SIEMENS-MRI新装置(Cima.X;シーマ.エックス)について
東京慈恵会医科大学附属病院の北川です。3年ぶりにITEMに参加させていただきました。
日曜日に参加させていただきましたが、大変多くの方が来場されており熱気がすごかったです。
今回、私(右側)と一緒にSIEMENSブースに訪問してくれたのは関東中央病院の坂井さん(中央)です。お忙しいところありがとうございます。またブース案内をしていただいたのはシーメンスの大木さん(左側)になります。
たっぷり大木さんから今年のSIEMENS-MRI装置の情報を聞き出しましたのでご報告させていただきます。
最新MRI装置のMAGNETOM Cima.X 3.0T(シーマとはスペイン語で頂点という意味だそうです!!)になります。MRIは『時間』と『画質』はトレードオフの関係にありますが、この装置はその常識を覆す技術が満載の装置です。以下にCima.X装置の全貌をお見せします!!
SIEMENS史上最強の3.0T-MRI装置が登場(MAGNETOM Cima.X)
MAGNETOM Cima.X の特長は
- 商用機としては初の最大傾斜磁場強度200T/m という超強力傾斜磁場コイル(Gemini Gradients)を搭載した装置である。
(画像提供シーメンスヘルスケア株式会社)
- Deep Resolve技術とGemini Gradientsを組み合わせることで従来困難であった撮像を臨床に用いることができる。
(画像提供シーメンスヘルスケア株式会社)
(画像提供シーメンスヘルスケア株式会社)
Gemini Gradientsの特長について
- Multi-GPA(グラディエントパワーアンプリファイア) Technologyについて
MAGNETOM Cima.Xに搭載されているGemini Gradientsは、Connectome scannerから着想を得たMulti-GPA Technologyを搭載し、2つのGPA(グラディエントパワーアンプリファイア;ロケットのエンジンのようにMRI装置の研究開発において最も重要なキーコンポーネントの一つである)を同時駆動させることにより最大傾斜磁場強度 200mT/mという強力なパワーを実現するようです。この恩恵は拡散強調画像の画質を大きく変えます。
【引用HP;https://www.siemens-healthineers.com/jp/magnetic-resonance-imaging/3t-mri-scanner/magnetom-cima-x#unprecedented-gradients-strength】
(画像提供シーメンスヘルスケア株式会社)
- HydroCoreCooling
超強力な傾斜磁場を用いることで傾斜磁場コイルの発熱が生じます。その際に冷却に必要な時間が延長するため撮像時間の延長が問題となります。そこで今回新たな水冷技術としてHydroCoreCoolingという技術を搭載しています。従来の水冷技術と違って、傾斜磁場コイル内の空内導体に冷却水を通すことで効率の良い冷却を実現し撮像時間を短縮できるようです。
(画像提供シーメンスヘルスケア株式会社)
AIを用いた画像再構成アプリケーション「Deep Resolve」には2つの顔を持つ!!
(画像提供シーメンスヘルスケア株式会社)
●Deep Resolve Gain & Sharp技術とは?
Deep Resolve Gainはインテリジェントノイズマップを用いたデノイズの技術で、局所的なノイズに対応し、高いSNRの画像を再構成します。Iterative Reconstructionを用いることでノイズを除去するとともに再現性を高めています。つまり高いPAT factorで撮像した場合に生じるノイズを除去し、かつSNRの高い検査が短時間で行える技術のようです。またDeep Resolve Sharpは低分解能なデータと高分解能なデータを用いて学習したDeep Neural Network(DNN)を用いた技術となり、低分解能な収集データから高分解能な画像を再構成することができます。Raw dataとCross checkを行い、取得Rawデータを再構成に用いることで再現性を確保しているようです。これらにより撮像時間を延長することなく、高分解能なデータを得ることができます。また、収集分解能を下げて撮像を行うことにより、撮像時間を短縮しつつ従来と同等の分解能を得ることもできます。
●Deep Resolve Boost技術とは?
Deep Resolve Boostは繰り返し計算にディープニューラルネットワーク(以下、DNN)を組み込み、複数のDNNを経由することで、精度の高いノイズ低減が可能となります。教師データにパラレルイメージングを用いていないデータとパラレルイメージング高倍速のデータを用いていることで、非常に高いPAT factor(臨床の現場でPAT4以上は普通使用しません)を用いた撮像を実現することができます。多断面同時励起技術SMSとの併用も可能となり、MRIの原理上難しかった高速化と高画質化を同時に実現し可能になる技術です。
【引用HP;https://www.siemens-healthineers.com/jp/magnetic-resonance-imaging/technologies-and-innovations/deep-resolve】
(画像提供シーメンスヘルスケア株式会社)
(画像提供シーメンスヘルスケア株式会社)
Deep Resolve技術に3Dシーケンスである(VIBEとSPACE)が追加される予定です!!
現在までDeep Resolve技術は2Dシーケンスしか使用できませんでしたが、なんと3DシーケンスであるVIBEとSPACEが利用可能になる予定だそうです!!
これは、今までの常識を覆す画像提供が可能になるのではないかと思います。
私が考えているのは乳腺MRI-Dynamic検査で0.1㎜×0.1㎜×0.1㎜の分解能で乳腺領域を1分程度撮像できるシーケンスを作って病理画像like-Dynamic検査を考えたいですね!!
(画像提供シーメンスヘルスケア株式会社)
(画像提供シーメンスヘルスケア株式会社)
今年度、ご紹介いただいたSIEMENSの技術改良は凄かったです。
素晴らしい解説と共に多くの臨床画像を提供して下さったSIEMENSの皆さまに感謝申し上げます。
本当に有難う御座いました。
2024年ITEMに参加出来なかった皆さんにこの興奮が少しでも伝わると良いです。では。。
最後に!!シーメンスのブースに飾られていたポスター
シーメンスユーザのみなさんへ、みなさんはどんな装置でお世話になりましたか?
わたしの初号機はImpact1.0T(ヌマリス)でした。
さて10年後はどんなMRI装置が出てどんな医療に変わっているのでしょうかね?!
でも、変わっちゃいけないのは”画像の向こう側の患者を常に診る(見る)”というマインドですかね!!(^^♪
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