皆さんこんにちは。順天堂大学医学部附属 順天堂医院の古河です。
ITEM2022における「United Imaging Healthcare Japan(以下United Imaging)」のブース取材を担当させて頂きましたので、ご報告させていただきます。
皆さんはUnited Imaging社はご存知でしたか?2018年のRSNAで初めて発表され、2019年12月に日本法人が設立。ITEM出展には今年からという新興企業です。
日本での納入実績はまだないとのことでしたが、海外では累計1200台以上の納入実績があり、中国では既にシェアトップに、リサーチサイトとしては米国のワシントン大学で心臓MR、中国の北京大学でNeuroなどの共同研究を行っているそうです。
初出展ながらモックアップの設置もあり、大きなブースとなっておりました。
uMR OMEGA
United Imaging社のフラグシップMR装置は、ブースにも展示されていた「uMR OMEGA」です。
静磁場強度3T、ボア半径は75cm 最大FOVは60*60*50cm、最大傾斜磁場は45mT/m、最大磁場勾配は200mT/m、被検者の許容最大体重310kgのスペックであり、数値上は他のベンダーに劣る点はありません。
特徴としてはスターライトシステムと呼ばれる、ボア外からの投影装置があり、星空の中にいるように感じられるようです。
展示会場の照明が強すぎたこともあり、スマホのカメラ性能では限界がありましたが、綺麗な画像が投影されていました。
豊富なコイルラインナップ
モックアップ展示では、Head&Neckコイルと寝台に内蔵されているSpineコイルのみでしたが、実際には、頭部では32chコイル、体幹部部領域では70*50cmのカバー範囲をもつ24ch Bodyコイルをはじめとした各種専用コイルがあるようです。他の大手メーカーと比較して、まずまずのラインアップといったところでしょうか。
近年各社から出てきた、汎用性の高いフレキシブルコイルは無いようでしたので、そのあたりの拡充が待たれます。
個人的には、各社から姿を消してしまったCardiac 24chコイルが非常に気になります。
実際の画像は?
スライドではなく、ワークステーションを使わせていただいて実際の画像を見せて頂きましたが、そこにあった画像は文句のつけようのないものばかりでした。
ベーシックな頭部はもちろんのこと
腹部もきれいで
Lage FOV(左FH50,左FH45cm)の画像ですが、大きな歪みや脂肪抑制不良は見当たりませんでした。
気になるシーケンス ラインアップ
部位に応じた多様なシーケンスが用意されていましたが、ベンダー特有の固有名称であったシーケンスなどを中心に解説していきます。
ARMSはFSE法のプロペラで、パラレルイメージングとの併用は可能とのことでした。
United ImagingではT1 GRE法を「Quick」と呼んでおり、3D-Quickと2D-FSEに使用可能な2point DIXON法です。
スライス面内をRadial収集する3D-GRE の撮像方法です。他社ですと「3D-VANE やSTAR-VIBE」にあたります。ラジアルサンプリングですので体動に強く自由呼吸下での撮像などに応用が可能です。
自動でスライス位置の設定をしてくれるソフトです。
AIの浸透に伴い他社でも実装が多くなってきておりますが、個人的には、これの有無で新人教育にかかる時間や、多忙な状況下でのインシデント発生率は変わると思っており非常に重要であると感じています。
近年、NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease; 非アルコール性脂肪肝疾患)の研究が進んだことで肝臓の脂肪定量が重要となっており、MRIを用いたFat Fractionでの評価は多くの施設で求められているかと思います。
各ベンダーから様々な手法が提案されていますが、その中で鉄沈着によるFat Fractionの影響は言われておりますので、R2*の評価も重要です。両方が一度のシーケンスで簡便に取得できることは、位置ずれのリスクが少なく、とても有用性が高いと思います。
圧縮センシングを応用したパラレルイメージングです。
ほぼ全てのシーケンスに適用可能の上、最大36倍速というのは理論上としてもなかなかであるのかなと。
気になる再構成の時間も、実臨床上のDATA量では遅延はほぼ生じないとのことで、実際の使い勝手が非常に気になります。
こちらはuCSで36倍速にて撮像したDynamic画像です。
一回息止めで30pahse撮像することで早期層の血行動態が明瞭に描出されています。
United ImagingでもAIを応用した技術が発表されていました。
残念ながら現時点ではuMR OMEGAには搭載されず、先行機種である3.0T uMR780に先に搭載されるようです。
ハーフフーリエ、パラレルイメージング、CSにAIを組み合わせた手法で、撮像時間の短縮とそれに伴う、モーションアーチファクトの低減が図られるとのことでした。
最後に
今回はモックアップの展示や画像の供覧はできましたが、実際の装置側UI(User Interface)は展示されておらず、そこが残念ではありました。UIは、ユーザー側が導入を検討する上で、非常に大きなファクターとなりますので、次回は展示を強く望みます。
全体的な感想として、新興会社とは思えないクオリティでした。将来的に内容次第では第6のベンダーとして日本国内でもシェアを広げる会社かと思われます。
まだまだ気になる点はありますが、今後に期待したいと思います。
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