- Home
- ★ほんのひと工夫でここまで変わる!手指MRIポジショニング
★ほんのひと工夫でここまで変わる!手指MRIポジショニング
- 2026/1/9
- BLOG, Education, 撮像のワンポイントアドバイス
- コメントを書く
<新企画>「撮像のワンポイントアドバイス」
★〜★★★までの難易度を設定し、MRIにおける基本的な注意点や撮像のポイントなどをまとめていくコンテンツです。初学者の方やローテーターの方など是非ご一読ください!
今回の「撮像のワンポイントアドバイス」の難易度は★ひとつです。
YouTubeショート動画もご覧ください:https://www.youtube.com/shorts/p1cAEIztA10?feature=share
はじめに
みなさんは、手指における腫瘍を精査するMRIの検査でどの脂肪抑制法を使用していますか?
周波数非選択的脂肪抑制法(STIR)は磁場不均一性への影響が小さく、均一な脂肪信号の抑制が得られる利点があります1)。しかし、STIRは脂肪の信号を抑制するだけでなく、脂肪と同様のT1値を持つ組織も抑制する可能性があります2)。
一方で、周波数選択的脂肪抑制法(CHESS、SPIR/SPAIRなど)は、読影医から病変と脂肪の識別性・コントラストが良好との声が多く、脂肪のみを選択的に抑制できるという利点があります2)。ただし、3.0T装置ではB₀および B₁の不均一性が強く出ることがあり、信号ムラが目立つ、また周波数選択的脂肪抑制がうまく効かない1)という欠点があります。
このような欠点を改善するため今回はポジショニングを見直して、明日からすぐ実践できる方法を3つご紹介します。
ポジショニングにおける3つの方法
装置はフィリップス Ingenia CX 3.0T、コイルはSmall Extremity coil(8ch)を使用しました。撮像シーケンスはFS T2WI(SPIR)です。
①対象部位をセンターに配置する
対象部位をできるだけ装置のアイソセンター(磁場中心)に配置することは、B₀/B₁ の不均一性を減らす上で非常に効果的です。Fig.1に対象部位がセンター配置とオフセンター配置の画像の違いを表示します。

センター配置の画像では、指の各側縁でも脂肪抑制が均一にかかっておりコントラストは良好です。一方、オフセンター配置になると、装置端側で脂肪残存や水抑制による信号低下が見られることがあります。これは、周波数選択的脂肪抑制法がB₀および B₁の不均一に敏感なためであり、周波数のズレが脂肪信号の抑制不良や水信号の偽抑制を生み出す要因となります1)。また、患者さんの背中側にクッションをおいて体勢を斜めにすることで対象をよりセンターに配置することができます(Fig.2)。

②指はできるだけ閉じて空気の層がないようにする
指と指、あるいは指とコイル内壁との間に空気の隙間があるとB₁の励起効率が低下したり4)、空気と組織の境界面で磁化率アーチファクトが生じたりします。なので、検査時に指同士をできるだけ近づけて、指先を伸ばすことで空気層を減らすように心がけます。また、小さなクッションを使い隙間を埋めるようにすることも有効で、隙間を埋めることは動きの抑制にもつながります(Fig.3)。

③磁化率低減パッド(BB弾)の使用により脂肪抑制ムラを減らす
磁化率低減パッドとしてBB弾をストッキングなどに詰め、ポジショニング時に指または手の下/周囲に敷くことで、コイルと手指のあいだの空気層を減らし、B₁の不均一を軽減します(Fig.4)。

オフセンター配置でもBB弾を詰めたものを配置した方が、用いないものより明らかに脂肪信号の抑制不良や水信号の偽抑制が少ないことが確認できます(Fig.5)。また、BB弾ではなく米5)やガラスビーズ6)、小麦粉7)などを使った報告もあります。

おわりに
今回は、手指の選択的脂肪抑制撮像におけるポジショニングのちょっとした工夫を3つ紹介しました。
ほとんどが特別な準備を要せず、ポジショニング時に少し注意を払うだけで抑制ムラをかなり減らせます。ですが、最優先は患者さんに快適に検査を受けていただくことです。患者さんの負担がない範囲で皆様も試してみてはいかがでしょうか?
臨床での皆様の一助となれば幸いです。
Reference
1)Del Grande F, Santini F, Herzka DA, Aro MR, Dean CW, Gold GE, et al.Fat-Suppression Techniques for 3-T MR Imaging of the Musculoskeletal System.Radiographics.2014;34(1):217-233.DOI:10.1148/rg.341135130.
2)Krinsky G, Rofsky NM, Weinreb JC.Nonspecificity of short inversion time inversion recovery (STIR) as a technique of fat suppression: Pitfalls in image interpretation.Am J Roentgenol.1996;166(3):523-526.DOI:10.2214/ajr.166.3.8623620.
3)Maruyama K, Takahara T, Kwee TC, et al.Lingering fat signals with CHESS fat suppression caused by B₀ field inhomogeneity in bilateral hands: Effectiveness of using rice pads for MR imaging.Eur Radiol.2014;24(9):2258-2264.DOI:10.1007/s00330-014-3228-8.
4)Park M, Noh H, Park N.Mode hybridization of dielectric pads with an air gap for human head imaging at 7T MRI.Scientific Reports.2020; 10:11752.DOI:10.1038/s41598-020-68651-6.
5)Takahara T, Kwee TC, Haradome H, et al.Comparison of rice pads and perfluorocarbon liquid pads for improvement of fat suppression in magnetic resonance imaging of the hands.Magn Reson Med Sci.2014;13(1):1-6.DOI:10.2463/mrms.2013-0015.
6)Shiina R, Ogura A, Takeuchi T, Nakano H.Improvement of Fat Suppression and Artifact Reduction in Finger and Neck MRI by Using Small Glass Beads.Jpn J Radiol.2019;37(1):1-6.DOI:10.1007/s11604-018-0780-3.
7)Moriya S, Miki Y, Miyati T, Kanagaki M, Yokobayashi T.Flour pads: devices to improve CHESS fat suppression.Magn Reson Med Sci.2014;13(1):33-8.DOI:10.2463/mrms.2013-0030.
ライター情報

畠山英久と申します。東千葉メディカルセンター放射線部に所属し、放射線技師歴は7年目になります。
日々の業務では、検査を受けられる患者さんと協力しながら、一緒に一枚の画像を作り上げるような気持ちで撮影に取り組んでいます。安心して検査を受けていただけるよう声かけや説明を大切にしつつ、患者さんと同じ目線で検査に向き合うことを心がけています。
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)


































この記事へのコメントはありません。