今年も大盛り上がりのJRC2018ですが、どこよりも早い機器展示のレポートをします。
私がレポートするのは各メーカーのMRI装置ではなく、MRI関連装置としてMRI対応生体モニタとワークステーションです。
杏林Systemac社製MRI対応患者モニタリングシステム「Pimot」
図1の写真は杏林Systemac社製の、まだ薬事承認前の最新MRI対応患者モニタリングシステム「Pimot」である。特別に掲載許可を頂いたので簡単なレポートをします。
検査室内で使用する生体モニタは当然3.0T対応です。操作室に設置するタブレットで常に患者の状態を監視することができる事から、操作室から検査室内をのぞき込む必要がないので、撮像に専念できそうです。またこのタブレットは1.0Tまでは対応だということなので、場合によっては検査室内に持ち込みも可能とのことです。
図1 MRI対応患者モニタリングシステム「Pimot」
生体モニタ本体は支柱から取り外しが可能で、同社から販売されているMRI対応輸液ポンプと組み合わせた仕様も可能だということです。また心電図やサチュレーションモニタはワイヤレス仕様なので長いケーブルの取り回しに苦労することもありません。このモニタリングシステム一番の特徴は、カプノメータが付いていることです。
カプノメータ
カプノメータとは、吸気・呼気に含まれる二酸化炭素濃度をモニタリングすることができる装置で、麻酔下における患者の換気モニタリングに有用です。MRI検査室においてこのシステムは特に、鎮静下でMRI検査を行う事が多い小児の場合に効果を発揮すると考えられる。もちろん小児だけでなく成人にも対応しています。
AZEワークステーションのトピック
Dynamic解析
最近ZIOStationに押され気味のAZEも面白いソフトを紹介していまし。一つはDynamic解析です。今回は図2のようなMRマンモグラフィの解析を見せていただいた。造影Dynamic撮像をした画像シリーズの全Phaseを選択し、Dynamic解析ソフトを起動させるだけでWash outのカラーマップを表示してくれます。従って腫瘍を視覚的に瞬時に確認することができ、さらにTime Activity Curveを作成する際の手間を大幅に省く事ができます。このシステムならばDynamic解析処理に不慣れな場合でも難なく処理ができそうです。
図2 Dynamic解析
DWI解析
もう一つはDWI解析ソフトです。この解析はComputed DWI機能の他、非常に面白い機能が付いており、DWI(High b value image)で腫瘍を疑うような高信号をほぼ自動で選択し、その選択した部分のADC値をグラフ化(ヒストグラム)するという機能です(図3)。
図3 DWI解析
一見なんのため?と疑問を持ったが説明を聞いてなかなか面白いと感じまし。横軸にADC値、縦軸に頻度のヒストグラムを作成することによって、グラフの形から悪性か良性かを判断するということです。つまり、悪性度の高い腫瘍では多くの場合、ADC値は低いですが、腫瘍が良性の場合はT2 shine throughの影響でADC値は高値を示すことが多い。つまり、グラフのピークがより左にある場合、悪性度が高いことが疑われ、ピークが右にあるほど良性の可能性が高いという、視覚的に良悪性を判断することができるグラフです(図4)。
図4 ADC値ヒストグラム
この機能は現在開発中であるDWIBS解析ソフトにも導入する予定だということです。AZEのDWIBS解析ソフトも他社の解析ソフト同様にPasting機能、MPR作成機能、T1WI・T2WIとのFusion機能に加え、さらにこのADC値のグラフ化機能もあり、充実した内容になっていました(図5)。
図5 DWIBS解析
各社様々な工夫をし、しのぎを削っていることでより良い製品が続々と登場しています。まだ学会期間真っ最中なので、興味がある方は是非足を運んでみることをお勧めします。
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