Inhance-3D (3DPC-MRA)の意外な使い方

脳血管のMRAを撮影する際、義歯による金属アーチファクトが問題となることが、しばしばあります。当院においては「脂肪抑制パルス(CHESSパルス) をOFF」「TEをout-of-phase(1.5Tなら6.9ms)に設定」「撮影対象FOV内にVolume Shimを入れる」などの対処法でアーチファクトを抑制してますが、歯科用ブリッジなど、強磁性体でそれなりの大きさがあるデバイスに対しては、これらの対策も無効となります。

IMG_3003例えば、上図のようにlocalizeの時点で歯の周囲に広範な信号欠損が見られた場合、左記の要領で「脂肪抑制OFF、TE:6.9ms」にすれば、アーチファクトはルーチンスクリーニングレベルの読影に支障がない程度には抑制することができます。今回、この方法でも歯が立たないほどの強力なメタルアーチファクトに遭遇したのでご紹介します。

IMG_3005

ご覧の通り、内頚動脈のごく一部、両椎骨動脈と脳底動脈が見える他、ウィリス動脈輪以遠の血管はほとんど確認できません。末梢部分がチラチラ見える程度です。現画像に至ってはこのような状態で、まったくお手上げです。

IMG_3004

ダメモトで”3D Inhance Velocity“(GEの新しい3D-PC-MRA)を使ってみました。

【症例】20代女性、頭痛精査目的のMRI&MRA、歯科矯正用ブリッジ装着中

上にあげた画像はこの患者さんの3D-TOF-MRAです。 金属アーチファクトが強力で、MIP画像を作成しても、何がなんだか分かりません。”3D Inhance Velocity”をルーチンのMRAと同様、Axial、VENC35cm/sで撮影してみたところ、 何ということでしょう!(ビフォアーアフター風に)

IMG_3008IMG_3009

3D-TOFでは全然見えなかった内頚動脈や前大脳動脈が、ハッキリと写りました。 原画像を確認してみましたら、金属アーチファクトによる影響は、ほとんどありません。

IMG_3007

最近では、撮影時間がやたらと長いことからあまり使われなくなってしまった3D-PC-MRAですが、一般的な知識でPC法が「磁性体アーチファクト対策に有効」という話は聞いたことがありません。むしろ従来のPC-MRAは、血管の末梢部などで位相分散の影響を受けやすいと言われており、撮影時間が長い、VENCの設定値に当たり外れがある、などの欠点によりルーチンでは使われなくなってしまいましたが、3D Inhance Velocityなら、このレベルの画像が3分ちょっとで撮ることができます。VENCは若い患者さんだったので40cm/secと早めの設定としましたが、中高年の方ならもう少し遅くても良いかと考えます。

なぜ3D Inhance Velocityが磁化率の影響を受けないか?という点の考察ができれば、立派な論文が書けます。どなたか検証してくださる方はおられませんでしょうか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
fumipon

fumipon医療法人聖麗会 聖麗メモリアル病院 放射線科

投稿者プロフィール

茨城県北の脳外科専門病院にMR専従技師として勤務しています。脳脊髄検査全般、MRの原理的な話に詳しいですが、不得意分野も多数あります。興味を持った事については、徹底的に調べますが、基本的に他力本願です ( 自分で言うのもなんですけど、私は非常にめんどくさがり )。また、文体が全体的に『ユルい』のは自身の性格を反映しています。今後ともよろしくお願いします。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

MRIfan.netからのメルマガを受け取る!

*メールアドレス
*お名前(姓)
*種別

おすすめ記事

  1. (追加・修正)Philipsのスライス厚(Package 1のとき)を修正しました。また、IR pu…
  2. 日本人は入浴、とくに温泉が大好きです!外国人には頻繁に入浴するという習慣はないそうですが、・・・(続…
  3. DWIBSの撮像プロトコールについて、どこにあるかわかりにくいので、このページにまとめてリンクを記載…
  4. はじめに GEユーザーの皆さん、DWIBS撮影を始めてみませんか?DWIBSは、PET-CTにも代…
  5. DWIBSの撮像断面は、横断像ですか?冠状断ですか? DWIBS検査を行っている技師のみなさん、D…

プレスリリース

登録されているプレスリリースはございません。

Facebookもチェック!

話題をチェック!

  1. 2017-10-19

    検像運用について

     はじめに まだフィルム運用のころ,一般撮影のみならず、放射線検査においては撮影条件を駆使してよい…
  2. 2016-3-15

    安全管理ーMRI編ー 事故を起こさないために

    【これはMRI創意工夫懇話会(2017年2月17日)に行われたミニレクチャーの一部をMRIfan.n…
  3. 2018-4-9

    Web議論の場 〜 ecasebookの運用について

    副編集長の高橋でです。 新年度を向かえ、またJRCの総会も近づいてきて皆さん張り切っていらっしゃる…
ページ上部へ戻る