はじめに
GEユーザーの皆さん、DWIBS撮影を始めてみませんか?DWIBSは、PET-CTにも代わりうる素晴らしい撮像方法です。私は、DWIBSがたくさんの施設で撮影されることを願っています。そこで、今回、皆さんのDWIBS撮影を始めるキッカケ作りになればと思い、投稿させて頂きます。内容として、GE DWIBS研究会の紹介、現在GEワーキンググループで検討しているDWIBS撮像方法の紹介です。
GE DWIBS研究会 紹介
GE DWIBS研究会は平成28年4月に、横浜栄共済病院の高橋光幸さんを中心に発足しました。研究会は、2〜3ヶ月毎に開催しており、現在までに5回開催しました。目的は、撮像装置別の撮像法の標準化です。研究会には、こちらの写真のようにたくさんの方々が参加しています。 GE DWIBS研究会は、発表や実機での検証を和気藹々と行う、とても楽しい研究会です。
GE DWIBS研究会では、標準化に向けて、撮像方法を検討するためワーキンググループに分かれ、検討を行なっています。
現在、検討しているDWIBS撮像方法を3つ紹介します。
撮像方法とプロトコール
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12ch Body Array Coil使用(コイルスライディング法)
コイルスライディング法で12ch Body Array Coilを使用するDWIBS撮像方法です。コイルスライディング法では、横断像と冠状断像を検討しています。まず、横断像の紹介です。
横断像を主に検討している施設は、横浜栄共済病院、静岡済生会総合病院です。使用機器は1.5T Signa HDxt、使用コイルは12ch Body Array Coilです。
コイルスライディング法とは、撮影天板を用いて、寝台と撮影天板の間にBody Array Coilを入れ、スライディングさせながら撮影する方法です。これが実際の撮影風景です。
なおDWIBS撮影天板は、メディカルエキスパート社から販売されています。
横断像の撮影条件です。3 step 撮影です。
横断像撮影のポイントは、Phase-FOV 0.7(35cm)、ASSET(Parallel imaging factor)2.0を用いることです。DWIの最大の敵は、歪みです。その歪みを解消するために、他社はParallel imaging factorを大きくすることで歪みを解消しています。しかし、GE装置はそれを2.0までしか上げることができません。そこで、Phase-FOV 0.7(35cm)、ASSET(Parallel imaging factor)2.0を用いることで、ASSET(Parallel imaging factor)3.5相当を実現しています。それにより、歪みを解消しています。
横断像の症例です。42歳男性 全身転移の患者です。
次に、冠状断像の紹介です。(なお、DWIBS冠状断撮影をさらに詳しく知りたい方は同サイト『GEでもできる冠状断DWIBS』投稿へ)
冠状断像を主に検討している施設は、焼津市立総合病院です。使用機器は1.5T Signa HDxt、使用コイルは8ch Body Array Coilです。
冠状断像の撮影条件です。3 step 撮影です。
冠状断像撮影のポイントは3つあります。
➀Aseet factorとPhase-FOVの併用(Aseet factor 3.5相当)
②撮像する範囲のCoilエレメントだけ使用する
(1STEPは8ch BODY Array Coil:UPPER使用、2STEPは8ch BODY Array Coil:UPPER使用、3STEPは8ch BODY Array Coil : LOWER使用)
➂周波数方向R-L、位相方向S-Iに設定し、FOVの上下にSATを入れる。
冠状断像の症例です。30代女性 大腸癌からの全身転移の患者です。
2. 12ch Body Array Coil+内蔵Body Coil使用
12ch Body Array Coilと内蔵Body Coilを組み合わせたDWIBS撮像方法です。撮影断面は横断像です。検討している施設は、けいゆう病院、船橋市立医療センター、北里大学病院です。使用機器は1.5T Signa Explorer、1.5T Signa HDxt、3.0T Discovery 750、使用コイルは12ch Body Array Coilです(なお、この撮像方法は、検証し始めて間もないため、検討中項目が多いことにご了承ください)。
12Ch Body Array Coilで下部を、内蔵Body Coilで上部を撮影します。
12Ch Body Array Coil+内蔵Body Coilで撮影した症例です。77歳男性、膀胱癌術後で化学療法も行なっている骨転移の患者です。骨シンチとの対比です。青矢印の部分は、化学療法後ということもあり、骨シンチ画像でフレア現象が起こった可能性が高いと考えます。DWIBSが有用な症例です。
3. Head+BODY+下肢コイル
Head+Body +下肢コイルでは、撮影断面AXで撮影します。検証施設は、北里大学病院、昭和大学横浜市北部病院、横浜南共済病院、新百合ヶ丘総合病院、横浜栄共済病院です。使用機器は、1.5T Optima 450W 、3T Discovery 750Wです。使用コイルは、Head+Body +下肢コイルです。これがHead+Body +下肢コイルの写真です。
撮影条件です。4STEP撮影です。
Head+Body +下肢コイルによるコイル選択です。コイル選択は以下の通りになります。
Head+Body +下肢コイルで撮影した症例です。56歳女性 全身転移の患者です。
おわりに
GE DWIBS研究会ワーキンググループでは、標準化に向け、様々なDWIBS撮像法が検討されています。
今後さらなる検討を進め、全国のGEユーザーに発信していきたいです。
ライター紹介
静岡済生会総合病院 山崎敬之と申します。投稿2回目です。現在、DWIに興味があり、もっとたくさん勉強したいです。MRIを通じて、たくさんの方々と交流していきたいです。学会などで見かけたら気軽に声をかけてください。よろしくお願いします。
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