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Radial scanについて少しだけ理解を深める
- 2024/11/29
- BLOG, Education, Siemens, 撮像のワンポイントアドバイス
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<新企画>「撮像のワンポイントアドバイス」 ★~★★★までの難易度を設定し、MRIにおける基本的な注意点や撮像のポイントなどをまとめていくコンテンツです。初学者の方やローテーターの方など是非ご一読ください!
今回の「撮像のワンポイントアドバイス」の難易度は★です。
この記事は市立函館病院畠山遼兵が担当します。
このアーチファクトは??
Fig.1 BLADE artifact
皆さんはこの横断像(位相方向:AP)を見た時に、アーチファクト(オレンジ点線内)の改善方法がわかりますか??
Radial scan(Siemens社:BLADE)を使用した際、両腕にsaturation pulseの印加を忘れてしまうとFig.1のような折り返しアーチファクトが発生する場合があります。 しかし、saturation pulseの利用だけが改善方法ではありません。今回はBLADEの代表的なパラメータと画像の関係について理解を深めたいと思います。
Fig.2 ファントム配置図
この実験では、Fig.2のように大きなボトルファントムを体幹部に、小さなボトルファントムを腕に見立てて配置しています。
Phase Over Sampling(POS)
Cartecian収集において折り返しアーチファクトを抑制する際に、Over Samplingを使用することがあると思います。これはBLADEにおいても同様となりますが、重要なのは位相方向に関わらず、FOV周囲が全て折り返しアーチファクトの原因になるということです。
Fig.3 POSと画像の関係
Fig.3を見てみるとPOSが0 %〜100 %まで変化するにつれて、アーチファクト発生がどのように変化しているかがわかります。
①:0%~④:50 %を拡大して観察すると
Fig.4 POS:0%~50 %の拡大画像
Fig.4をみるとPOSが0 %の時にはファントム内にアーチファクトを認めますが、POSを増加させるにつれアーチファクトが外側に描出されていくのがわかります。また、アーチファクトの数は増加しますが、アーチファクト形状が認識できなくなっていくことがわかります。
つまりPOSには、アーチファクトを外側に描出させ、目立たなくする効果があります。しかし、過剰なPOSは撮像時間を延長しますので注意が必要です。
BLADE coverage
BLADE coverageは、k-spaceを埋めるBLADEの密度を決定するパラメータで、100 %はBLADE間の隙間がない状態を意味します。
Fig.5 BLADE coverageと画像の関係
Fig.5を見ると、BLADE coverageを増加させてもアーチファクトの位置は変わらないものの、その数は増加し、次第に目立たなくなっていくのがわかります。BLADE法を用いる際には、POSやBLADE coverageを上手く調整することで、アーチファクトをFOVの外側に移動させたり目立たなくすることが可能となります。
Saturation pulseの適正化
Fig.6 saturation pulse幅とアーチファクト変化
saturation pulseの有効な活用法については、以前の記事「★ Presaturation Pulseをより効果的に 〜Motion artifact対策」をご参照ください。
腕を消すためのsaturation pulseの設定においても、最適化されたsaturation pulseが折り返しアーチファクト抑制に有効です(Fig.6 右)
各パラメータを丁寧に使用することで、より質の高い画像を取得できます。MRIは可変パラメータが多く難しいモダリティですが、MRI担当者の技術や知識が問われる場面も多いです。この積み重ねが医師からの信頼につながり、最終的に患者さんに還元されていくのだと思います。
「あの技師さんが撮像した画像はわかりやすい」と言われるような技師になりたいですね!
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