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造影のバランスドシーケンスで神経描出能を向上させる!!
- 2015/5/10
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めまい ふらつき 聴神経腫瘍へのアプローチは?
聴力の低下、めまい、歩行時のふらつきなどがある場合、小脳橋角部のMRI撮像を依頼されることがあり、代表的な疾患に聴神経腫瘍があります。皆さまのご施設では聴神経腫瘍に対しどのようにアプローチされているでしょうか?
聴神経腫瘍と顔面神経は近接していますが、聴神経腫瘍の手術の際には、顔面神経を温存するためこれを正確に同定することが望まれます。その一つの手段として、造影後にバランスドシーケンスで撮像すると、比較的容易に腫瘍周囲の血管と顔面神経の同定が可能であり、聴神経腫瘍の術前検査として有益な情報をもたらすことがあります。
バランスドシーケンスはT2*/T1に近似したコントラストが得られ、造影剤が投与されると、腫瘍部と血管のT1値が短縮し、造影効果を反映することが出来ます。(下図参照) このような撮像は1999年にYoshinori Shigematsuら*1によって報告されているので決して新しい手法ではありません。
ここがキモです 反転画像で観察!!
バランスドシーケンスに造影を加えた撮像の場合、濃染された聴神経鞘腫近傍の神経同定がし易くなります。脳神経の描出手段として反転画像を用いる手法がありますが、同様な手段で観察すると、聴神経腫瘍及び血液信号は造影効果があるため、反転画像では低信号に描出される一方、脳神経は造影効果がないため、反転画像では高信号に描出されて腫瘍周辺の神経走行が把握し易くなります。(下図参照) このようにバランスドシーケンスに造影を用いることは有用だと思われます。皆さまも是非お試しください。
参考文献
*1 Shigematsu Y1, Korogi Y, Hirai T, Okuda T, Ikushima I, Sugahara T, Liang L, Contrast-enhanced CISS MRI of vestibular schwannomas: phantom and clinical studies. J Comput Assist Tomogr. 1999 Mar-Apr;23(2):224-31.
ライター紹介
京谷 勉輔 きょうたに かつすけ(神戸大学医学附属病院)
民間病院に勤務していた頃にMRIに出会い、当初は試行錯誤の中で取り組んでおりました。その中で様々な研究を通じて、「画像診断が変われば医療が変わる」という経験をしました。それがこの道で生きていこうと思うようになった「きっかけ」です。
これまで多くの方に支えて来てもらった人生でしたが、これからは、自分の経験を多くの方にお伝えし、少しでも「きっかけ」を作るお手伝いができればと思います。
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