みなさんはDWIBSといえばPhilips、Siemensの装置しかできないと考えていませんか?
GEの装置では、Discovery750wや450wのような上位機種のみの検査だと思っていませんか?
でも違うんです。
当院の装置はSIGNA HDシリーズ 1.5T(但しSTIR DWIができる機種が前提です。ver15以上)を使用しております。おそらく日本全国に納入されていて、GEの装置では一番台数の多い機種だと思います。汎用機です。このSignaを利用した、創意工夫を書きたいと思います。
撮影天板の作成
Signaは肝臓から恥骨までの範囲なら撮影できるBody Arrayコイル(12chまたは8ch)があります。Siemensの装置であるTimシステムのような全身コイルはありません。そのためこのコイルを利用するしか方法はありません。では、どうするか? それは………..Body ArrayコイルをSlidingさせます。
スムーズにBody ArrayコイルをSlidingさせるために、患者さんを乗せる撮影天板を作成しました。
この撮影天板は、ホームセンターに売っている縦180cm×横40cmの1枚板です。その1枚板に足を4個つけて出来上がりです。下部の切れ込みは、Body Arrayコイルの配線を通すための切れ込みとなります。図のようにBody Arrayコイルを天板と撮影台の隙間を上下にSlidingして、撮影していきます。
撮影条件の工夫
まず、当院での撮影条件を提示します。
SIGNA HDXT ver.23 1.5T Scan Time 4分42秒×3station
表1.撮影条件 | |||
Pulse Sequence | EPI-DWI | rBW | 250kHz |
FOV | 50cm | b値 | 800 |
Phase-FOV | 0.7(35cm) | 加算回数 | 8 |
TR | 5425ms | Fat Saturation | STIR |
TE | 66.6ms | ASSET factor | 2.0 |
slice thickness | 6mmまたは7mm(随時変更) | Frequency direction | R-L |
gap | 0 | Diffusion Direction | ALL |
matrix | 128×128 | Scan plane | AX |
DWIの最大の敵は、歪みだと思います。その歪みを解消するための工夫として、Phase-FOV 0.7(35cm)、ASSET(Parallel imaging factor)2.0を用います。この工夫は、GE Userのための素晴らしい大会であるSigna甲子園2015 川崎幸病院 中 孝文先生の発表を参考にさせていただきました。内容は、他社MRIではParallel imaging factor を5.0まで上げられるのに対し、GE社製MRIではASSET(Parallel imaging factor)2.0が限界である。それを補うために、Phase-FOV 0.5を使用して、ASSET4.0相当の画像を作り上げるという内容でした。
当初は、この条件をそのまま採用していましたが、Phase-FOV 0.5ではSN悪化に伴うParallel imagingの展開不良のアーチファクトが発生することが分かり、SNを上昇させるためPhase-FOV 0.7(35cm)を採用しました。
撮影断面の工夫
撮影断面は、3 station のAXで撮影します。その理由として、DWIBSを始めた当初、撮影断面はCORで2station撮影していました。しかし、CORでは、station間に撮像間の感度低下を起こしていました。
この原因として、Body coilの感度として頭側は高く、足側が低いため、結局重ねても段差は生じるからだと考えます。
よって、2station CORより3 station AXで撮影した方が、信号の高い部分をより多く使えるので、撮像間の感度低下を起こしにくいと考えられます。
最後にこれらの工夫を用いたDWIBS画像を提示します。
まだまだ、試行錯誤の毎日ですが、臨床に役に立てる画像を提供できるよう日々精進していきたいと思います。最後になりましたが、撮影天板の作成、撮影条件の検討に協力して頂いた横浜栄共済病院 高橋様、焼津市立病院 宮崎様に深く感謝致します。
静岡済生会総合病院 山崎敬之と申します。MRIを担当して6年になります。
MRIは知れば知るほど奥が深く、魅了されています。毎日勉強しながら、楽しく頑張りたいと思います。
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