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ITEM2025レポート〜富士フイルム編〜
- 2025/4/16
- BLOG, 学会報告, 富士フイルム(旧日立)
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大雄会の伊藤祐介です。昨年に引き続き、富士フイルムのITEMレポートを担当させていただきました。今回もブースは混雑しており、盛況ぶりが伺えました。MRI装置は京谷さんと瀧澤さん、VINCENTは櫻井さんにご対応いただきました。
・MRI
まずはMRI関連からご紹介させていただきます。
昨年のITEMで非常に注目を集めたゼロヘリウムMRIですが、数多くの納入があったそうで、現場のニーズも高いのだと感じました。
そして、今年はゼロヘリウムのラインナップを2機種に増加されていました。さらに、ゼロヘリウムMRIにもエコモードが適用できるようになっていました。エコモードとは、自動車でいうところのアイドリングストップのようなシステムで、ガントリの冷却システムを断続的に休止することで、最大40~45%も電力を抑えられるそうです。今後も電気代が高騰していく可能性も考えると、病院経営に非常に優しいシステムですね。

また、MRIの操作性についてもAI技術を用いた精度向上や適用拡大が行われていました。自動位置決め機能であるAutoPoseも適用が増加しており、特に子宮では頸部や体部を単軸方向に撮像するような断面や、心臓の位置合わせでは2-chamber viewや4chamber view,短軸像にも自動で位置合わせを行うことができるのはもちろん、位置合わせの際に発生しうる折り返しアーチファクトも考慮して撮像位置を調整してくれるようです!コンセプトは「失敗しない検査」ということで、初めて導入する際、たまにしか来ない検査、MRIに不慣れなオペレータでも確実に検査を完遂させたいという思いが詰まった技術だと感じました。


今や一般的になりつつあるDLR画像処理関連では、新しく「DLR Symmetry」という技術を紹介いただきました。この技術は、ハーフスキャンを行った際、k空間を充填しない部分をAI技術にて推定し補完することで、画質を向上することが可能だそうです。ハーフスキャンによる高速撮像の際のアーチファクト低減やDWIのTEを短くする際など、パラメータの幅が広がりそうな技術だと感じました。

また、コンソール関連では、富士フイルムのワークステーションであるSYNAPSE VINCENTと同様の解析機能の一部がコンソールに搭載されたそうです。本体で解析する場合は、画像再構成とは別のユニットで解析を行うため、並行処理しても処理時間が遅くなるようなことは起こらないそうです。これにより、ワークフローの向上が期待できそうですね。また、 4D flow解析やQSM、QPMなどは、VINCENT Coreという富士フイルムMRI専用のワークステーションで解析が可能とのことでした。4D flow解析は、3.0T MRIでの領域と思っていましたが、 富士フイルムMRIは、DLRを併用しての撮像が可能であり、ノイズ低減によって1.5T MRIでも流体解析精度の向上に期待が持てるような画像を紹介頂きました。

・VINCENT
VINCENTでは新しくVer. 7.2が発表されていました。「リアルなシミュレーション」をコンセプトして、血管の結紮シミュレーション、肺野変形シミュレーション、単純CTで仮想気管支鏡画像などが新しく発表されていました。

AI技術を用いて構造認識精度も向上が図られ、MRI画像から頸椎、腰椎、骨盤骨、MRCPにおける胆管の自動抽出が新たに可能になったそうです。
また、従来のアプリケーションの中にも腫瘍を認識する機能がありましたが、プログラムをDLRを用いて組み直すことで、精度が大きく向上したとの事で、コントラスト差の少ないリンパ節なども精度よく抽出できるそうです。腫瘍の抽出精度は術前シミュレーションには欠かせない技術ですので、多くの場面で活躍しそうな技術だと感じました。
上から「脊椎&脊髄抽出」「直腸抽出(リンパ節)」「Bone image + 腫瘍抽出」
また、今まではユーザーで操作できなかった、画像がVINCENTに入ってきた後の自動処理を内部的に走らせる技術も、本バージョンからユーザーで設定可能となったそうです。お恥ずかしながら私はそんな機能があることも知りませんでしたが、画像転送からワークステーション処理までを一元化し、かつ内部的に処理しておけるのは、ワークフロー向上に寄与すると感じました。時代にマッチした機能解放ですね!
・Smart Theatre(MRIボア内映像システム)
富士フイルムMRIに映像を投影できるシステムとして、総合企画さんが開発している「Smart Theatre」も取材してきました。これは名前の通り、MRIのボア内に映像を映すことで、狭い空間が苦手な方やお子様が安心してMRI検査を受けていただけるようなシステムです。最大で横600mm×縦1000mmと非常に大きな範囲に投影できますので、頭部検査だけでなく、腹部検査などでも映像を見ることが可能だそうです。
投影にも多くの技術が盛り込まれており、歪み補正、映像酔い策などがしっかり施されていますので、ボア内に投影されているとは思えないほど鮮明で歪みのない画像が投影されていました。また、このシステムは院内ネットワークとは接続しませんので、お好みの動画サイト、さらには付き添いのかたのお顔をうつしたりと、ニーズに合わせた様々な運用が可能だと感じました。
以上、富士フイルムのMRI、ワークステーション(VINCENT)、映像投影システム(Smart Theatre)をご紹介させていただきました。どの機能、技術も、ユーザーと被検者に寄り添った技術が多かった印象です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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