- Home
- 「マグネットつけまつげ」知ってましたか?
「マグネットつけまつげ」知ってましたか?
- 2021/7/12
- Other Writers, 安全情報
- コメントを書く
はじめに
みなさま、はじめまして。東筑病院 野中 康行 と申します。
東筑病院は福岡県北九州市にある、199床の内科専門病院として、種々の内科疾患に対応しています。
また、併設の施設や近隣の病院・クリニックさんと協力して、地域医療に貢献できるように日々邁進しております。
「マグネットつけまつげ」知ってました?
先日、こんなネット記事が目に止まりました。
眉カット2ヶ月待ちに珍品『マグネットつけま』がヒット 一方、ネイルサロンは倒産増と明暗くっきり(記事の詳細はコチラ)
記事全体に特別興味は無かったのですが、「マグネットつけま」が気になり、記事を読んでしまいました。
その名の通り、磁石の力を利用しているつけまつげです。
記事によると、2016 年頃から YouTube などで密かに話題になっていたらしく、10~20 代の一部の間で話題になり、with マスク時代の今、30~40 代にも徐々に広まりつつあるのだとか。
主流はアイライン式
取り付け方式は、サンドウィッチ式とアイライン式があります。
サンドウィッチ式は自まつ毛を 2 つのマグネットつけまで上下から挟み込むもの、アイライン式は、アイラインに含まれる磁性体にマグネットつけまを吸着させるというもの。
日本では後者が主流だそうです。
メーカーによってアイラインの成分やつけまつげの磁石の強さなど違いがあると思います が、1つの商品で実際に試してみました。
試しに使ってみた
つけまつげには、5 個の小さな磁石が構成されていました。
厚紙にアイラインを塗って、それにマグネットつけまを近づけてみました。
離れた距離では特に引っ張られる感覚はありませんでした。
そのまま近づけると、残り数 mm くらいでひっぱられ、写真のようにくっつきました。
軽く振ったくらいでは落ちませんでした。
属探知機では?
当院で使用している金属探知機で探知できるか試しましたが、アイライン、つけまつげのどちらも反応はありませんでした。
磁石としてよく用いられているフェライト磁石は、一般的な金属探知機では反応せず、高性能な磁性体検知器でないと反応しないようです。
エレキバンや磁気ネックレスなども、フェライト磁石を使用しているものが多いようです。
装置への吸引はどうか?
興味本位でアイラインをそのまま近づけてみると(もしもの時に飛散しないようにラップを巻きました)、見事に吸引されました。
容器はプラスチック製と記載されていました(中◯製なので何とも言えませんが)ので、アイライン自体に強磁性物質が含まれていることがわかります。
次に、マグネットつけまが、ガントリー近くでどのような動きをするのか、厚紙に付けた状態で試してみました。
アイライン自体が少し粘着質だったので、アイラインにつけまつげを押し付けて、磁力と粘着力で厚紙に付いている状態でMR 装置に近づけると・・・
ガントリーの開口部に近くなった時、端のほうから剥がれていきました。
人が使用してる場合でも、ガントリー開口部あたりでつけまが外れるか、瞼が引っ張られるかして気づくと思います。
アーチファクトは?
最後にどの程度アーチファクトがでるのか試してみました。
1.5T 装置、EPI-T2*WI で撮像しました。
左がアイラインのみ、右がアイラインの隣につけまつげを配置して撮像したものです。
当然のごとくアーチファクトが出現しました。
アイラインのアーチファクトに関しては、そこまで強くはない印象でした。
意外な落とし穴かも!?
検査時の化粧などの対応に関しては、施設によって多少異なるかもしれません。
「必ずノーメイクで」とする施設もあれば、「何か違和感があればブザーを鳴らして」という施設もあると思います。
しかし存在を知らなければ、まさかつけまつげに磁石が入ってるなんて思いもしないので、問診や金属探知機をすり抜けて持ち込まれるかもしれません。
大事故につながるものではないのかもしれませんが、瞼の火傷やつけまつげの吸着、またそれによる検査の遅延に繋がる可能性があります。
MRI 検査の問診票や注意喚起のポスターをいくつか見ても、「磁石 NG!」と明記されているものはあまり見つからず、意外と確認が抜けているのではないかと思いました。
技師は当たり前に NG だと思っていても、一般の方はそう感じていないことは案外あると思います。
頻繁にあることでは無いとは思いますが、頭の片隅に入れておいても損はないと思います。
ライター紹介
東筑病院 野中 康行(のなか やすゆき)
MRI装置に振り回されながらも、何とか使いこなせるように、臨床に役立つ知識を身につけて患者さんに還元できるように日々格闘しています。
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。