ご挨拶

MRIfan.netの皆様こんにちは。私たちは横浜栄共済病院放射線技術科でCT検査部門を任されております江上と保田と申します。当院は一般的な総合病院で年間件数はCT2台で約23000件。装置はシーメンスの16列(sensetion16)と128スライス(AS+)の2台を使用しています。そんな背景の一般的なCT担当技師の我々が、今回ITEM2017CT装置関連のレポートを書かせていただきました。恐縮でございますがz是非お付き合いください。MRIfan.netと言う事で、読者の皆様は基本的に学習意識の高い技師さんばかりだろうと推測されます。不要かもしれませんが、CTにはそれほど興味のない方もおられるかと思いますので、最初に最近のCT装置に関する総論的なお話を簡単にさせていただき、その後各社のITEM2017でのCT装置の特徴をご紹介させて頂きます。

最近のCTって!?

横浜栄共済病院の江上です。私の方からは近年のCT 装置の進化について4つの切り口に分けてまとめてみたいと思います。

  1. 検出器列数
  2. スキャンスピード
  3. 撮像方式
  4. 再構成方法

1.検出器列数

検出器列数は16列や 64列からさらに多列化が進み、エリアディテクター(面検出器)と呼ばれる256列や320列が登場している。エリアディテクターは広範囲を短時間で撮影できるだけでなく、「一回転で撮像できる範囲が広い」という特性からも心臓検査や動態(4D)検査に応用されている。現在、東芝、GEの2社からエリアディテクタ型装置が販売されている。

2.スキャンスピード

スキャンスピードは、管球回転速度(ローテーションタイム)で評価されるが、これも動きの速い心臓検査や時間的制約の大きい救急撮影等において重要な指標であり、近年の装置では高速なもので 0.25sec/rot というスピードで回転可能となっている。シーメンスにおいては高速回転プラス2管球型ということで、さらに高速な撮影が可能でありここについてはシーメンス社にアドバンテージがある。

3.撮像方式(低電圧撮影・デュアルエナジー撮影)

撮像方式については、従来 CT 検査は 120kV で撮影してきた歴史があるのに対して、低電圧撮影や電圧の異なる 2 つのX線を利用する dual energy 撮影が通常装備されるようになってきた。低電圧撮影では、ヨード造影剤のコントラスト増強効果により、造影剤低減・被ばく線量の低減が可能となる。また、dual energy 撮影では、2つの異なる電圧の X 線(=dual energy)を使用することにより、物質固有の値である質量減弱係数を正確に算出することが可能となる。これにより、単色 X 線画像(ビームハードニング低減効果が期待できる)や物質弁別画像(ヨード等特定の物質にフォーカスした画像)など、これまで見てきた画像とは種類の異なる画像を作成することができる。この dual energy 撮影方式は、2管球を用いる方式(シーメンス製)、1回転する際に高速で電圧を切り替える方式(GE製)、電圧を切り替えて 2 回転させる方式(東芝製)、得られたエネルギー帯を検出器側で分ける方式(フィリップス製)など各社様々な方法が用いられており、各方式ごとに特徴が異なる。

4.再構成方法

再構成方法は、従来用いられてきた FBP(filter-back-projection)法とは再構成理論の異なる逐次近似再構成法が各社からリリースされている。これにより、空間分解能や低コントラスト分解能の向上、ノイズや被ばく線量の低減が期待されている。原理上再構成にかかる時間が FBP 法と比較し長いことや、従来の画像と異なった印象を持つ場合があることが課題となってきたが、リリース当初よりも年々改善され一般的なものになったように思われる。

以上、簡単にではありますが最近のCT装置の概要についてまとめさせていただきました。

ITEM2017 CT関連各社ブースのご紹介

ここからは保田がレポートさせて頂きたいと思います。時間の関係上、東芝、GE、シーメンス、ザイオソフトの4ブースのレポートです。私感が入っておりますので、軽く読んで頂けるとありがたいと思います。

空前絶後の超絶怒涛の大混雑!(東芝ブース)

1.CTも4K時代到来!

