非造影下肢MRAの撮像におけるFBI法に関するコツ

  • 2023/9/22
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はじめまして。
MRIfan.netの新編集委員、北九州市立医療センターの長島と申します。
今回は、下肢非造影MRAのFBI(Fresh Blood Imaging)の診断能を上げるための、どの施設でも可能な??”コツ”を紹介いたします。

下肢非造影MRAは、どのシークエンスを使っていますか?

脳MRAといえばTOF!! と確立されていますよね。しかし下肢では、TOFであったり、FBIであったり、新しい手法のREACTなどと、各施設によって様々な手法で撮像されているかと思います。
私はご縁があり、15年ほど前からFBIを使ってきたので、FBI推しです(現在はGEを扱っているのでDelta Flow法ですが)。
しかし、FBIはCanon (旧TOSHIBA)から開発されて20年ほど経ちますが、中々受けいれられていない感じがします。

差分画像であるが故の難しさ

FBIは、拡張期画像(動脈+静脈)から収縮期画像(静脈)を差分し、動脈のみを描出する非造影MRAの手法です(図1)。

図1 FBIの画像が取得されるまでのイメージ 

2つの時相の画像を取得し差分するため、皆さんも感じた通り、工程が多いシークエンスです。患者さんの体動であったり、心拍の変動であったりと、アーチファクトが混入する可能性も高くなります。そして、技師がアーチファクトか病変かを判断するには、3つの画像(拡張期画像、収縮期画像、差分画像)を確認する必要があります。慣れれば見極めは容易ですが、下肢MRAは頻度の少ない検査ですよね。中々慣れません。
そこで、次のような手法をご紹介します。

アーチファクトか病変か迷ったら、すぐに2D-PCを追加!

アーチファクトか病変かを判断する手段として、部分的な2D-PC法の使用をお勧めします。
図2の左図では、左下腿3分枝にて狭窄様に見えます。そこで、右図のように2D-PCを追加撮像すると、狭窄様部分にも血流が描出され、アーチファクトであったことが分かります。おそらく流れの方向によって、収縮期のFlow voidが鈍化したためだと思われます。PCでは3軸に双極傾斜磁場を印加していますし、流れの方向による影響は少ないですよね。

図2 左:FBIで描出された狭窄様所見, 右:追加撮像した2D-PC画像


撮像のポイントは、短時間であること。2Dの1枚撮りで、心電図同期はかけずにNEXを上げます。当院ではNEX:5に設定し約1分で撮像しています。
VENCの設定は、部位によって異なりますが、40から60cm/secを目安にしています。末梢部位ではそれよりも低めの値を設定してください。患者さんや装置による違いも考慮する必要があるので、収縮期画像で、動脈のFlow voidを基にVENCを微調整してみてください。

もっと末梢を描出するためにベッド上でエクササイズ

あくまでも患者さんの状態によりますが、ベッド上で軽いエクササイズをすることで、末梢動脈の描出が改善されます。一つの例として、チューブを使用し足関節に運動負荷をかける方法があります。(図3)【1】

図3 ベッド上でのエクササイズ例

末梢動脈では流速が遅いため、収縮期において動脈がFlow voidされにくくなります。運動負荷をかけることで流速が速くなり、収縮期において末梢動脈がFlow Voidしやすくなるため、差分画像の動脈信号では信号強度が増加します。(図4、5) 【2】

図4 運動負荷による信号値の変化
図5 運動負荷前後での画像の違い

Prep画像を工夫してDSAライクな画像に

FBIを撮像する前には、拡張期と収縮期のタイミングを決定するためのPrep画像を撮像します。この画像を使用すれば、画質は粗いかもしれませんが、下肢動脈の流れを確認することができます。
Prep画像の各心周期の差分方法をカスタマイズすると、Flow Voidの伝播が画像化でき、DSAライクな画像を得ることができます。(図6) 【3】

図6 心周期毎に差分して作成したDSAライクな画像

以上が非造影下肢MRAの撮像におけるFBI法に関するコツの紹介でした。是非、ご参考にしていただければ幸いです。

nagashima

福岡県の北九州市立医療センターの長島と申します。
20年近くMRIに携わっています。
ずっと古い装置を扱ってきて、最近新しい装置が導入されました。
若い頃にMRIで”こんなことができたらいいなぁ”と思っていたことが、
今の技術で可能になること、拡がりを持つことを実感しています。
色々な発信ができればと思っております。

参考
【1】 長島利一郎.下腿領域FBI(Flesh Blood Imaging)において寝台上で可能な足関節運動負荷が及ぼす影響について.Poster.JSMRM2007
【2】 R Nagashima.Investigation of an aerobic exercise effect on the peripheral blood flow in the visualization of nonenhanced Fresh Blood Imaging(FBI).Poster.ISMRM2007
【3】 K Nakamura. Flow-Motion FBI, a novel non-contrast-enhanced 3D-MRDSA technique using ECG-Triggered Three-Dimensional Half-Fourier FSE -the feasibility to evaluate hemodynamics of peripheral vascular diseases .ISMRM2005

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nagashima北九州市立医療センター 放射線技術課

投稿者プロフィール

福岡県の北九州市立医療センターの長島と申します。20年近くMRIに携わっています。
ずっと古い装置を扱ってきて、最近新しい装置が導入されました。
若い頃にMRIで”こんなことができたらいいなぁ”と思っていたことが、今の技術で可能になること、拡がりを持つことを実感しています。色々な発信ができればと思っております。

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