拡散強調画像のケミカルシフトアーチファクト
脂肪の信号が空間的にずれて画像化されるアーチファクトをケミカルシフトアーチファクトといいます。特にEPIを使用した拡散強調画像は位相エンコード方向にケミカルシフトが見られ、とても目立つことがあります。
通常のスピンエコーでは各TRは独立しているため、次のTRに位相差が持ち越されず、ケミカルシフトは発生しにくいです。しかしEPIの場合は連続する位相方向の傾斜磁場によって、一筆書き的に位相差が積算されてしまい、結果的に大きな位相差が起きてしまいケミカルシフトアーチファクトが発生してしまいます。
パラレルイメージングを利用すれば位相エンコードステップ数の減少に伴い位相差の積算も減り、結果ケミカルアーチファクトの低減が可能になります。しかし、臨床の現場ではパラレルイメージングを併用しても下図のようなケミカルシフトアーチファクトが出現することがあります。
Phase encode directionの設定を変える
そんな時にシーメンスではRoutineカードのPhase encode directionの設定を変えるとケミカルシフトが目立たなくなります。例えば、横断像の撮像の際には通常、Phase encode directionはA>>P設定になっています。
そこで、Phase encode directionボックスの横のボタン(矢印)をクリックすると以下のようなInplane rotationカードが開きます。
その時のInplane rotationカードは『0』ですが『180』と入力するとPhase encode directionがP>>Aになります。
これはPhaseエンコードステップ順がA→PからP→Aに変わったことになります。
このエンコードステップの順番を変えるだけ下図のようにケミカルシフトが目立たなくなります。さまざま部位で応用可能なので是非、使ってみてください。
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