はじめに
皆さんは、MRI検査業務に携る中で、造影剤などの添付文書を「さらっと」読んだ経験はあると思います。しかし、「添付文書ってそもそもどんな物なのか?」についてはあまり意識をしたことがありませんよね。
そこで添付文書について概説したいと思います。また、最後にMRI検査において「気になる製品」(ご存知の製品かと思いますが・・・・)の材質、適応を紹介したいと思います。
添付文章とは?重要だよ!!
添付文書は (1) 医薬品、(2) 医療機器、(3) 化粧品、(4) 医薬部外品の4種類において、禁忌や使用上の注意などの重要な事柄を記載した書面です。その内容を、まずはリストで見てみましょう。
- 禁忌・禁止・警告
- 使用上の注意
- 使用目的
- 効能・効果
- 品目仕様
・・なるほど。まぁだいたいの雰囲気は分かっていますよね。
添付文書は薬事法により定められた公的な文書でです。(1)医薬品、(2)医療機器に関しては、添付文書の作成・添付は義務である一方、(3) 化粧品 (4)医薬部外品に関しては、必ずしも義務ではありません。しかしMRI検査に関連する製品のほとんどは医療機器に属すので、必ず添付文書は存在しています。もし、添付文書が存在しない場合は薬事法対象外製品(雑品)の可能性があります。(図1)
医薬品、医療機器、化粧品、医薬部外品とはどんな物なのでしょうか?
4つの分類について、もうすこしだけ解説しますね(がんばって読んでください!)
(1) 医薬品に関する定義:簡単にまとめると「飲む、塗る、注射をすることにより、人の疾病の診断・治療・予防を行うための物」です。(図2)
(2) 医療機器に関する定義:簡単にまとめると「人の疾病の診断・治療・予防に使用され、人の身体の構造・機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等」です。
(3) 化粧品に関する定義:簡単にまとめると「体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする目的で皮膚等に塗布等する物で作用の緩和な物」です。(図4)
(4) 医薬部外品に関する定義:簡単にまとめると「医薬品と化粧品の中間的な分類で、人体に対する作用の緩やかなもので機械器具でない物を示します。また、予防効果を謳ったり、医薬品よりは緩和だが人体に何らかの改善効果をもたらす物」です。MRI検査とは全く関係ない余談ですが、絆創膏には様々な分類の物が存在する事が分ります。ドラックストアでこんな事を考えながら買うのも面白いかもしれません-(笑)-。(図5)
添付文章の注意点!!
改訂が頻繁に行われる
お話は添付文書に戻りますが、添付文書は予告なく改訂が行われるため最新の物であるかが非常に重要です。図6、7は同一製品の添付文書とMRIに関する文言の抜粋です。見ていただくと分かるように、2005年から2007年の間に1回の改訂(図6左画像)、2011年から2012年の間に1回の改訂(図6右画像)が行われています。また、画像にない空白の2008年から2010年の間では3回の改定が行われている事が分かります。改訂内容は様々ですが、製品により複数回改訂されている物や発売後、全く添付文書が改訂されていない物も存在するため最新であるかは非常に重要です。
図7はMRIに関する文言の1例です。ひと昔前の添付文書(図7左画像)では、製品に対して「MRI検査が必要な場合には、MRI装置の添付文書等を参照して十分に配慮して下さい(抜粋)」と言った、少々、検査担当者および装置メーカー側に委ねる内容が殆どでした。
しかし、全製品ではありませんが数年前より、記載される内容には変化が見られ始めました(図7右画像)。具体的には、非臨床試験等を製品メーカー側で行い、MRI検査への適応を記載するように変わってきています。図7右画像では、「MR Conditional」等の記載がされていますが、ASTMが定義する用語と標識について理解をしておくと添付文書を見た際にお役に立つかと思います。(図8)
ステンレスに関するお話
ここからは、少し金属(ステンレス)に関するお話をしたいと思います。ご存知のようにステンレスには様々な種類が存在しています。しかし、医療機器で使用されているステンレスはSUS(サス)300系のオーステナイト系が使用されています。基本的にSUS300系のオーステナイト系には磁性が無いのですが、加工方法の違いにより磁性を持ちます。(図9)
同じ種類でも磁性を持つ事で、MRI検査への適応に違いがありますので注意が必要です。しかし、添付文書中には何系のステンレスを使用しているかを記載していない事が殆どです。もし、何系のステンレスか分かったら、図10が参考になるかもしれません。
「気になる製品」を紹介
最後に、ご存知な物が多いかと思いますが「気になる製品」を紹介したいと思います。(図11、12、13、14)
今回は4製品を挙げましたが、このような製品はたくさん存在し、今後も確認が必要な製品は必ず出てきます。添付文書の確認をする事により日々の検査を安全・安心に行う事ができますので、是非、読んでみてください。また、以上の内容、情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
ライター紹介
小林 昌樹(長野市民病院)
調べれば調べるほど、へっぇー!! と感じますが、むずい、ふかい・・・・。
PS:ここ最近、右肩は快調!! 次は左肩痛です。ナンチャラ肩でしょうか?
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