題名:私のMRI勉強法
京都大学病院の梶迫さんからバトンを頂きました神戸大学病院の京谷です。梶迫さんとは、不思議な縁で結ばれているようで、以前から研究会やセミナーなどでよくお会いしていました。また、日本放射線技術学会主催の「スタンフォード大学研修」でも 、一緒の釜の飯を食べた仲間で、仲良くさせて頂いております。
自己紹介
私は、神戸総合医療介護福祉専門学校を卒業後、三菱神戸病院で10年間勤務しました。三菱神戸病院では、一般撮影、胃透視やCT、MRIを業としており、その中でのMRIを中心に担当させて頂いていました。当初、先輩に教えて頂きながら島津社製の1.0T-MRI装置を使用しておりましたが、原理も理解しておらず、先輩に言われるがままの「スイッチマン」でした・・・。
現在では、神戸大学医学部附属病院に勤務しており、徳島大学大学院 医科学教育部 放射線科学領域 博士課程に進学しております。仕事と学業の両立は大変ですが、多くの方に支えて頂きながら現在に至ります。
私の勉強法
MRIの原理を習得するのは容易ではありません。私がMRIに本格的に携わったのは「SENSE」という高速撮像法「balancedシーケンス」といった新しい撮像法が登場した頃でした。「MRIの何がわからないの?」と人に聞かれたら、「何がわからないか、わからない」というのが実情であり、暗中模索の中、業務に取り組んでいたことを思い出します。このままでは、MRIの技術が身につかないと考えた私は、地元の研究会に足を運んで自ら「○○についてプレゼンテーションさせてほしい」とお願いし、発表させてもらう場を作っていきました。そこで自分が勉強したことを参加者に発表するということを何度も繰り返し、MRIの知識を刷り込んでいきました。自身の性格は、「何かに追い込まれないとしない」ので、自分でハードルを設けて勉強に取り組んだのは、怠け者の私にとって、とても効率的な勉強法であったと振り返ります。
バランス力の大切さ
これまで若い時からたくさんの勉強会に参加し、多くの方から刺激を受けました。机に向かって勉強する時間も大切ですが、人として成長するためには、人との「出会い」や「つながり」の時間も大切です。つまり、自施設から一歩踏みだし、先輩、後輩に限らず多くの方とコミュニケーションを取り、様々な考え方を傾聴し、自分の中に他人の考えを取り込むことが人間力を高めるコツだと思います。我々の仕事は、技術職ですが、技術ばかりが秀でていてもコミュニケーション力が不足していれば、力を発揮することが出来ません。技術力と人間力の双方を高めていき、バランス良く成長することが医療人として大切なことだと考えます。先人達は、「よく学び、よく遊び」といいますが、まさにその通りです。
これまで学びの場や遊びの場で、多くの「人」に出会ってきました。これまでを振り返ると如何に多くの「人」に支えられ、また、自身を成長させて頂いたかわかりません。ですから私は、人との「出会い」や「つながり」というものを大切にしていますし、多くの若者にも大切にして欲しいと願っています。
MRIの未知なる可能性
この分野を専門の業とした出来事がありました。それは「眼瞼下垂(何らかの原因によって、まぶたが下がってしまう病気)の術前MRI」です。従来、眼瞼下垂の手術は、画像診断を用いず術式を選択していたため、術後、症状がさらに悪化するといった場合があり、正しい術式を術前に評価できるMRI画像が欲しいと眼形成外科の医師より依頼がありました。医師からの要望は、開眼、閉眼、上方視、下方視の4方向の高空間分解能撮像
と上下方眼球運動のkinematics imageです。
このMRI撮影により、眼瞼下垂の術成功率は100%となり、眼形成外科医師にとても良い評価を頂きました。さらに医師から、「生体での眼瞼運動を詳細に観察できたのは初めてであり、眼瞼下垂の術式の教科書が変わる」というお言葉を頂きました。この時に「民間病院でもしっかりと仕事に取り組めば、良い結果を残せる」「画像診断が変われば、医療が変わる」と感じ、MRIの未知なる可能性を追求したいと思うようになりました。
これからの取り組み
現在は、徳島大学大学院の博士課程に進学しています。これまでMRIに携わってきた中で分子イメージングに興味を持ち、生体機能情報を可視化したいと思うようになりました。現在の神戸大学病院では、fMRIやMRSなど取り組んでおり、今後、様々な診療科とコラボレーションしていきたいと考えています。
次の方は
熊本大学医学部附属病院の森田康祐さんです。森田さんとは、メルボルンで開催された国際磁気共鳴医学会学(ISMRM)で初めてご一緒させて頂き、お互い意気投合して日本に帰ってきてからも仲良くさせて頂いてます。親友でありライバルである森田さんからいつも良き刺激を頂いております。
森田さん、よろしくお願いいたします。
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。