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★何が原因?上肢の撮像における信号欠損を読み解こう
- 2026/9/18
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<新企画>「撮像のワンポイントアドバイス」
★〜★★★までの難易度を設定し、MRIにおける基本的な注意点や撮像のポイントなどをまとめていくコンテンツです。初学者の方やローテーターの方など是非ご一読ください!
今回の「撮像のワンポイントアドバイス」の難易度は★ひとつです。
YouTubeショート動画もご覧ください:https://www.youtube.com/shorts/-ghaRRm4UxQ?feature=share
はじめに
皆さんこんにちは。市立角館総合病院の千葉大志と申します。日頃、上肢の撮像をされている中で、「腕の一部分だけなんだか信号が悪いな……」と感じたことはありませんか?
今回は、四肢撮像における不可思議な信号欠損に惑わされないための対処法についてご紹介いたします。
不可思議な信号欠損はwindow条件の変更で見破る
一例として、代表的な症例を供覧します(Fig.1)。 手関節の画像ですが、対象部位に金属などは存在しない状態で撮像されています。Cor像では磁化率アーチファクトなどは見られません(Fig.1 a)。
しかし、Ax像を見ると手関節背側の信号が低下しているのがわかります(Fig.1 b 黄矢印)。 金属があるわけでもないのに、なぜこのような信号欠損が生じるのでしょうか?
ここで、window条件を変更して画像を明るくしてみます。
すると、信号が欠損した部分の対側(皮膚表面側)が、半円状に高信号化しているのがわかります(Fig.2 a 黄矢印)。
もうおわかりでしょうか。これは感度補正エラーです。 実際に Calibration(校正用データ)を撮り直してみると、信号欠損が改善しました(Fig.2 b)。
では、なぜこのようなエラーが起きたのでしょうか。
感度補正エラーの正体は“シーケンス間の体動”
エラーが起きた画像を見ても、信号欠損以外に目立った異常(アーチファクトなど)は見られません。
そこで、検査開始時の Calibration 画像と、途中で撮り直した Calibration 画像の差分画像を作成してみます(Fig.3)。
差分画像を見ると明らかに位置ずれが起きており、黒く抜けている部分は信号欠損部と一致します(Fig.3 黄矢印)。 しかし、Fig.1 b の Ax 画像自体には顕著なモーションアーチファクトが見られません。
このことから、感度補正エラーの正体は「シーケンス間における体動」であることがわかります。 このような場合は、落ち着いて再度 Calibration を撮像し、感度補正の情報を更新することが必要です。
画像をしっかりと観察して検査を終える重要性
今回のような信号欠損は、一瞬パッと見ただけでは見逃しやすい危険性があります。特にモーションアーチファクトがない場合、病変の有無にばかり気を取られて気づかない恐れもあります。
しかし、軽微な影響であっても、信号欠損の対側の皮膚面が不自然に高信号になることで、偽陽性(病変のように見える現象)を生み出してしまうリスクがあります。
なお、装置のメーカーやバージョンによっては シーケンス間でCalibration を自動取得する設定になっていることもあるため、不意に位置がずれても信号欠損自体は発生しない場合もあります。 ただし、体動によって位置がずれていること自体は変わらないため、読影時のリファレンスライン(位置参照線)もずれてしまい、正確な読影・評価の妨げとなります。
これらは、1コマずつの画像を丁寧に Window 調整しながら観察していれば、簡単に違和感として気づくことができます。 また、依頼された撮影目的の病変が正しく評価できているかを意識して目で追いながら確認することも、位置ずれに気づくポイントです。
いずれにしても、「画像をしっかりと観察して検査を終える」という姿勢が極めて重要です。
おわりに
いかがだったでしょうか? 今回は、シーケンス間での体動(位置ずれ)が引き起こす感度補正エラーについてご紹介しました。
MRIを担当し始めたばかりの初学者が陥りやすい落とし穴だと思いますが、本稿が皆様の日々の業務の参考になりましたら幸いです。
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