MRIfan.netをご覧の皆様、こんにちは。聖麗メモリアル病院の石森文朗です。
私は月に2回、「すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック」にて非常勤としてMRI検査業務に従事しています。先日、同クリニックで80代女性のMRI検査を担当した際、日常の安全管理においてハッとさせられる出来事がありました。
患者様はパーキンソン病治療薬の「ニュープロパッチ」を貼付されており、本来ならばMRI検査前に剥がしていただく必要があります。しかし、付き添いのご家族(娘さん)から「主治医からは、ニュープロパッチは貼ったままでMRI検査を受けても大丈夫だと言われている」との申し出がありました。
私の認識では「ニュープロパッチ=支持体にアルミニウムを含むためMRI禁忌(除去必須)」であったため、ネットで最新の添付文書およびその他の情報を確認しました。その結果、ご家族の仰る通り、現在のニュープロパッチは仕様変更により「MRI対応(貼付したまま撮像可能)」となっていることが分かりました。
この経験から、私と同様に以前の知識のまま運用を続けている施設やスタッフも少なくないのではないかと考え、情報共有を目的として本稿を執筆いたしました。現場ですぐに役立つ識別ポイント等を整理しましたので、皆様の施設での安全確認にお役立てください。
変更の背景:支持体からのアルミニウム除去
従来のニュープロパッチがMRI検査時に剥離必須とされていた理由は、製剤の支持体(基布部分)にアルミニウムが使用されていたためです。MRIの高周波(RF)パルス照射により金属部分に誘導電流が生じ、貼付部位に熱傷を引き起こすリスクや、アーチファクトの原因となることが懸念されていました。
しかし、製剤の改良が行われ、2022年8月以降に製造・出荷された製品からは、支持体にアルミニウムが含まれない組成に変更されました。これに伴い、添付文書からも「MRI・AED・ジアテルミー実施時の除去」に関する注意事項が削除されています。
新旧製剤の見分け方
仕様変更から年月が経過しており、現在流通している製品のほとんどは新製剤(アルミ不使用)に切り替わっています。しかし、臨床現場において安全を担保するためには、貼付されているパッチ自体を目視で確認することが最も確実です。新旧製剤は、パッチ表面の印字によって明確に判別できます。
・旧製剤(MRI検査前に剥離が必要なタイプ):パッチ表面に「AED使用時はがす」という注意書きがあります。この印字がある場合はアルミニウムが含まれているため、従来通り検査前には必ず剥がしていただく必要があります。
・新製剤(剥離せずにMRI撮像が可能なタイプ):パッチ表面に「AED使用時はがす」という表記はなく、貼付した日付や時間を記入できる無地のスペース(日付記入欄)が設けられています。
現場での確認手順としては、パッチ表面を目視し、「文字(AED〜)の記載があれば除去が必要」「日付記入欄があり、注意書きの記載がなければそのまま撮像可能」と判断することができます。

臨床現場における運用上の注意点
実際の運用においては以下の3点にご留意ください。
1. 院内マニュアルおよび問診票の見直し
院内のMRI安全管理マニュアルにおいて「貼付剤のうち、ニコチネルパッチ、ニトロダーム、ニュープロパッチ等は一律除去」と規定されている場合は、最新の基準に基づいた改訂をご検討ください。不要な貼り替えを減らすことは、患者様の薬剤費負担の軽減や、治療効果の安定した維持に寄与します。
2. 長期保管された旧製剤を貼付している可能性
ご高齢の患者様などが、ご自宅で薬剤を長期間保管されているケースも想定されます。2022年7月以前に製造された旧製剤が現在も使用されている可能性は完全にゼロではないため、少しでも疑わしい場合は必ずパッチ表面の記載(「AED使用時はがす」の有無)を直接確認してください。
3. 他の金属含有貼付剤との混同防止
ニュープロパッチはMRI適合となりましたが、他の経皮吸収型製剤(一部の鎮痛消炎剤や海外製剤など)には、依然として金属成分を含むものが存在します。すべての貼付剤が安全になったわけではないため、製剤ごとの最新の電子添文および支持体組成を確認する基本原則はこれまで通り徹底してください(自分が言うのもなんですが)。
まとめ
- 2022年8月以降製造品より、ニュープロパッチはアルミニウム不使用となり、貼付したままのMRI検査が可能となりました。
- パッチ表面に「AED使用時はがす」の記載がないこと(日付記入欄があること)で、新製剤と判断できます。
- 知識のアップデートとマニュアルの最適化により、安全かつ円滑なMRI検査の運用をお願いいたします。
安全情報に関する知識を常に最新にアップデートすることは、患者様の不利益を防ぐためにも不可欠であると再認識させられた事例でした。皆様の施設の安全管理体制の向上に、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。
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