東芝のブースでは、新しい3T装置Galanと、あとグループ企業となったOlea社の解析が目玉のようでした。
昨年も紹介したアンビエントディスプレイのようなもの(上図のドーム状映像)は、そろそろ認可されるようです。今年はいろいろなものを投影できるようになっていました(下)
Galan 3T
Galan 3Tでは、新しい特許出願中の技術でSNRを上げたとのことです。下の図のように従来は、送信コイルからの送信は(本来の目的である)内部への送信だけでなく、外部への漏れが生じていましたが、これをシールドするものを付けることでSNRが向上したとのこと。ちなみに、こういったシールドをすると渦電流が発生しますが、これをうまく抑制できる「模様」がシールドにプリントされているとのことでした。
外部への漏れは「ノイズ」となってコイルにおける受信にも影響するため、外部漏れをなくすことにより受信ノイズも低減したとのこと。
そのために、以下に示すような高分解能画像が可能になり、また短時間で撮影ができるようになったそうです。
そのほか、4D-ASLであるmASTER(エムアスター)(フィリップスのCINEMAのようなもの)が可能になったそうです。さらに、mUTE(ミュート)では、静音化シークエンス(グラディエントスイッチングを少なくするシークエンス=GEのSlientScanのようなもの)を用いたもので、これを利用してmultiphaseのMRAもできるとのことでした。東芝はもともとコイルのPianissimo構造(真空パッケージ)が定評のあるとことなので、ハードとソフトの組み合わせによる騒音低減には自信を持っているようです。
そのほか元祖NC-MRAシークエンスであるFBIは、Variable FA対応となったそうです。SNR向上により大腿動脈からの細かな末梢血管が描出できたとのこと。
WIP
そのほかWIPとして以下のようなものがありました(写真はNGなので、テキストだけです)
検査時間短縮の試み
- Multi band imaging(MRマルチスライス技術により、広範囲を高分解能・短時間で収集可能とするもの)
- MR Finger printing(1スキャンで複数の画像コントラストやT1値やT2値などの定量値を得られるもの)
- CS_SPEEDER(Parallel imaging + CS*を組み合わせ、3Dだけでなく2Dにも適用。T2WIなど撮像時間短縮を可能とするもの)*CS=Compressed sensing
- Variable FA FBI(非造影MRA全下肢3ステーションを6分で撮像可能とするもの)
その他
- 2D excitation Time-SLIP(選択励起により、目的血管描出に不要な血管を低信号とするもの)
- Stack of stars(息止めのない自由呼吸下での造影検査が可能とするもの)=SiemensのStar VIBEに近い
Olea社の解析アプリ
Olea Medical社が傘下に入ったので、「Vitrea」(東芝のWS)にOleaの機能が一気に搭載されたようです。以下に簡単にいくつか紹介します。
1) Normalized Subtraction
前回と今回の検査画像を比較する際に有用で、(1) 位置あわせ(レジストレーション)と(2) 相対的なMR画像の信号値を「正規化」を行った上で、画像サブトラクションマップや信号変動割合のマップを作成するようです。腫瘍は過去より大きさが拡大したことが分かりやすく、MSは新たなな病変位置が分かる(赤矢印)
2) ベイズ推定法を利用した脳血流などの解析信頼性の向上
3) 漏出補正
BBBは造影剤を透過しないが、腫瘍における新生血管ではそうではないので、これを考慮してrCBVなどを算出する
4) IVIM解析
製品化まで行っているのはOlea社が唯一だそうです。
4) MAGiC like Sequence(Olea Nova+)
Olea社ではSyMRIとは異なった手法のSynthetic MRIを作成可能で、そのデモンストレーション。これはちょっと試してみたいですね。
以上、東芝MRIの報告でした。
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