- Home
- ★★Flip angleの基礎 ~導入~
★★Flip angleの基礎 ~導入~
- 2026/9/4
- BLOG, Education, 撮像のワンポイントアドバイス
- コメントを書く
<新企画>「撮像のワンポイントアドバイス」
★〜★★★までの難易度を設定し、MRIにおける基本的な注意点や撮像のポイントなどをまとめていくコンテンツです。初学者の方やローテーターの方など是非ご一読ください!
YouTubeショート動画もご覧ください:https://www.youtube.com/shorts/LMos_6yeD6w?feature=share
今回の「撮像のワンポイントアドバイス」の難易度は★★ふたつです。
等潤病院の鈴木大介です。今回は、Flip angle(FA)の基礎についてお話します。FAについてまとめようとすると、教科書1冊分くらい必要になるため、導入部分に触れていきますので、詳しい内容は専門書をご参照ください。
Flip angleってなに?
シーケンスチャートなどで90、180、αはFAで、印加されるRFパルスの強度であり、磁化ベクトルを倒す角度を表しています。これらの印加タイミングや組み合わせで発生するエコーをコントロールしています。
SEとGREでなぜFAが違う?「トンカチ」でイメージ!
FAを見ると、SEでは90、GREでは20といった部分フリップ角を使用しています。このようにシーケンスによってFAは大きく違います。
SEとGREの励起の違いをイメージしやすくするために、「トンカチ・釘・板・釘抜き」の4点セットでご説明します。板をxy平面と見立て、釘の長さを縦磁化成分、トンカチで叩く強さをFA、板に打ち込んだ釘を抜く速度をT1回復とします。
SEの励起パルスは90度ですので、トンカチを強く叩くため釘は深く打ち込まれます。そして、釘が深く打ち込まれているので、釘を抜いた際に大きな信号が発生すると言えます。
励起パルスのタイミングだけを考えると、トンカチを打つ間隔であるTRの長いSEでは90度のような大きなFAでも十分に釘抜きをする時間がある、つまり縦磁化が十分に回復すると言えます。
GREの励起パルスは部分フリップ角ですので、SEに比べて釘は浅く打ち込まれます。浅く打ち込まれている為、SEに比べて発生する信号は小さくなりますが、180度パルスがなく、TRの短いGREは釘を連続で打ち込むイメージになります。釘抜き、つまりT1回復の時間を確保するには、釘を浅く打つことが重要になり、その為には部分フリップ角を使用する必要があります。

GREにおけるFAの最適値
励起パルスのFAの最適値はシーケンスによって異なり、SEは90度、一方、GREは少々複雑になります。専門書でGREの信号強度式を見ていただくとわかりますが、縦磁化と横磁化の扱いが重要になります。また、励起の際に残留する横磁化の扱いによっても画像は変わりますが、詳細は専門書をご覧ください。
一例として頭部T2*強調画像を見ていきますと、長いTR=550msの場合、FA=20度位に設定しますが、仮にTR=50msに短縮するとFA=10度位に小さくする必要があります。このように同じFAでもTRが変わるだけで画像が大きく変化する為、GREのFAはTR、TEなどとセットで考える必要があります。

そこで1つの基準となるのがエルンスト角です。エルンスト角とは、GREで最も大きな信号が得られるFAの事です。実際にファントムを用いて、TRを変化させた時のエルンスト角を求めてみました。短いTRでは、グラフのピークはフリップアングルが小さいところにきます。TRが短い場合、縦磁化の回復が小さい為、フリップアングルを小さくする必要があります。 長いTRの場合は縦磁化は十分に回復する為、グラフのピークが90°付近にきています。このように信号が最大になるフリップアングル、エルンスト角は組織のT1値とTRによって決まります。
あくまで 1つの基準ですので、T1値が変化する造影後は変更が有効な場合もあります。

再収束パルスをコントロールする
再収束パルスによって、位相のずれた磁化ベクトルの位相が再度収束し、MR信号が発生します。では、再収束パルスの角度(Refocus Flip angle:RFA)がどのくらいの値なのかを見ると、高い信号強度、良好なコントラストが必要な場合は160度など比較的大きい値を設定します。 一方、良好なBlack-Blood(BB)効果を得たい場合は60度など小さく設定します。 このようにシーケンスによってRFAが大きく違うことがわかります。では、何が変わるのでしょうか。
RFAでは SAR、MT効果、BB効果をコントロールできます。
SARは、FAの二乗に比例しますので、RFAを小さくすることで低減することができます。
再収束パルスを何度も受けていると、結合水のプロトンが飽和して信号が減少していき、自由水もわずかに信号が低下します。しかし、脂肪は再収束パルスの影響を受けないため、相対的に信号強度が高くなります。その為、組織間のコントラストが低下してしまいます。このMT効果は、RFAを小さくするほど低減させることができます。
頭部FSEのT2強調画像を見ると、RFAを変化させると脳実質のコントラストが変化しており、脳実質の信号の変化にはMT効果が関係しています。

Black-Bloodイメージングでは血流信号の抑制が重要です。低いRFAは流体の位相が揃いにくくなり、強いBB効果につながります。RFA30度で強いBB効果が得られているように見えますが、一方でSNの低下が顕著に表れているため、BB効果・SN双方を考慮した設定が必要になります。

Fig.6にRFAでコントロールできることのまとめを示します。

今回は、FAの基礎として導入部分についてお話しました。FAの設定は画像に大きな変化をもたらすため理解が重要である一方、非常に難解なものです。
今回の記事が理解への足掛かりになれば幸いです。
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)



































この記事へのコメントはありません。