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はじめに
宮崎県立宮崎病院の持永晃佑と申します。今回は、脊髄に対して平行なMPG pulseを一軸のみ印加した拡散強調画像の撮像法についてご紹介いたします。
拡散の異方性を利用した撮像法について
脊髄領域のMRI撮像において、日常臨床で一般的に用いられる「三軸同時印加の等方性DWI」では、正常な脊髄の信号が高く表示されるため、脊髄梗塞の病変部とのコントラストが得にくく、診断に苦慮することがあります。
拡散の異方性を利用した一軸MPG印加法には、以下の特徴があります。
- 神経線維に対して垂直に一軸印加した場合: 水分子の拡散が抑えられるため高信号となります(DWI-Neurographyなどに利用)。
- 神経線維に対して平行に一軸印加した場合: 水分子の拡散が大きいため、正常な脊髄の信号が抑制(低下)します。
脊髄梗塞が疑われる症例において、体軸方向に強い異方性を持つ脊髄に対して平行にMPGパルスを一軸印加することで、正常な脊髄信号を抑え、病変の描出能を大幅に向上させることができます。
拡散の異方性については、撮像のワンポイントアドバイス「脳DWIのMPGの印加方向の違いによる簡易Tract image」で詳細に説明があります。
撮像のポイント
使用装置はSIEMENS 3.0T MAGNETOM Lumina、コイルは24ch spine coilを使用しています。
撮像断面は、スクリーニングを目的に広い範囲を撮像できるSagittal断面とし、位相方向をAP方向に設定した場合には、MPG pulseの印加軸をRead方向に設定することで、脊髄に対して平行なMPG pulseを印加することができます。撮像後は、MPRやMIPを作成することで病変の位置を認識しやすくなります。
当院では、スクリーニングを目的にSagittal断面で広い範囲を撮像し、MPRやMIPを作成することで病変の位置を認識しやすくしています。
臨床画像
弓部大動脈置換術後に両下肢麻痺が出現し、脊髄梗塞が疑われた症例です。
通常の三軸同時印加DWIでは病変の認識が困難でしたが、体軸方向に平行なMPGパルスを一軸のみ印加することで病変の描出能が著しく向上しました。ADC map上でも明確なADC値の低下が確認され、さらにMIP画像を作成することで病変の広がりが明瞭となり、脊髄梗塞の確定診断に至りました。
撮像時の注意点とメリット
【注意点】
MPGパルスを一軸のみ印加した b=1000 の信号値は、拡散方向に依存して変化します。神経線維に対して平行に印加すると見かけ上のADC値が上昇するため、ADC値の定量評価は必ず通常の三軸同時印加DWIで行う必要があります。
【本手法のメリット】
- 撮像時間の短縮: b=1000 のみの撮像に絞ることで、撮像時間が約半分になり、スクリーニングとして手軽に追加撮像が可能です。
- 高い汎用性: 装置やベンダーに依存せず、MPGパルスを一軸設定にするだけでどの施設でも簡単に導入できます。
今回ご紹介した撮像法が、皆様の日常診療や画像診断の一助となれば幸いです。
ライター紹介
宮崎県立宮崎病院 持永 晃佑(もちなが こうすけ)

趣味は釣り、ゴルフ、キャンプ、ファントム作成です。業務は週替わりのローテーション制のため、MRIに限らず幅広く担当しています!日々の業務では常に疑問を持ち、わからないことは追究しながら、より診断しやすい画像を提供できるように心掛けています。今後は臨床に有用な研究に取り組めるよう、さらに精進してまいりますので、学会等でお見かけの際はお気軽に「もっちー」とお声掛けいただけますと幸いです。
Chief Editor’s Comment
すばらしい臨床応用だと感動しました。このような工夫で病変を明確にできることは、本当にすごいことです。MPGを一軸でかけると、若干MPGのパワーが減りますが、この症例ではうまく描出できていますね。撮像時間が半分に減ることが述べられていますが、むしろ増やして、さらに病変を明確にする、という考え方も良いと思いました。広くみなさんに知られると良いですね。
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