ISMRM2018@Paris GEランチョンセミナー

GEのランチョンはなかなか見ごたえがありました。まず、Singa 35年ありがとうというスライド。

今年のISMRMでは、SIGNA 7.0T(臨床機, WIP)の発表と、同時にESP(Extreme Slew-rate Performance)というコンパクト・高性能 3.0Tの発表がなされました。

ESPについてほとんど詳細がなかったので、ブースに行って聞いてきました。

ESPはSiemensのConnectomeのような、Slew-rateがとても高い機種で、最大傾斜磁場80mT/m、Slew-rateは実に700T/m/s を実現します。ボア直径は37cmの頭部(四肢)のみが可能なもので、FOVは26cm maxとのこと。コンパクトなので2.5トンの重量(普通は5トンぐらいある)で、かつクエンチ官も要らないそうです(ヘリウム量12L)。

ESP,と聞くと、僕は七瀬(筒井康隆の小説)のようなExtra Sensory Perception(第6感の認識=超能力)を連想してしまいます〜。

そしてGEでは、このAIRテクノロジーを誇っております。大きな人も、子供にもフィットします。

ここに示す3つの項目を改善しました。

まずスキャン前には、AIRテクノロジーの毛布的なコイルを簡単に患者にかけられて(ポジショニングの必要なし)、次に指で、撮影したい部分の中心部を押して記憶させ、ガントリに入れれば自動的にそこを撮影する準備ができます。使用するコイル素子は当然自動選択されます。

スキャンに関しては・・

UIが更に改善されていて、プロトコル群をそのままコピーできますし、撮影中にはごらんのように、時間を短くするオプションが、いくつかのメニューで表示されます。これは便利そう。

そして、AI再構成により(画質が良くなるのでその分)撮像時間が短くなります。

後処理に関しては、、

やはりAIにより、病変部の抽出(Segmenation)、異常の検出と分類が行われます。

こはMARVIC(磁化率アーチファクト抑制スキャン)の説明図。磁化率アーチファクトがあるということは、Off resonanceのところ(例:-5kHz、-3kHz)に信号を出すということなので、それらのデータも集めると、、

こんな風に磁化率アーチファクトの少ない画像が取得できます。今回は “Isotropic MAVRIC” という新しい撮影による結果が提示されていました。

Zero TEによる撮影で、以下のような追加後処理を行い、CTのような画像を作り出します。

実際のCT(左)と比較した結果。Acetabular loofに対する角度計測などにおいて、とくに遜色がないと、、

AIR coilによる画像が提示されました。

右肩を覆う「衣服」のように装用できるので、、、

このような(従来は難しかった)液化部分を通る腕神経叢がきれいに描出できます。

またDTWIを使った神経描出でもこのコイルが役立ちます。

AIによる効果

Synthetic MRIは、GEではMAGiCと呼ばれていますが、このMAGiCで撮影すると、FLAIR画像と瓜二つの画像を創り出すことができますが、しかし矢印部分などにアーチファクトを生じることが知られています。

従来のVoxel-wiseの手法では限界がありましたが、

AI(Deep CNN)によって正しい画像を予測することができるので

右端のような画像を作り出せます。Deep Learning(DL)を使うので、Deep MAGicという名前がつけられていました。催眠術にかかりそうですね笑

これはDLを使って、左のLong Readout を用いても、右で示すShort Readoutで撮影したときのようなBlurringをなくすることができます。

左から2枚めは、造影剤を10%しか使いませんが、DLによる合成(右端)をすることで、実際に100%造影剤を用いたときの画像とよく一致する。

これはPETのlow dose化にも用いることができます。

これはAyloid PET.右端がlow doseの画像

このスライドでの右端がDLリコン。

そのほか、急性期のDWIとPWIのミスマッチから、後に生じる梗塞巣の領域がもともと予測できましたから、、

そのことを使って結果を予測できます。上と下は異なるシナリオ(上は、rtPAをしたときには梗塞になる部分が小さいと予測できる(のでrtPAを投与したほうが良い)(下は、rtPAを投与しても梗塞巣の大きさが変わらないので、出血のリスクをあげないために投与しないほうが良い)を予測しています。

最後に、Stefan Skare先生(カロリンスカ大学)からの発表。

彼の地では最新型のGE装置が揃っています。

いままでは、ソフトウエアリリースバージョンが異なると、その都度インストールしなくてはなりませんでしたが、これからはそういう違いがあってもセンターでリコンして病院のPACSに戻すことができます。

そのほか、EPIMixという、1min brain examを紹介していました。これは撮影データから、DWIを含む画像を合成できる技術です(リンク)。

ということは1時間にボランティアを・・・

30人ぐらい撮影できるということですね笑 ボランティアの入れ替えごとにテーブルを拭くほうが大変だそうです。

彼は以前、日本のMR学会に来てくれたことがありますが覚えていますでしょうかかrあ。

そのときは僕の家に来てくれて夕食をともにしました。こどもに「Angry Bird」(ゲーム)をそのとき教えてくれました (^^)

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tarorin東海大学工学部 医用生体工学科 教授

投稿者プロフィール

MRIの撮像・フィルム焼き・患者導入に従事していた経験を活かし、企・技・医の中間の立ち位置を大切にしています。モットーは研究結果を中立的に判断すること、皆で研究成果を愉しむことです。

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