ISMRM2017 Siemensランチョンセミナー (2) MRF, 英語のお勉強

MR Fingerprinting  (「臨床画像」2017年6月号掲載)

そのほか、MR Fingerprintingのことが示されました。
MRFは、一言で言うと、(1) (今までは固定して撮影しなければならなかった)パラメータを撮影中に変化させて、(2) 得られた信号を、すでに取得している辞書(T1, T2, PDなどの組み合わせごとに持っている)と比較することで、解析対象のピクセルのT1値、T2値、PDなどを求めてしまうことです。求めてしまえば、Synthetic MRIで実現したように、どんなコントラストの画像も作り出せるわけですね。

このスライドは、MRFで撮影した髄膜腫のデータから、T1mapとT2mapを作成したものです。今のところ人間としてはT1強調画像、T2強調画像でみたほうが慣れていて自然に感じる訳ですが、将来的には、T1map, T2mapをみたほうが「分かる」ということも起こるかもしれないし、そもそも人間自体が突然不要になる可能性も秘めていると思います。また、写真右のように、T1, T2 mapの2Dのデータに展開すると、その分布しているところ(cluster)に特徴があれば、それが何かということがより分かるわけですよね。ビッグデータはこれを高次元でやっちゃうわけです。音楽がヒット曲になるかどうかも、過去のヒットしたclusterに当てはまるかどうかで点数化されて売り出すかどうか決めているのそうですから、近い将来、相当変わってくると思います。

Big Dataと英語(セミコロン)の勉強

そのほか、今年は各社Big dataのことに触れているわけですけれども、Duke大学のDan Arlely氏の言葉が紹介されていました。

ビッグデータは、ティーン・エイジャーのセックスと同じだ誰もがそれを話題にするけど、本当にどのように上手にするのかということは誰も詳しく知らないし、誰もが『他の人は皆それをしている』と考えていて、だから『自分もそれをしてる』って主張したがるんだ。」・・・みたいな感じでしょうか。なるほど〜。

ちなみに、「;(セミコロン)」がこの文で印象的に使われているので、ついでに英語表現を学びましょう。

セミコロン(;)はイコールの意味

上記の文章で。「:」の前と後のところは、同じことを別の言葉で説明しているというふうにすぐに分かって読むわけなんです。

いくつかの例で覚えよう

Thomas Kwee先生が書いてくれた文章で勉強してみましょう。

例1:患者さんの年齢などを書くときもセミコロンを使います(患者さんと、年齢・性別はイコールだから)。

Ten healthy volunteers (eight men and two women; mean age, 33.5 years; age range, 23–45 years) prospectively underwent DWI of the liver.

8人のボランティア(男8、女2平均年齢 33.5歳23〜45歳)が肝臓のDWI撮影を受けた。

 

例2:こんな風に、最後にセミコロンと単語を置くと、とても印象的になります。

This report describes and demonstrates a magnetic resonance-based approach that is capable of selectively visualizing the peripheral nervous system over long trajectories in a single examinationwhole-body magnetic resonance neurography.

[このレポートは、一回の撮影で神経の通り道を選択的に描出する、MRIベースのアプローチすなわち全身MR-neurography 、について説明し、例示するものです](日本語ではこの例の場合、最後に置き難く、英語で書くとより印象的になる例でもあります)

 

例3:以下の例は、冒頭に「同じような結果が絞扼性総腸閉塞の患者でも認められる」となっていて、そのあとに長い長い英語が続きますが、これら部分がすべて、前文の具体的内容を説明している、ということさえわかれば、実はとても読みやすくなるんですね。

Similar results were seen in the patients with (strangulated) SBO; signal preservation ratio (defined as the ratio of signal intensity at a b- value of 50 s/mm2 and signal intensity at a b-value of 0 s/mm2) was best in the strangulated closed loop (where peristalsis is absent), followed by that near the obstructive site (where peristalsis is impaired but not completely absent), and followed by that far from the obstructive site (where relatively normal peristalsis is present), with significant differences between these three locations (Figure 4) [50].

[同様の結果が、絞扼性小腸閉塞の患者でも認められた;すなわち(1)信号残存率は絞扼された腸管において最高で、(2)閉塞部位近傍の正常腸管の値がそれに次ぎ、(3)閉塞部位から遠いところが最低だった。これらの間には有意差が認められた(説明のため詳細部分を省略)]

セミコロンの使いかた、わかりましたネ!


で、いまは2つのところからのデータを吸い上げていますが、

すぐに4つになるらしく、その後も増えていくのでしょう。

そのために強力なデータセンターと解析用コンピュータを構築します。

そして、今までは同じ絆創膏を貼っていましたが、

個人個人に合わせたprecision medicineに持っていく、というわけですね。

その3に続く

 

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tarorin東海大学工学部 医用生体工学科 教授

投稿者プロフィール

MRIの撮像・フィルム焼き・患者導入に従事していた経験を活かし、企・技・医の中間の立ち位置を大切にしています。モットーは研究結果を中立的に判断すること、皆で研究成果を愉しむことです。

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