題名:「やってみなはれ」
公益財団法人 北福島医療センター・画像センター 放射線技術科 丹治 一
自己紹介
慈恵医大の北川さんからご紹介いただきました、北福島医療センターの丹治です。
私は、日本酒消費量 4位 (2009) 、ウイスキー消費量 5位 (2009)の福島県民性に漏れず育まれた飲兵衛のアラフィフです(^^) 1987年卒後、慶応義塾大学医学部中央放射線技術室を経て、1991年より今の法人団体に勤務しています。卒後間もなくMRIを経験してから、はや四半世紀。相変わらずMRI検査に専従しています。
趣味
①飲兵衛の定番!“お酒の飲み比べ”です。 主にウイスキーやワインが好物で、ただいま薀蓄を勉強中です。でも、飲みながら覚えるのですぐに忘れちゃいます。
②映画やドラマの鑑賞。年甲斐もなく、シンデレラストーリーが大好きなオジサンです。
③カメラ。「写真じゃないの?」と言われそうですが、写真から少しずつ嗜好の位相がズレはじめ、“カメラ”(物)に移りつつあります。写真を真剣に愛する方から見れば、嫌われるタイプの趣味かもしれません。
④モーターサイクル。四十の手習いでランクアップに合格!若い時に憧れたBig machine riderになりました。
只今、④はヘルメットアレルギー(アレルギー性接触皮膚炎)でドクターストップ中。①②は「いい加減にしなさい!」とワイフストップがかかりそうな状況で、顔色をうかがいながら程々(頭が溶けない程度)に楽しんでいます。
薀蓄を学ぶ教本“ボルドー基本ブック”です。でも、なかなか頭に入りません。1ページ読み進めるのに幾つコルク栓が貯まるのか…
36年前に初めて手にしたカメラと最近手に入れたカメラ。始めた頃は、一枚にかける”想い”や、写真が仕上がってくるまでの“ドキドキ感”が好きでした。デジカメは取り直し自由!お金もかからないので大変便利!でも、失ったものも大きい感じがします。
MRとの出会い
最初にMR装置に触れたのは1988年。上司の指導を受けながら、GE社製Signa Advantage 4xを操作したのがはじまりです。
当時の職場には、今のMRIの発展に大きく貢献した著明な先生方が沢山在籍していました。また、GEの営業技術者とSignaを学ぶ研修者が多く出入りする特殊な環境でした。絶えず3~4名が1台の装置を囲み、操作する指先に鋭い視線を感じながら検査をこなしていたのを思い出します。
ちょうどこの頃、高速SE法やGREASE法が研究ベースで完成したこともあり、いち早く最先端の撮像技術に接することができました。検査時間が大幅に短縮された時には、「早く帰れる!」という思いとともに、MR検査の凄さや将来性に大きな期待を馳せたのを覚えています。ほどよい緊張感の中で養われたこの時の経験は今でも印象深く記憶に残っており、現在の原動力に繋がっています。
*当時、押尾先生(慶大)が試していた研究論文をみつけました。最近の装置で試してみたい内容です。役立ちそうと思いませんか?
Simultaneous acquisition of proton density, T1, and T2 images with triple contrast RARE sequence. Oshio K1, Jolesz FA. J Comput Assist Tomogr. 1993 Mar-Apr;17(2):333-8.
今に繋がるPhilips のMRI
現職場に入り、少し時を経た1996年。Philips 社製1.5TMRIが導入されました。使い初めの印象が鮮烈で、なにをやっても、“not compatible”にならない! “ETL”はどこまでも許容する! 先行パルスも使い放題! それでいて、注意すべきところをちゃんとinformationしてくれる。とにかく驚きの連続でした。
それから18年、初代ACSNTからPT6000、NT-Interaと使用の経験を経て、現在では1.5T Achievaと3.0T Ingeniaを使用しています。Flexibilityに富むPhilipsのMR装置は、たびたび操作者を弄んだり、知らぬところで手を抜いたり、看視の目を養わないと怠ける癖があります。でも、導入当初となんら変わりなく、「やってみたい!」のほとんどを許容してくれるところが魅力の装置です。長い付き合いになると、浮気心も少しは芽生えますが、上手に使いこなしていきたいと思っています。(笑)
病院新設と共に移設した二代目のACS-NT PT6000。現役を退いて今はバラバラ状態。大好きな装置でした。
「やってみなはれ!」
朝ドラで話題のマッサン。モデルとなっているのはニッカの創業者・竹鶴政孝ですが、話の端々にサントリー創業者・鳥井信治郎をモデルにした人物も登場します。鳥井信治郎はことあるごとに「やってみなはれ」という言葉を使ったそうで、ドラマでもたびたび、この台詞が使われています。ごく普通の言葉ですが、人物の背景や功績を知ったうえで、あらたまって聞くと、深い言葉に感じます。福島弁だと「やってみ↺(語尾上がり)」でしょうか…
MR撮像技術の多くは理論的に筋道を立てやすく、予め研究の方向性を定めることができます。そのため、ちょっとした工夫を思いついても、理屈にそぐわなければ「やらずしてあきらめる」ことがしばしばです。私的には、理に叶わない工夫でも、やってみてみる(実験してみる)ことが発想の糧と思っています。結果の是非に関わらず、実験を通して「なるほど!」と思った事は、その知識を大事に記憶し、それを頼りに幅広く応用してみようという気持ちが沸いてきます。また、理屈と実際が必ずしも一致するとは限らず、時として思わぬものを生むかもしれません。あたりまえの事でも、突拍子もない発想でも、まずは理屈にとらわれずに「やってみなはれ」のチャレンジ精神で、MRIに立ち向かっていきたいと思っています。
次の人は・・・
北九州市、戸畑共立病院の山本晃義さんを紹介します。皆さんご存じのことと思いますが、【東芝】【MRI】【非造影MRA】のキーワードで必ずお名前が挙がる有名人です。知り合ったのは2007年。非造影MRAの技術を学びたくて、学会でご活躍中の山本さんを地元の研究会に招いたのがきっかけです。以来、JRCやJSMRMでお会いする“学会の友”のお一人です。業務傍ら学会のお仕事も熟す多忙な山本さんですが、経験談などを伺えたら幸いです。宜しくお願いします。
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