シーメンスのランチタイムシンポジウムでは、例年のごとく、大変多岐にわたる発表がなされました。「Syngo MR E11」については、最後をみてください。
これはその一例で、左がTWIST-VIBE,中がStar-VIVE、そして右がOncoCareと名付けれれた癌の比較アプリケーションです。
これは、3TのPrismaによる、高いGradient performanceとcoil密度(コイル数)による高分解能DSI。
その後、MRIの高速化についての説明がありました。
コイル数の向上は、体幹部でも60に及び、右に示すような320matrixの高品質の画像が7秒で撮影可能に。
今年は、本当にマルチバンドイメージングが実現しそうな感じですが、このスライドでも、Multi-slice (SMS) acquisitoin(3倍速)が表示されています。
もうひとつの潮流である、sparce sampling ですが、これは圧縮センシングによる高速スキャンの様子で、どんどん実現に近づいているようです。「圧縮センシング」と「MRフィンガープリンティング」は、似て非なる高速化技術**(文末参照)ですが、これについては、藤本先生(京都大学→NYU)がとてもわかりやすい講演を、月曜日のゲルベ・テルモの講演会でしてくれていました。将来ぜひmrifan.netでも解説してもらいたいなぁと思いました。
次に定量化の発展についての話がありました。
左が腫瘍に対する治療効果を判定するためのアプリケーション(whole region ADC histogram analysis)、右が脳の各部位別の容積判断。
これがMR Finger Printingの実際例。研究は進んでいるようです。
そして最後に強調されたのが、新しい7T装置 Terraです。世界初のActive Shieldの装置で、20トン程度の重さだそうで、これなら入れられる施設も増えるとのこと。
Terraの性能に関する解説
DTIの結果を、RSNAのときに紹介したWSでリアル(に見える)再構成をした結果。
そして、皆が驚いたのがこの画像。これは手根部の撮影。写真の中央付近にある、高信号のrimで囲まれた低信号構造物がTendonで、中央やや下にある、全体として楕円形の、小さな円形構造物でできているものが正中神経。
下が正常で、上が線維化を生じている正中神経。ものすごく詳細な構造が見えるので、確かにこれなら診断が容易ですね。驚きました。
これは膝関節の軟骨下損傷。これも、とてつもなく鮮明です。
そのほか、多数の小さなコイルによるShimmingの話がありました。
通常のHigh order shimに比べて、Multi-coil shimでは、チャンネル数が多くなるに従いshimmingの性能が上がっています。
head-neckで撮影すると、かなり下の方までキレイにDTIが得られています(個人的には、耳下腺の下のリンパ節もかなりキレイだと思いました)
非常に鮮明な、0.5mm isovoxelのphase image (parallel imaging factorが3で、Mutiband factorが3)
超高分解能DWIを可能とする、SLIDER-SMSと呼ばれる技術。図のように、2mmのvoxelをずらして撮影することにより超高分解能を得るようです。
*E11について:以下の内容を含む新しいソフトウエアバージョン
– Quiet Suite(静音撮影)
– FREEZEit(息止め不要の3D T1 Gradient echo )
– LiverLAB(肝内の脂肪•鉄の定量)
– MyoMaps(動き補正付きの心筋T1,T2 map)
– Advanced WARP(金属アーチファクト低減)
– DotGO(スライス自動位置決め、
**圧縮センシングと、MRフィンガープリンティング
どちらも間引いたサンプリングをする(sparce sampling)をする技術。圧縮センシングでは、ランダムに間引いたサンプリングをして、実像に近いものを推定する。MRフィンガープリンティングは、「ランダムに」パラメータを変えながら撮影をするので、それ自体は画像として成立しないが、得られたデータのランダム性に注目して、実像に近いものを推定する。
以上、シーメンスランチョンの報告でした。
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。