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第42回磁気共鳴医学会大会に参加して
- 2014/10/26
- Any Modality, 学会報告
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第42回日本磁気共鳴医学会が去る9/18(木)~9/20(土)の3日間 京都で開催されました.京都開催での会場は京都国際会館が多いのですが,今年は京都駅内からアクセス可能なホテルグランヴィア 京都で行われました.アクセスの良さもあって,参加者も多く感じました.総会にて,初日から1200名程の参加があったと聞きました.
この総会で優秀論文賞の授賞がありました.その中で,乳腺MRIの最適な生理周期における撮影日を検討した梶原万里子先生の論文がありました.生理開始後5~12日が最適な撮影日という知見までは従来の主張通りですが,生理開始後27日では,乳腺の細胞が浮腫をおこす(より造影剤が溜まる)ので,その日だけは絶対に避けるというのが新しい知見であり主張でした.大変勉強になりました.また順天堂大学の青木茂樹先生がMagnetic Resonance in Medical Sciences(MRMS)の論文で,北里大学病院のウッドハムス玲子先生の拡散強調画像の論文が129回引用されたと話してくれました.先生の論文は以前から知っていたので大変嬉しく思いました.
今年も多くの演題がありました.また教育講演,ランチョンセミナーなど教育的な要素の講演も非常に参加者が多くありました.その中で,心臓の教育講演で三重大学の北川覚也先生の話は非常に勉強になりました.心臓MRI総論なのですが,遅延造影でもEarlyとDelayを撮影すべきというお話がありました.MVO(微小循環障害)でのDelay撮影では不均一に造影され,病変範囲がわかりにくいということでした.一方,Earlyでは1.5TでTIを400ms程度にして撮影.正常の心筋と,まだ不均一に造影されないMVOとで境界明瞭なコントラストになるということでした.このことは既知ではあったのですが,症例を見せていただくことで,理解できるし,非常に説得力のあるものでした.また新たな心筋評価の評価方法として心筋のT1マップの話が出ました.心筋障害の部位とT1マップにおけるT1延長病変とに相関があるとのことで,造影剤を使用しなくても評価できる可能性があるということでした.ただし,このT1マップを取得するための特別な撮像シーケンスが必要となります.また造影後にT1マップによる評価も可能で,これから求められるECVという指標も,心筋症などを評価する方法として期待されているということでした.
今回の学会で非常に多くの演題で取り上げられていたのがcomputed DWI(cDWI)という方法です.これほどの注目とは思いませんでした.Meditools.jpというところで、OsiriXのプラグインを2000円で販売開始したようで, だれでも使えるようになったそうです. 簡単に書くと,b値を0と1000sec/mm2 で撮影したとします.この2つの画像から自由に計算されたあるb値の拡散強調画像を得る方法です.上記の組み合わせからb値2000 sec/mm2 を作り出すことができます. 例えば,当院の急性期脳梗塞のプロトコールははactualにb0,1000,2000を撮影しています.例えば,b0,1000のみを撮影してb2000は勿論,b3000,b4000なども可能です.Actual DWI(aDWI)ではb値を非常に高くすると,SNRが悪くなり評価できない場合もあります.cDWIではこのようにHigh b値をSNR良く画像として取得できる可能性があります.東海大学の高原太郎先生は,作成されたcDWIでは脂肪の信号が逆に邪魔になる場合があります.そこでADCを0.4以下のものはカットするという試みを行っていました.これは客観的に評価するうえで大事なフィルターになります.こちらもMIPなどで,抗癌剤評価などのバイオマーカとして期待されています.演題では実際に直腸,乳腺などに応用された例を拝見させていただきました.このcDWIには実際に個人的に関心が高く,どういった組み合わせならaDWIと同等に評価できるものなのか?実際に,今後検討していきたいと考えています.
造影剤に関してエーザイのランチョンセミナーを拝聴してきました.帝京大学の神田知紀先生のお話では,Linear型の構造をもつGd製剤では,腎機能が良くても,Gdのキレートがはずれて,小脳歯状核に蓄積するということでした.それに対してマクロ環型構造の造影剤ではそういったことは認められないという衝撃的な内容の講演でした.次に話された群馬大の対馬義人先生の話では,Gd製剤はキレートをはずれてリン酸化Gdとなり,骨に取り込まれるということでした.(全身に蓄積している可能性)股関節の例で,剖検で示した報告もありました.現時点では冷静な対応は必要ではあると思いますが,今後この問題がどうなるか冷静に判断対処していきたいと思います.話は変わりますが,造影剤のアレルギー予防でステロイドを静注している施設があれば,すぐに辞めたほうが宜しいというお話を聞きました.24時間前と2時間前の経口投与が良いという話でした.目から鱗の話でした.今回参加させていただいて,安全面ということも再度認識できたと思うし,安全の配慮(金属デバイスなど:当院のやり方:これでいいのか?)ということで,危機感をもったのも事実です.毎年,しっかり研鑽して参加し,こういった情報を病院に持ち帰ってきたいと思います.最後は圧縮センシングの話です.データがスパースであれば,画像を復元できる.という原理を利用してデータをアンダーサンプリングする高速撮像方法です.原理などを教育講演で聞きましたが,なかなか難しいですね.途中までは理解できたのですが,やはり途中からわからなくなりました.PIとの組み合わせもできるので,今後もまたより注目しなければならない技術だと思いました.
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