公立黒川病院の石森靖朗さん(以下お兄さん)からバトンを渡された、医療法人松田会松田病院の佐竹直也と申します。MRIはもちろん診療放射線技師業務もお休みしている私にバトンを渡すとは、私と同じでなかなかの変わり者です。そもそもMRIはそんなに詳しくありませんし、「運転できるだけ」のレベルで全く普通の診療放射線技師です。アカデミックなお話は何一つできませんので、ご了承ください。
お兄さん、ふみぽんさんとは高校生からのお付き合いですから、32年のお付き合いになります。当時お兄さんは既に診療放射線技師としてご活躍中で、ふみぽん君の家で夜な夜な(怪しい)お勉強をしている時に、就職活動無用、そこそこのお給料、学費の安い学校、周りには美人の看護師さんが沢山、死ぬまで仕事が出来るなどと「オイシイ」部分だけを鵜呑みにした私は、ホイホイとその道を選びました。
紆余曲折ありながら、平成5年に東京都立医療技術短期大学(現、首都大学東京)を卒業し、千葉県松戸市にあります新東京病院に入職しました。ここで初めて接したMRIが、日立のMRH-500とシーメンスのMagnetomM5という機種でした。このMagnetomM5ですが、非常に癖がありまして現在のユニット数からは考えられないくらいの多ユニット(10近くあったかと思います)で、1つのユニットごと手順書通り電源を立ち上げるのですが、とにかく時間がかかって面倒でした。当時は飲みニケーションは全て参加で、夜は飲みに行くことが多かったものですから二日酔いのMRI業務は辛かったですね。
その後、仙台に戻ってきてからはいくつかの医療機関で勤めたのですが、現在の職場である松田病院には、平成17年1月から勤めています。今年で開院36年を迎えた、整形外科を中心とした地域に根ざしたケアミックス型の病院です(急性期一般入院料47床、地域包括ケア病棟30床、回復期リハビリテーション病棟48床の合計125床)。特に人工股関節置換術や脊柱管狭窄症、前十字靭帯再建術では、仙台医療圏でもトップのシェアとなっています。その他エバーグリーン病院(精神科200床)、介護老人保健施設が4施設、診療所が6箇所ございまして、その中の仙台脳外科クリニック泉中央では、GEのProfileHDが未だ現役で稼働中です(今年更新予定)。その他、訪問診療や訪問看護、訪問介護事業所もあり、松田会は地域包括ケアの一角を担っております。
画像診断部門の機器構成は、MRI(Siemens MAGNETOM Area)、CT(TOSHIBA Activion16)、X-TV(HITACHI EXAVISTA)、DXA(HOLOGIC Discovery)、ポータブルX線装置(日立メディコSirius Star Mobile、TOSHIBA IMC-40)、外科用イメージ(島津製作所:OPESOPE ACTENO,OPRSCOPE 50S)、歯科(GC PLANMAECA プロマックス2D/3D、DENTAL X-RAY DX-1)、一般撮影はフジのFPDとCRが混在している状況です。当院では、US検査も腹部、下肢静脈を中心に診療放射線技師が担当しています。
診療放射線技師としては平成20年~平成25年まで技師長職を拝命し、CT、フラットパネル式の透視装置、PACSの更新に関わることもできました。しかし転機はある日突然やってきます。今から6年ほど前、忘年会で院長から「病院機能評価認定病院を目指したいので事務をやってみないか」と予想だにしないお誘い。相当悩みましたが、病院機能評価のプロジェクトリーダーを専従でできるなんていう機会は、この先絶対に無いと思い、お受けしました。元々風通しの良い職場風土がありましたので多職種の協力も得られ、一発で認定病院の仲間に入ることができました。病院機能評価プロジェクトリーダーの2年でいろいろ学び、もっと医療の質、病院の質が向上すればと思うようになり、元鞘へ戻り診療放射線技師業務に戻る選択肢もありましたが、画像検査科は部下にお任せすることとし、私はそのまま事務の道に残ることにしました。
現在は、法人全体の施設基準管理や、医療法による立入検査の対応、今年の9月に更新を迎える病院機能評価受診準備、地域医療構想調整会議などで議論されていることを鑑みた新たな戦略の策定などに関わりつつ、医療安全推進室や地域医療連携課なども兼務しております。画像診断関係では、画像等手術支援加算(K939)の適切な算定について関係機関に問い合わせを行い、現場にフィードバックしたりもしました。また気になる事としては、施設基準でCT及びMRIの共同利用について20点の加算がついていますが、この意味を(個人的見解で)読み解けば、CTやMRIの台数がそもそも多すぎるというメッセージにも思え、将来的にはCTやMRIのマイナス方向の経済的誘導がなされ、今よりも機器リプレイスがしづらい時代がやってくるのかもしれません。
診療放射線技師として現場にいたからこそ、医師や看護部、リハビリテーション部等との交渉もスムーズに行くことが多いと思っています。診療放射線技師でありながら、事務職をしている方を時々お見かけするのですが、現場を知っているからこそ事務職がスムーズに行くのは間違いないプラス要素になっています。医療経営士という資格も取得し、多くの方々と勉強したりする機会も増えました。さすがに二日酔いでの事務業務はつらすぎるので、平日のお酒の量が激減したのも思わぬ副産物でした(笑)。
診療放射線技師としての活動を完全に休んでいるわけではなく、昨年は、免許取得25年目にして「宮城県放射線技師会」に入会しました。目的は一つ、「恩返し」です。私自身がここまで成長するには多くの人の協力がありました。時には迷惑をかけたこともあったかと思います。県内での勉強会には時間が許す限り参加するようにしており、宮城県放射線技師会の活動を通じて、様々な方に恩返しができればと思っています。
次回は、栗原市立栗原中央病院の吉田礼さんを紹介致します。改めて説明するまでもなく吉田さんはMRIの重鎮ですから、ご存知の方も多いかと思います。ふみぽんと同様、高校からの同級生で、近所に住みながら中々お会いする機会も無いのですが、MRIのお話はもちろん、過疎化が進みつつある医療圏にある地域中核病院の現状や、将来的な展望も聞いてみたいですね。それでは吉田さん、よろしくお願い致します。
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