SIGNA甲子園2021 Doctor’s Award授賞演題「頭部血管壁を意識した欲張りコントラストの実践」

SIGNA甲子園2021 Doctor’s Award 東京都健康長寿医療センター 粂一矢さま おめでとうございます!!

MRIfan.net編集委員かつSIGNA甲子園2021実行委員長を務めさせて頂きました、森山脳神経センター病院の堀大樹です。

SIGNA甲子園2021でDoctor’s Awardを受賞されました、東京都健康長寿医療センターの粂さまに演題の解説記事をご投稿頂きましたので紹介したいと思います!

では、粂さまの記事をお楽しみください。

 

今回の私のお話は、2021年12月に行われた「Signa甲子園2021 魅せろ!画像診断補助テクニック」にて
関根鉄朗先生から「特別賞Doctor`s Award」をいただいた「頭部血管壁を意識した欲張りコントラストの実践」の発表内容です。

粂一矢

脳動脈解離の評価

MRI検査に携わる技師は、脳動脈解離の検査依頼を受けたとき、真っ先にTOF-MRAとBPASで検査を行うことを思い描くのではないでしょうか。時間も短く簡便な方法なので重宝するシーケンスなのですが、以下の症例のような場合、有用な情報が得られないことがあります。

  1. BPASは脳脊髄の間隙が狭いと評価困難
  2. BPASは動脈外径の描出のみで、血管壁そのものの評価は困難

そこで、分解能の良い3Dボリュームで、Variable Flip Angleを使用したシーケンス(GE社ではCUBE)などを使用して解離部位を高信号に描出して検査をしている施設も多いと思います。

創意工夫① T1強調画像とBalancedシーケンスのFusion

T1強調CUBE画像は低信号として描出される脳脊髄液の中を、血管がBlack Bloodとして描出されるので、細い血管など脳脊髄液に隠れてしまい見えないことがあります。その一例をFig.1に示します。

この悩みを解消するため、T1 CUBE画像の脳脊髄液に色を付けるとどうなるでしょうか。

次のFig.2、3は、私がエントリーした画像です。

血管のBlack Bloodと解離部のT1短縮(高信号部分)を残しつつ、脳脊髄液をカラーにすることで、脳脊髄液に隠れていた微細な血管まで追うことが出来ています。

この画像は、T1強調CUBEに、脳脊髄液が高信号のbalancedシーケンス(GE社ではFIESTA-C)をfusionして作成しています。

創意工夫② Fusion用Balancedシーケンスの撮像条件

FIESTA-Cの血管が高信号だと、CUBEのT1短縮所見と混同してしまうので、動脈を低信号で脳脊髄液を高信号にすることを目標としました。

Signa 1.5T装置で撮像した場合、通常FIESTA系の画像はFAが高いほどIn-Flow効果の影響を受けて血液が高信号になります。

しかし、Discovery750w3.0Tの冠状断で撮像すると、FAが高いほど血管が低信号になりました。

では、なぜ逆の結果になってしまったのでしょう?

原因はいくつか考えられますが、

  1. 高FAによるTEの延長による位相分散
  2. Gradient echoシーケンス特有のT1飽和効果が強く出た (脳実質の落ち方を見てもらうとわかると思います)

の2つが考えられます。

このようにFA60~80°といつもより大きめに設定することで脳脊髄液が高信号で、動脈が低信号の理想的なFIESTAができました。

臨床症例①

 

こちらの椎骨動脈解離の症例では、MRAとBPASの評価を試みましたが、解離部が頭蓋外であったためBPASで描出することができませんでした。

その後、T1強調CUBEとFIESTAを撮像し、fusionも作成しました。

経験上FIESTAは頭蓋外を境界にIn-Flowの影響が顕著に現われるケースが多いのですが、高FAを用いることでしっかりと血管の信号が抑制されてます。そのため、とても見やすいfusion画像が作成できました。

臨床症例②

こちらも本法が有用だった症例です。

CUBEだけだと血管が追えない、FIESTAだけだと解離部位が分からない、という症例です。

fusionすることで動脈内の血腫と外径の拡張を同時に描出でき、さらに、細い後下小脳動脈の分岐が解離部の近傍に来てしまっていることが観察できます。

終わりに

脳動脈解離の検査が来た場合、漠然とMRAとBPASに頼るのではなく、血管壁を意識して撮像することが大切です。

本法を使用し解離の病態を捉えることで、画像診断補助として大きなアドバンテージになるのではないでしょうか。

簡単にできますのでぜひトライしてみてください。

最後に、今年のSigna甲子園2021の目玉の一つでもあった、画像に対する臨床医のコメントを提示しておきます。

協力して頂いた東京都健康長寿医療センター脳神経外科の高梨成彦先生ありがとうございました。

ライター紹介

東京都健康長寿医療センターの粂一矢(くめ かずや)です。

普段はGEの東京ユーザーズミーティングなどで楽しくMRIの勉強をしています。

MRIが大好きなので研究会や学会で見かけた際は、気軽にお声かけください!

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Hori Hiroki

Hori Hiroki森山脳神経センター病院 FUSセンター

投稿者プロフィール

MR guided Focus Ultrasound(FUS)というMRIガイド下で行われる治療に関する研究を特に行っています。
「FUSと言えば堀」、「堀と言えばFUS」と呼ばれる男になれるように日々精進しています。

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