はじめに
編集委員の関東中央病院 坂井香澄さんよりバトンをいただきました、国立成育医療研究センターの染森太三(そめもりたいぞう)と申します。
坂井香澄さんとは、東京MAGNETOM研究会でご一緒させていただいております。
小児専門病院に勤めるマイノリティな技師に、このような機会を賜り大変嬉しく思います。
自己紹介
1986年早生まれの38歳、人生の寄り道を沢山した後、27歳で東京電子専門学校卒業、現職となり技師歴11年経過しました。小児病院しか知らない技師ですが、沢山のご縁に恵まれ、現在は東京MAGNETOM研究会代表幹事、胎児MRI研究会世話人を務めさせていただいております。
趣味は登山、特に夏山+テント泊+稜線歩きの縦走が大好きで、普段は丹沢山塊にいます。最近は妻とランニングが日課でトレラン大会に出ることが目標です。
当院について
国立高度専門医療研究センター6病院の1つ、小児・周産期専門病院で、小児がん中央機関、小児心臓移植実施施設、小児がんゲノム拠点病院など小児専門病院では日本最大の病院です。
ほとんどが子ども達相手のとても賑やかな環境で、装置はSiemens社Sola fit 1.5TとVida fit 3.0T二台体制で、毎日子ども達と一緒に頑張っています。
私は「子どもに優しい検査を提供する」ことを目指しています。
優しいとは笑顔で明るくといった表面的なものではなく、「必要十分な検査の質を担保」し、「与えるストレスを最小限に努める」ことと考えます。
CTの「Image Gently」のようにMRIの「Image Gently」とは何かを追い求めています。
また、子ども達は自分の意思で受診し、検査を受けている訳ではありません。
よくわからないまま検査に臨んでいることが多いでしょう。
当然、子ども達から協力を得られず、検査を上手にできません。
検査に対する理解を深め、子ども達自身が検査に向き合う為の「準備」がプレパレーションです。
NPO「Medical PLAY」の小野浩二郎様が記事を書いていらっしゃいますので、是非ご一読ください。
⇨「プレパレーションを知っていますか?」
小児MRIのポイント
「検査を完遂し成功体験を残す」、「MRIを嫌いにさせない」ことが子ども達の将来につながる大事なポイントです。
成功体験を残すことで子ども達は自信を深め、より検査に前向きになることが出来ます。
鎮静から覚醒にシフトできれば以降の鎮静は不要になり、QOLが大きく変わることは容易に想像できるかと思います。
だからと言って無理やり検査を行い、一度MRIを嫌いになってしまえば、10歳を超えても鎮静が必要になるケースを何例も見ています。
一線を越えてしまうとトラウマを植え付けてしまうだけで、誰もbenefitがありません。
そうならないようにプレパレーションがあり、検査中MRIオペレーターが細心の注意を払う必要があります。
また検査に求められるゴールを明確にしておく必要があります。
スクリーニングであれば精細な画像は不要ですし、精査なら鎮静を考慮しなければなりません。所見や状況でゴールが変わることも多々あります。
接遇やシーケンス、パラメータの知識など持てる手札を駆使して臨機応変に対応し、その子どもにとっての最適解を導き出すこと。小児MRIに求められる難しい所でもあり醍醐味でもあります。
MRIが出来ることで得られることは沢山ありますが、MRIが出来なければ子ども達は何も得ることが出来ません。ただ所見を得るだけでなく、子ども達を成功体験に導くことで、次はより上手にできる可能性が広がります。その成功の連鎖がいつか子どもを助けるかもしれません。これは子ども達の目の前にいるMRIオペレーターにしか出来ないことです。
子ども達の可能性を広げる為に、小児MRI検査の際この記事を少しでも思い出して頂けたら幸いです。
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