RSNA2日目の12月2日は、SIEMENS Healthcareの機器展示ブースをレポートします。GEと同じように、高原先生と回らせていただきました! [堀 大樹]。
アップグレードで最新機種に
MRI装置の大きなアップデートは無いようですが、既存の装置からソフトウェアのアップグレードができる事がトピックの一つの様です。
3T装置ならば、最新装置のMAGNETOM Vida、MAGNETOM Luminaに搭載されているバイオマトリクステクノロジーを、既存のMAGNETOM SkyraからFitアップグレードを行うことで、MAGNETOM Vida Fitとして最新機能が使える様になるそうです。
同様に、1.5T装置であればMAGNETOM Sola、MAGNETOM Alteaに搭載されているバイオマトリクステクノロジーを、MAGNETOM AeraからFitアップグレードすることで、MAGNETOM Sola Fitとして最新機能をを使える様になるとのことでした。
Figure1 Fitアップグレード
バイオマトリクステクノロジーが今年のテーマ
「18チャンネル バイオマトリクスコイル」が新製品として展示されていました。薬事未承認であるため国内販売はまだ先のようです。写真からもわかるように非常に柔らかく、フレキシブルな使い方ができるコイルでした。
Figure 2 バイオマトリクスコイル
また、このコイルはケーブルの脱着が出来ます。必要に応じて短いケーブルや長いケーブルを使い分けることが出来ることから、コイルの取り回しがよくなるそうです。
Figure 3 ケーブルの脱着(左ケーブルあり、右ケーブルなし)
脱着可能(ドッカブル) Table
さらに私が一番いいと感じたのが寝台の脱着機能です。寝台脱着機能を必要としない施設ではあまり感動がないかもしれませんが、私が働いている施設のような頻繁に寝台脱着を行う施設では、この簡便な脱着システムが凄くいいです。ドッキングはタッチ一つで自動的に行われてとても簡単。寝台の上げ下げもタッチで行え、当然これは寝台を外した状態でも可能でした。また寝台の移動はモーターアシストとなっているので、コイルが埋め込まれいる重いMRIの寝台も軽々動かすことが出来ます。これならば女性でも楽に操作ができそうです。
Figure 4 脱着式寝台
AI(Deep Learning)
AI(Deep Learning)のトピックは、今年のISMRMで製品化を目指すと宣言されたFinger Printingに応用されていました。指紋認証機能の様に、MRI画像をピクセル毎に信号を読み取ることでT1・T2値のマッピングを解析し、正常組織、Edema、悪性腫瘍などを分類して表示することが出来るということでした。国内ではまだ実装されていないのですが、海外では来春以降の実装を目指しているそうです。国内に取り入れられるのも、そう遠くはなさそうですね。
Figure 5 Finger Printing
除幕式が行われた新CT装置
モバイルタイプの頭部専用CT装置
モバイルタイプの頭部専用CT装置が今年のトピックとして展示されていました。
このモバイルCTは、ICUなどで使う事を目的として開発されたそうです。ポータブルX線装置のようにモーター駆動で軽く取り回しできます。使わないときはポータブルX線装置と同様に充電しておく必要があります。すでにSAMSUNGで600台ということで、この市場はかなりあると考えての判断だと思われます(高原先生談)。あとで高原先生が紹介するMobiusのCTは、手術室用の大口径CTから発展して角度可変CTへと進化を遂げています。CTもまだまだ面白そうですね、
Figure6 ポータブルCT装置
またCT撮影時はコンセントに繋ぐ必要があるとのことでした。通常のCT装置のように撮影時は寝台が動くのではなく、ガントリが動いて撮影をするようになっています。このようなガントリが動く機能を「テレスコピックガントリ」と呼ぶそうです。また撮影した画像はすぐにモニタ表示され確認可能で、その画像はwifiでPACSに飛ばす事が出来るそうです。これならばOpe室でも使えそうですね。もし撮影時にコンセントに繋ぐ必要がなくなれば、被災地でも使えそうと思ったのは私だけでしょうか?また、ガントリボア径が小さいので成人の体幹検査は出来ませんが、小児であれば全身、成人でも四肢ならば撮影できそうです。
Figure 7 頭部専用だが四肢にも使えそうなボア径
SIEMENSのAIのコンセプトは「AIを使って自動に出来るところは自動化する」
例えば心臓CT撮影では、患者のハートレート・体格に合わせて最適な撮影条件を提案してくれる機能が紹介されていました。これはあらかじめ様々な患者状態を想定した撮影条件を入力しておく事で、実際の撮影時に患者毎に細かい撮影条件の設定を考える必要が無く、AIが最適な撮影条件を提案してくれます。初心者からエキスパートまで、誰が撮っても最適な画像が得られるようになることを目指した機能ということでした。
Figure8 心臓の自動撮影条件提案機能
また、SIEMENSのAIは、撮影から診断、治療、治療後のフォローアップまで全てを行うことを目指しているそうです。AIラドコンパニオンというプラットフォームを構築することで、画像をクラウドに投げるだけで、様々な結果を返してくれるとのことでした。例えば肺野領域ならば、結節があるのかないのか、あるならばどこにあるのかを各肺葉をセグメンテーションすることで出すという作業をすべてAIが行ってくれます。大動脈であればAHA分類にしたがってセグメンテーションし、各径を計測して数値として結果を出してくれるそうです。
つまりAIは、「最適撮影条件の提案 → 得られた画像のデノイズやセグメンテーション → 病変の検出を定量的な結果として出す → ガイドラインに従った治療方法の提案」までを全て行ってくれるそうです。
どのメーカーもやはりトピックはAIでした。今後AIがどのように進化していくのか本当に楽しみです。
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