以前、映像情報メディカルに『ふみぽんが行く』という与太話エッセイを8年間にわたり連載させて頂いたことがありまして、毎年この時期になると『ITEM特集』というレポートを担当してました。 全ブースの全モダリティを1人で見て回り、新製品や新技術をご紹介する、という企画なのですが、これが非常に大変で、事前に各メーカーの広報の方にアポ取りし、プレス腕章を付けて会場の隅から隅まで見て回り、担当者様に説明して頂き、写真撮影(もちろん許可を取ってから)という作業をブースの数だけ行うという非常にハードなものでした。 この取材で最も大事な事は時間配分で、あるメーカーに突っ込みすぎると時間が大きく取られ、他のブースを見て回る時間が減ります。効率良く見て回るために、人気の展示は朝イチに訪問したり、時間指定でアポ取りする、など細かい工夫も必要でした。 また、ITEM特集号は映像情報メディカルの翌月号に掲載されるため、すぐに原稿を書く必要があり、帰宅直後に作成して一発校了。毎年よくやってたなあと自分でも思います。 この苦行から解放されて早三年(だったかな)、かつての取材のしんどさをついつい思い出してしまいました(^_^;)
さて、本題に入りまして、私の担当、GEのMR関連情報ですが、今年の目玉はSigna Pioneerのモックアップ展示と、技術情報として昨年に引き続き、1度のスキャンで様々な情報が得られる"MAGIC"と静音シーケンス"SILENT"、薬事未承認との事ですが、非造影4D-Flow技術"Vios Works"でした。GEブースではあちこちに上図のようなパネルが設置されており、iPhone/Androidアプリ"COCOAR2"を起動してQRコードを読むようにパネル画像をキャプチャすると、技術情報の動画が流れるという趣向でしたが、活用している人は皆無でした。 こちらはSigna Pioneer(3.0T)のモックアップです。ガントリサイズは3.0T装置としてはコンパクトです。
Signa Pioneer は日本国内に100名近くいる技術者とスタッフにより開発された準国産装置だそうです。 テーブルは現行は脱着不可ですが、脱着可能な製品も発売予定らしいです。脱着不能タイプにもメリットがありまして、テーブル走行が天板上を自走する構造になってるため、従来品のようにキャリッジがテーブルを引っ張る必要がないのでガントリ奥がスッキリしてます。 あとテーブルの昇降がとても早く、静音です。テーブル着脱が不要な施設なら、こちらの方がお勧めです。
コイルも新しい製品がいくつか出ており、特に足関節固定具付きの16chフレキシブルは軽量コンパクトで高い柔軟性があり、足関節に限らず、検査部位の形状に合わせてぴったりフィットするため、高精細かつ高SNRの画像を得られます。propeller併用で多少の動きはへっちゃらです。
頭頚部用コイル。従来品より格段に軽量化され、内部も広くなりました。 髪の長い女性でも、余裕で収まるような工夫がされてます。 テーブル内にボディコイルが内蔵されているため、頭頚部以外は、各種対応するフレキシブルコイルを 上に載せて巻き付けるだけです。この方式は、他のメーカーでも採用してますね。 患者情報や生体モニタリング、スキャン情報はガントリ付属の液晶モニタで確認できます。 ボディ用16chフレキシブルコイル。 足関節固定具付きフレキシブルコイル。もちろん足関節以外にも使えます。
テーブル横のガイド部分を指で押し込むと、そこがランドマークになる機能があります。これは便利。 これはSigna Exploreのモックアップ(実物大模型)ではなく、ガラスケースに入れられた縮小模型です。 細部まで良く作り込まれてます。家に飾っておきたいと思うのは私だけではないでしょう。 1回のスキャンでT1WI、T2WI、PDI、T1-FLAIR、T2-FLAIR、DIRの6種類のコントラストが一度に取れる"MAGIC"は昨年のITEMで発表されましたが、今年は臨床応用についてのお話もありました。多発性硬化症の検出にDIRが良いそうです。また、転移性脳腫瘍のメタ箇所を数えるのにMAGICにより再構成されたT1(造影後)が有用で、なぜかと言いますとMAGICには動きのあるものは無信号となる特徴があるため、造影された血管の描写や血流による影響が現れないので、メタ巣と血管を誤認する心配がありません。また、ゴーストが出ないという長所もあります。
SILENTも昨年のITEMで発表された静音技術ですが、今回は、小児科での使用経験や、脳血管内のコイル、ステント埋め込み後のzero-TE MRAなど、症例画像の提示がありました。 ある小児科では、SILENT撮影をルーチン化することにより、小児への鎮静や追加鎮静が劇的に減ったそうです。
最後になりますが、今年の本当の目玉、非造影4D-Flow技術"Vios Works"のご紹介、と行きたいところなんですが、薬事未承認なため掲載不可と言われましたf^_^; よって画像や詳しい情報を書く事はできませんが、ギリギリ許容される?レベルでご紹介します。 対象は主に心臓か脳血管となりますが、心臓の場合、心電図同期(脈波同期でも可)で自由呼吸下(ゲーティングあり)、約8分の撮影時間をかけて3D-PC法を撮影。得られた膨大なデータ(20GBあるそうです)を外部サーバーに送り、スーパーコンピュータで計算されたものをクラウドから引っ張ると、PCやタブレット上で血流が循環する動画が再生されます。端末でも動画のまま回転したり多断面再構成、流体のベクトル解析、さらにすごいのは心エコーと同様に心拍出量などの機能解析もできちゃう事です。 誰でも簡単に心機能検査ができるようになるかも? 脳血管の方は正常例のデモデータしかありませんでしたが、脳動静脈奇形とか硬膜動静脈瘻などの血管奇形や巨大動脈瘤の診断に有用そうです。 このあたりの説明、画像を提示すれば分かりやすいはずなんですが、、、 大人の事情で申し訳ありません。
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。