Look back Gyro cup① 「 PPU同期 心臓MRI 」(Philips)

Philipsユーザーのお祭り「Gyro Cup」

今年も、Gyro Cup開催の年となりました。

新型コロナの影響で開催も危ぶまれていましたが、Web開催も含めて、開催が決定いたしました。

皆様もご存じであるかと思いますが、「Gyro Cup」は2年に1度開催されるPhilips装置を使ったユニークな、撮像アイディアテクニックを競い合う大会です。

Philips装置のパラメーターは自由度が高く、普段使用しない項目も数多くあります。

そういったパラメーターを利用したり、一部設定を変更するなどで、画質の向上時間短縮、新しいコントラストの創造などのアイデア溢れる内容が、毎回発表されています。

Gyro Cup関連記事

MRI fan netでも以下の記事が、Gyro Cup関連記事となります。

未読の方は是非、お読みください。

① Gyro cup 2018 ファイナリストとして発表された
3.0Tでも腎動脈を非造影かつ息止めで撮像できるシーケンス

② Gyro cup 2016 神奈川・静岡ブロックの予選会で発表された
プロトン密度強調ⅥSTAによるMIP処理MRA(VISTA― MIP MRA:Ⅵ P MRA)

③ Gyro cup 2016 ファイナリストとして、Bronze Award受賞された
Single―shot “simple” T1-TFE

④ 手前味噌ですが、Gyro cup 2012 東京・千葉ブロックで予選落ちした
私の最後の砦 ~PPU同期のすすめ~

⑤ Gyro cup 2014 ファイナリストとして、Bronze Award受賞された
頭部TOF-MRAにおける新しいREST pulseの使い方

 

私の最後の砦 ~PPU同期のすすめ~

上記、 MRI fan netの記事の中では、ページの都合上「下肢血管の応用」のみ、ご紹介していましたが、2012年 GyroCup予選会では「心臓MRIの応用」も併せて発表していましたので、この機会にご紹介させていただきます。

心臓MRIで、最も頭を悩ませるのは不整脈対策であり、多くの皆さんがご経験されていると思います。

でもあまり知られていないこと・・・ 実は気づくことから始まるってご存知ですか?

赤丸には脈があり、心臓の収縮が把握できますが、水色ははっきりとした脈が無く心臓の収縮が把握できません

これが不整脈なのかT波増大などのノイズを拾っているのかは判断が難しいところですが、いずれにせよ撮像開始前に気づく必要があります。

PPU同期を併用しておくことで、不整脈に気づくことができます。

また、必要に応じてPPU同期に切り替えることで、T波増大などのノイズの影響を無視することができ、心電図がうまく取れない患者でも撮像が可能になります。

ただし、PPU同期には2つの注意点があります。

① ECG同期と逆の、心電図トリガーから収縮期→拡張期の順になること

 

Cine画像のPhaseが逆になるのは、慣れで解決できる問題ですが、T2W Black Blood や LGE (Late Gadolinium Enhancement) の画像の場合、収縮期での撮像となります。

これは、臨床所見上、問題になる場合がありますので、可能な範囲で設定を変更し拡張期での撮像にする必要があります。

②VCGとPPUを同時に使用する場合、PHILIPSの装置では、HRの表示は必ず「VCG信号の計算値」となる

PPU同期に切り替えた場合は、ECGの値に惑わされず、自分で設定HRを考える必要がありますので、そこだけご注意ください。

 

Cine 画像が撮像できない時

PPU同期を使用する症例の場合、HRの変動が多く「Retrospective」での設定では撮像ができない場面に、多く遭遇します。

そういった場合、一般的に「Gate」に切り替えて撮像する方法が、推奨されています。

 

「Gate」にすることで撮像自体は可能ですが、PPU同期の場合、収縮期の評価が難しくなることが、まず挙げられます。

さらに、2段脈や3段脈などのRR間隔が規則的に変化する場合においては、心臓の状態を正しく反映できているCine画像ではないという問題もあります。

そこで、PPU同期時に「Retrospective」が使用できない場合、私が推奨するのは「Trigger」です。

Triggerは1枚目の画像にノイズ がのりますので、そのまま使用するとgate以上に収縮期が評価困難となります。

しかし、設定HRに従い撮像を続けるという特性を持ちますので、設定HRを実際のHRより、短く設定することで2RRの撮像が可能となります。

これは撮像時間の延長につながり、息止めが困難となりますが、加算平均(SMART)を使用することで、自由呼吸下で撮像が可能です。

1枚目のノイズ画像は後処理で、除くことが可能です。

いかかでしょうか?

是非、心臓MRIでもPPU同期を使ってみてください。

貴方の最後の砦になれば、幸いです。

Gyro Cup 発表演題のご紹介

Gyro Cup本戦に出場された発表は、多くの方に共有されますが、惜しくも予選落ちした発表は、そのまま埋没している発表もあります。

今回、ご紹介させていただいた私の内容では、足元にも及ばない素晴らしい発表が数多くあります。

そこで、素晴らしいアイデアだけど惜しくも予選落ちした発表を紹介するシリーズ企画「Look back Gyro cup」を行いたいと思っています。

次回からが本番となりますが、第2回目は「 CSFの流れを可視化する 」アイデアのご紹介です。

是非、ご期待下さい!

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