IQon スペクトラルCT ー CTはすべてこれになる 【2016/9/17追記】

本日は、MRIの話ではないのですが、第52回日本医学放射線学会・秋季臨床大会(中島康雄大会長・新宿)の、フィリップスランチョンセミナーで行われた「IQon(アイコン)スペクトラルCTの有用性」について簡単にご報告します。

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演者は、CTもMRIも抜群の切れ味で使える、熊本中央病院の片平和博先生。この講演は、アジアでいまたった2台のみ導入されたIQonスペクトラルCTを使った日本で初めての講演であり、また演者が片平先生であることから、私は絶対に外してはいけないと思い、最優先で参加しました。

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このCTが入ってから、もうかなりの時間をCTに費やしているそうです。

はじめて東芝4列CTの発表があったときと似た衝撃

1998年に、それまでのシングルスライスCTが4列のマルチスライスCTになったとき、片田和廣教授の示す高品位な再構成画像(冠状断、矢状断のCT)は本当に衝撃的でした。聞いているうちに身体が震えてきたのを覚えています(本当です)。

あれから18年を経て、それと同等の衝撃がIQon スペクトラルCTによってもたらされたと感じました。

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片平先生は、40keV, 50keVという極めて低いエネルギーレベルの仮想単一X線画像で示される造影剤のCT値が非常に高いため、造影剤をものすごく減らすことができることを示されていました。50keVで60%の造影剤減量が可能(つまり100mL必要なところなら40mLで良い)ことを示していました。FBP→iDose→IMR では、X線のDoseが小さくなってもSDが低下していきますが、50keV程度の仮想単一X線画像では、iDoseとIMRの中間程度のとても低いノイズSDで、かつ造影効果が5〜10倍も(!)あったように思います。

また、以下の図で示すように、たとえば70keVイメージで、既知の腫瘍(原発巣)のそばに、似通ったCT値の病変A(例えば静脈内腫瘤)と病変B(例えばリンパ節)があったときに、
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病変A=転移リンパ節?
病変B=静脈内腫瘍栓

の可能性を考えますが、グラフを見ると、エネルギーレベルを変えたときのCT値の態度は全く異なり、病変Bは腫瘍の転移だろうけれどもAは明らかに異なっている → それなら静脈内血栓だろう、と考えることができるということでした。これをみて、CTが「CT値という点」ではなくて、「まるでMRIの緩和グラフのような曲線」へと質的に変化したように感じました(シェーマは「コンセプト」で作成)。

そのほか、VNC(Virtual Non-Contrast)画像や、Iodine no water画像などを見比べることで、様々な診断ができることを示されており、まさに圧巻だったと思います。このIQonスペクトラルCTは、全ての検査において、この仮想単一X線画像(それもエネルギーレベルは自由)の利用を担保してくれるようです。

また、IQonスペクトラルCTが、64列だけれども、実はほとんどの場合、64列でまったく事足りるんだということを、息どめ体感動画で示され、これは一同納得という感じでした。

「すべてのCTはこれになるね」

「多列化・面検出CT(Cine)・高分解能化」の流れ、またその進歩は本当にすばらしいもので、尊敬に値します。これらはどちらかというと超ハイエンドスペックであり、そのスペックを遺憾なく発揮できる世界では圧倒的で欠くことができないものですが、「日常診療の世界」から見るとそのフィールドあるいは検査数はそれほど広い(多い)ものではありません。

一方で、このIQonスペクトラルCTが示した世界は、CTのコントラスト(の著明な改善)」という、臨床シーンすべてにおいて、すべての人が、どんな検査においてもその恩恵に与ることが出来る類いのもので、その圧倒的な存在感が、膨大な種類のあるCT装置の中でひときわ際立ちます。

帰り際に、何人かで片平先生を囲んでいろいろな感想を延べたのですが、宮崎大学の平井俊範教授「すべてのCTはこれになるね」と話されていました。大変印象的でした。講演終了後の会場内ですから時間がなく、深くは話せなかったけれど、もっともっと話したそうでした。私もそう思います。「スペクトラルCTにすべてが置き換わっても良い」、あるいは「置き換わっていないものは全て古い世代のCT」、そう感じました。シングルスライスCTと、4列マルチスライスCTの間の、途方もない大きな大きな差と、同じ差が、そこにはあります。

CTはこれから超弩級の画像変化を迎えると思います。

一夜明けての感想です。

片平先生とは、FaceBookで昨晩ディスカッションをしましたが、「高原先生、大変ありがとうございます。皆さんの反応が良くてとってもうれしかったです(^_^)v。ちなみに40keVでは造影剤1/4で良いというインパクトが今はすごくありすぎて、50keVの造影剤40%(6割減)はまだたくさん造影剤を入れているという感覚になってきています。造影剤1/4だと、なんと20ml台の造影剤でも麗しい画像や3Dもできて、腎機能障害のある患者さんにもとってもいいことをしている感覚にもなってやりがいもありとても毎日が楽しいです。また今後も情報を発信したいと思います!」とのコメントをいただきました。

私は、Steve Jobsが2007年のiPhoneの講演をしたときに、以下のように述べて、そして実際に、ほぼ全ての携帯がこのタッチパネル形式に変わったことを思い出しました。

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今回のCTの再発明は、これに匹敵するもので、10年経てばすべてこういったものに変わることが、分かる人にはわかると思います。(CTの業界で言えば、マルチスライスCTにすべてが変わったように・・)

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tarorin

tarorin東海大学工学部 医用生体工学科 教授

投稿者プロフィール

MRIの撮像・フィルム焼き・患者導入に従事していた経験を活かし、企・技・医の中間の立ち位置を大切にしています。モットーは研究結果を中立的に判断すること、皆で研究成果を愉しむことです。

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