MRIfan.netの皆さま、初めまして、順天堂大学医学部附属浦安病院 北條昇と申します。このたびは初めてこのようにレポートする機会をいただきました。シーメンスブースでMRIの説明をしてくださったのは、諸井さんでした。お忙しい中、丁寧に説明していただきありがとうございました。それでは始めます。
ニューリリース
今年の展示器は、1.5TのMAGNETOM Sempraでした。
このMRIは現場で直面する様々な課題へ対応することをコンセプトとして開発されており、安定した高画質な画像が提供できます。プラットフォームは他のラインナップ同様のVE11をベースとしているので、RESOLVE(Mutu shot EPI DWI:高分解能の歪のすくないDWI)やStar VIBE(Radial Scan:動きに強いT1強調画像)、Quiet Suit(静音化シーケンス)といった技術が使用可能です。
また、ランニングコストや設置面積にも配慮がされているのが大きな特徴です。ヘリウム循環用のポンプを必要時のみ稼働することで、電力が最大で30%削減できます。導入となった時、初期費用やランニングコストも考えられていることは非常にありがたいことです。
ソフト面では、シーメンスもGEに負けずと最近話題の圧縮センシング(Compressed Sensing:CS)について紹介していただきました。MRIの高速化は、高速スピンエコー・パラレルイメージングと進んできましたが、CSによって革命的速さになりました。提示していただいた症例では、心臓シネ撮像で複数回の息止めで4分半の時間がかかっていたものが、CSによって一回16秒の息止めで完了できています。実に16.8倍の速さです。
(愛媛大学の城戸倫之先生がSCMR2015で発表されたもの)。
これは速さだけでなく、1断面を1心拍で撮像するので不整脈にも強い手法となります。また心臓のパーフュージョンでは、後半息止めが出来なくなって動いてしまうところを、静止している時相に対してレジストできるようになり、ROIを置いてカーブを描いたり定量したりすることが簡便に行えるようになるようです。これは臓器の輪郭や周囲臓器とのコントラストの問題から心臓だけの機能ですが、他部位でもできると検査の幅が増えると思います。
この他にもSMSによる多軸DWIの高速化やfunctional imageの賦活部位の改善など魅力的な技術を紹介していただきました。今後のMRIは高速化・動きの補正・定量化をテーマに発展していくとのことでした。
writer紹介
順天堂大学医学部附属浦安病院 放射線科 北條昇
紹介文:MRIの進化に自分の進歩が追いつかず、日々研鑽しなければと思いつつ、そうともいかず…という日常。色々とアドバイスをくれる方々に感謝しつつ、これからも頑張ります。
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