WB-DWI :シーメンス社Spectraの画質向上!!

Body-DWI研究会でも話が出ましたが、シーメンス社SpectraのDWI画質があまり良くないと指摘を受けてきました。当院でも脂肪信号を抑制しきれていない外周部のアーチファクトが目立ちます(><)・・・STIRで撮像しているのに・・・何が違うのか・・・・

そこで当院メディカルスキャニングではシーメンス社にもサポートして頂き、約4か月の期間をかけて様々な取り組みを行って、だいぶ改善したので報告します!

改良のポイントは3つ!!

1) 脂肪抑制法にはSTIR+Fatsat(CHESS法)

基本条件として正常腸管組織の信号と脂肪信号をより抑えるためにSTIRに加え、CHESS法も加えて撮影します。

2) スペーサーの設置

STIR法とCHESS法を併用してもなぜか体表面の脂肪を抑制しきれていません。そこで体表面のアーチファクトを軽減させるため、体表面の高信号を低下させる目的で身体とコイルとの間(腹側、背側)に5cm程度のスペーサーを設置しました。

スクリーンショット 2015-04-06 22.53.55

※体厚のある被検者は背側にスペーサーを入れると腹側がボア径の中心から大きく外れるため、背側はタオル1枚敷く程度に。

スクリーンショット 2015-04-06 22.54.13

↑(左)以前の画像:矢印で示すように抑制しきれてない脂肪信号がアーチファクトとして現れる。(右)改良後の画像:アーチファクトが目立たなくなり、ほぼ均一に脂肪抑制されている。

3)Scale. Cor.を10に設定

元々信号が弱いDWI。ダブルで脂肪抑制を効かせてるので、さらに信号が弱い。そこでImg. Scale. Cor. *を10へと上げ、画像再構成においてグレースケールのパラメーターを調整する。

*Img. Scale. Cor.  調整された信号値を1として、何倍するかの係数

スクリーンショット 2015-04-06 22.54.19

↑(左列はImg. Scale. Cor.を1:右列はImg. Scale. Cor.を10.0に設定)

信号を10倍にしているのでWL、WWの調節もしやすくなりますし、ノイズも目立ちません。

スクリーンショット 2015-04-06 22.54.25

↑(上段:b=1000、下段:ADC-map)左列はImg. Scale. Cor.を1.0・ 右列はImg. Scale. Cor.を10.0

Img. Scale. Cor.1.0ではb=1000で信号が少なすぎることに起因して、ADC-mapで黒く抜けてしまうところもある。Img. Scale. Cor.10.0 はしっかりと信号を画像化出来ていて、ADC-mapも問題なし。

 

他のMRIでもこれは有用です!!

DWIのような信号が少ない場合にとくに使えます。元々の信号が小さいので正常組織と病変部の信号差が小さい場合もImg. Scale. Cor.によって差がわかりやすくなります。

結果

↓改良後WB-DWI

スクリーンショット 2015-04-06 22.55.45

3つの大きなポイントを抑える事で、このような画像がようやく撮れる様になりました。

↓改良WB-DWI撮影条件

スクリーンショット 2015-04-06 22.56.01

 

ライター情報

メディカルスキャニング東京・宮崎達也(左)

スクリーンショット 2015-04-06 22.54.51

Editor’s Comments

スペーサーの設置については、シーメンスの渡辺陽さんから以下のようなコメントをいただきました。なるほど!
「改良のポイント、スペーサーの設置について、ガントリーコイルでTI値をご検討いただいた際、TI240で良好な脂肪抑制効果が得られたことをご報告いただきました。したがって体表面の脂肪信号自体は抑制できており、高信号として描出されるのはコイル表面の感度が高いためと考えます。他のコントラストのように信号が得られる場合にはNormalizeフィルターで感度補正を使用しますが、Diffusion画像のように信号が低い場合にはノイズが持ち上げられてしまいます。そのため表面コイルの高感度領域の信号を抑える目的で、今回のようなスペーサーの工夫が有効であったということになると思います。」

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