ISMRM2015 Siemensランチョン

シーメンスのランチタイムシンポジウムでは、例年のごとく、大変多岐にわたる発表がなされました。「Syngo MR E11」については、最後をみてください。

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これはその一例で、左がTWIST-VIBE,中がStar-VIVE、そして右がOncoCareと名付けれれた癌の比較アプリケーションです。
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これは、3TのPrismaによる、高いGradient performanceとcoil密度(コイル数)による高分解能DSI。
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その後、MRIの高速化についての説明がありました。

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コイル数の向上は、体幹部でも60に及び、右に示すような320matrixの高品質の画像が7秒で撮影可能に。
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今年は、本当にマルチバンドイメージングが実現しそうな感じですが、このスライドでも、Multi-slice (SMS) acquisitoin(3倍速)が表示されています。

スクリーンショット 2015-06-05 23.29.11

もうひとつの潮流である、sparce sampling ですが、これは圧縮センシングによる高速スキャンの様子で、どんどん実現に近づいているようです。「圧縮センシング」と「MRフィンガープリンティング」は、似て非なる高速化技術**(文末参照)ですが、これについては、藤本先生(京都大学→NYU)がとてもわかりやすい講演を、月曜日のゲルベ・テルモの講演会でしてくれていました。将来ぜひmrifan.netでも解説してもらいたいなぁと思いました。

スクリーンショット 2015-06-05 23.29.35

次に定量化の発展についての話がありました。

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左が腫瘍に対する治療効果を判定するためのアプリケーション(whole region ADC histogram analysis)、右が脳の各部位別の容積判断。

スクリーンショット 2015-06-05 23.30.05

これがMR Finger Printingの実際例。研究は進んでいるようです。
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そして最後に強調されたのが、新しい7T装置 Terraです。世界初のActive Shieldの装置で、20トン程度の重さだそうで、これなら入れられる施設も増えるとのこと。

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Terraの性能に関する解説

 

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DTIの結果を、RSNAのときに紹介したWSでリアル(に見える)再構成をした結果。
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これもそうです。
スクリーンショット 2015-06-05 23.31.47

そして、皆が驚いたのがこの画像。これは手根部の撮影。写真の中央付近にある、高信号のrimで囲まれた低信号構造物がTendonで、中央やや下にある、全体として楕円形の、小さな円形構造物でできているものが正中神経。

スクリーンショット 2015-06-05 23.32.10

下が正常で、上が線維化を生じている正中神経。ものすごく詳細な構造が見えるので、確かにこれなら診断が容易ですね。驚きました。

スクリーンショット 2015-06-05 23.32.17

 

これは膝関節の軟骨下損傷。これも、とてつもなく鮮明です。

スクリーンショット 2015-06-05 23.32.41

 

そのほか、多数の小さなコイルによるShimmingの話がありました。

スクリーンショット 2015-06-05 23.33.00

 

通常のHigh order shimに比べて、Multi-coil shimでは、チャンネル数が多くなるに従いshimmingの性能が上がっています。

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head-neckで撮影すると、かなり下の方までキレイにDTIが得られています(個人的には、耳下腺の下のリンパ節もかなりキレイだと思いました)
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非常に鮮明な、0.5mm isovoxelのphase image (parallel imaging factorが3で、Mutiband factorが3)
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超高分解能DWIを可能とする、SLIDER-SMSと呼ばれる技術。図のように、2mmのvoxelをずらして撮影することにより超高分解能を得るようです。スクリーンショット 2015-06-05 23.34.40


 

*E11について:以下の内容を含む新しいソフトウエアバージョン
– Quiet Suite(静音撮影)
– FREEZEit(息止め不要の3D T1 Gradient echo )
– LiverLAB(肝内の脂肪•鉄の定量)
– MyoMaps(動き補正付きの心筋T1,T2 map)
– Advanced WARP(金属アーチファクト低減)
– DotGO(スライス自動位置決め、撮影条件最適化の自動化等の撮影支援機能)

**圧縮センシングと、MRフィンガープリンティング
どちらも間引いたサンプリングをする(sparce sampling)をする技術。圧縮センシングでは、ランダムに間引いたサンプリングをして、実像に近いものを推定する。MRフィンガープリンティングは、「ランダムに」パラメータを変えながら撮影をするので、それ自体は画像として成立しないが、得られたデータのランダム性に注目して、実像に近いものを推定する。


 

以上、シーメンスランチョンの報告でした。

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tarorin東海大学工学部 医用生体工学科 教授

投稿者プロフィール

MRIの撮像・フィルム焼き・患者導入に従事していた経験を活かし、企・技・医の中間の立ち位置を大切にしています。モットーは研究結果を中立的に判断すること、皆で研究成果を愉しむことです。

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