Deep Learning(AiCE)がなくても出来る! ルーチン頭部MRAがわずか2分半!?

いつもは主要血管が見やすいようにカット処理していますが、今回は血管の描出能を見てもらいたいのであえて未処理のMIP画像を供覧しています。

こちらの、多くの施設で撮像されているであろう頭部MRAの撮像範囲ですが、この画像、Compressed SensingやDeep Learning(AiCE)を使用しなくても、なんと2分45秒で撮像できているんです!

これはCANON社製MRI装置で使用可能な「Fast 3D」という技術が可能にしています。

Fast 3Dとは?

CANONの「Fast 3D」を調べてみると、、、、

“k-spaceの充填方法を効率化することで、3D収集の撮像時間を短縮する技術です。撮像を効率的に行い撮像時間を短縮できます。最大で従来のおよそ1/2の時間で撮像することができます。適用部位に制限はなく全身に使用可能です“

と書いてありました。

k-spaceの充填方法を効率化?? 最大で従来のおよそ1/2の時間で撮像??

ということで、Fast 3Dはどのようなk-space充填方法なのか? そして撮像時間が1/2になっても画質は低下しないのか? について深掘りしていきます。

Fast 3Dのk-space充填方法とは?

Fast 3Dではk-spaceをジグザグに充填していくのですが、「Multiple」と「Wheel」という2種類の異なる充填方法が使用できます。それぞれどの様な違いがあって、どの様に使い分けるのかを解説します。

Multipleとは?

従来の方法では、データをk-spaceへ充填する時、1TRで1スライスエンコードの充填が行われるのですが、Multipleでは、1TRで並行する2つのスライスエンコードをジグザグに収集することで、k-spaceの充填時間を2倍速にしています。さらに、AFIを併用しているので、さらにk-space充填時間は短くなりますね!

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ここでAFIというキーワードが突然出てきたのですが、これはCANONのMRI特有の用語で、Asymmetric Fourier Imagingの略語です。これはSSFSEやHASTEなどハーフフーリエ法で用いられている技術を応用したもので、k-spaceの複素共役対称性を利用して、完全にデータを充填せずに、k-spaceでの対称データを用いる高速撮像技術です。AFIがk-spaceを何%充填しているかは非公開なので不明ですが、Multipleを使用すると、k-spaceをジグザグで倍速充填している上に、データをフル充填していないから、超高速撮像が可能になっているんですね。

しかし、さらに調べてみると、“T2、FLAIRなどの画像種に適しています”という一文を見つけました。

なに!? (゚Д゚)

ということは、MRAはMultipleではないということか、、、、。

どうやらMultipleはT2 MPV(multi planar voxel)やFLAIR MPVなど、長いTEのシーケンスで用いられるように調整されているようです。

この機能を使えば3D variable flip angle FSEが高分解能かつ短時間で撮像出来そうですね! これに関してはまた次回、お伝えしたいと思います (^o^)

MRAの高速化に用いられているのはWheelだった!

WheelはT1強調や、PD強調などの画像種に適していて、Phase encode-Slice encode平面のk-space中心からジグザグに高周波領域へ向かってデータを充填します。Wheel状にデータを充填し、コントラストへの影響の少ない高周波成分(4隅)を収集せずに、ゼロを埋めることでさらに撮像時間の短縮をしています。また、AFIも併用可能で超短時間撮像を可能にしています。FFE3Dシーケンスの場合、設定可能なAFIは80~95%に制限されていますが、これでもかなり高速化されます。

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Fast 3Dの実際 ~画質はどう変化する?~

いくら高速化されても、画像がボケる、末梢血管が消えてしまうなど画質劣化があっては意味がないですよね。ということで色々パラメータを変化させて最適なFast 3Dの設定値を検討しました。

Fast 3D なしMRA;4分49秒
Fast 3DありMRA;2分45秒

Fast 3Dを使用せずに撮像したMRAと、ルーチン検査で使用しているFast 3Dを用いた画像を観察すると、わずかにFast 3Dを用いた画像の方が末梢血管の描出能が低下しているようにも見えますが、個人的にはほぼ劣化なし!と感じました。

次にAFIの値を低くして、k-space充填率を少なくした場合を比較します。AFIを50%まで低くすると、撮像時間は圧倒的に短くなりますが、やはり末梢血管の描出能が低下し、画像も全体的にボケた印象になっています。

Wheel (AFI 95%);4分40秒
Wheel (AFI 75%);2分25秒
Wheel (AFI 50%);1分54秒

超高速化にしたいところですが、「医師が望む良好な画像を提供する」という私たちの使命を考えると、Wheel + AFI 75%以上は欲しいところですね(^_^;)

当院で使用しているルーチンMRAの撮像条件

当院で使用しているルーチンMRAは2分45秒です。その撮像条件を以下に供覧します。

思いっきり私が映り込んでしまっていてすみませんm(_ _)m

この条件の特徴は、もちろんFast 3DのWheelを使用していること。そしてAFI 85%とSPEEDER(parallel imaging)を1.7と少し弱めに使用して、画質を担保しつつ超高速化しています。

今まで頭部MRAの撮像時間は4~5分だったので、この技術のお陰で患者さんの検査待ち時間を少し減らすことや、Whole brain MRAも5分で撮像出来ちゃいます!

次回はFast 3D Multipleについて配信予定です(^_^)v

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Hori Hiroki宮前平脳神経外科クリニック

投稿者プロフィール

約20年間GEユーザーとして活動していましたが、2024年よりCANONデビューしました!!
CANONのMRI情報をメインに情報発信するのでよろしくお願いします (^_^)v

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