬力で示すっていうのはちょっと斬新ですね。
昨年、欧州に2台設置されたようです。
で、それで撮影されたTractographyが超キレイ。
拡大すると、こんな風に、なんか新たけのことか、フカヒレを食べてるときの感じになります。SUGEEE。しかし撮影される時のdB/dtってどうなっているんでしょうね。視野に火花散ったり、奇天烈な音声が聞こえたりしないのかしらん。
いまのは世界に4台だけの超スペシャルマシンですが、VidaのXT Gradientsというバージョンは、11000馬力だそうで、最大傾斜磁場/Slewrateは60/200とのこと。
(その2に続く)
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