毎年のことですが、ことしも東芝ブースは人、人、人でごった返していました。それもそのはず、いよいよあのCTが販売開始となりました。さて、あのCTとは、、、それが超高分解能CTUHRCTです。これは最小スライス厚0.25㎜のCTです。今まで東芝では0.5mm GEやPhilipsで0.625mmでしたが、その半分をいく0.25mmの検出器です。その画像がこれらですがそれぞれがシャキッとした感じがします。耳もステントも超綺麗ですね。
(写真は配布資料キャプチャしたものです。)

いままでのスライス厚ではつぶれていた細かい血管も拾えるようになったということで、見えないものも見えるCTといった印象をうけました。さて、検出器が薄くなったということですから、感度が下がるというのが私たちの常識ですよね。実際に1検出器当たりのフォトンの数は従来の4分の1になるそうですからノイズ対策が重要ですよね。しかし、そこを解決したのが逐次近似再構成法でした。
そしてついにこの日そうITEMの日に、販売開始となったそうです。画像は素晴らしいものだったのですが、問題としてはデータ量が8倍にです。4Kモニタは必須ですね。現状ではこのあたりの良い改善方法って、、、と思いますが、それほどまでに時代を先取りした装置であるということです。

2. 320列=(80列+技師の技術)?

80列装置もブラッシュアップされました。320列と同様の検出器を搭載し、さらに軟線除去効率をアップさせたそうです。これにより被ばく量が大幅に減ったということでした。東芝では64列という型の装置販売は終了し80列が標準ですが、このようにさらに被ばく低減も実現させています。この80列は若干回転速度が遅い所が残念ですが、それでも十分な回転速度をもっており、適切な心拍コントロールができれば十二分に冠動脈の撮影が可能です。高価な機種を購入できないような施設でも、技師の技術と情熱があれば320列CTを凌駕するような撮影が期待できると感じました。

これは面白い! レントゲンCT!?(シーメンスブース)

私たちは先にも書きましたが、シーメンスユーザーということで、意気揚々とブースに乗り込みました。すると早速こんな景品をゲットしました。(オレンジのバンドはUSBメモリ、隣はチロルチョコ)おねーさん達もとっても優しくしてくれました。ありがとうございます。

さてシーメンスCTブース、今回のメインはSomatom GoSomatom Driveの2機種でした。

1.ゲーム感覚で愉快なCTSomatom Go

昨年RSNAで発表されたこのSomatom Goは、レントゲン検査的なCTというもので16列の装置です。特徴は、タブレットで操作できるところです。昨年のRSNA2016でも紹介されていましたが、実際に触ってみました。

これがタブレットですけど、このように装置から外すことが可能です。

そして、このタブレット上で患者登録からスキャン開始、画像転送までのすべてが撮影室内で完了できるそうです。

即ち、患者さんを励ましながら撮影ができます。さらにもう一つ、リモコンみたいなのがついていてこれでも曝射開始とベッド移動などができるそうです。

本当にレントゲン装置みたい!
セルフ撮影もできてしまいますから、自分が怪我したら自分で撮れます(( ´∀` )。
冗談はともかく、最近はご高齢の方の撮影が本当に多く、腕をもってあげたりすることも多いですし、何より動いてしまったり、オートボイスでは理解してもらえない事なんかも非常に多いです。そのようなシチュエーションで、このように撮影室内で全てが完了できるというのはとても魅力的です。今までの装置でも撮影開始は検査室の中でできるのですが、画像の確認は操作室に戻らなければならず、結局動くかもしれない患者さんを検査室に残してしまうことになるので、すべての業務を一人で完結することは難しかったのですが、これなら技師一人で完結します。医療費の問題は各国で頭を悩ませている課題であると聞きますから、このような一人で撮影できる装置には自然とニーズも集まるであろうと思われました。ただ、一つ重大な問題点を発見してしまいました。それは

タブレットが盗難されたら撮影できません!!

なので、GPSをつけなければならないですね。(笑)

2.これで2番手ですか!?(Somatom Drive

次に、Somatom Ddriveという装置を紹介します。これは2管球タイプの装置です。シーメンスラインナップの上から「2番目の装置」でよいでしょうか?

Somatom  Force

Somatom Drive

Somatom  Flash

簡単に述べると、これは列数がForceより少なく、管球出力も少し劣りますがFlashよりは良いよ!!という装置のようです。管球出力が大きいので、70kvでも750mA×2の1500mA出せる装置ということでした。電圧を下げると造影剤が際立つので、その分だけ造影剤を減らせますからすごいということ。逆に通常量だと造影がさらに際立つということです。

結構な体重の方でもこのクオリティです。(71.5kg)

70kvでも陽極熱量を気にせずに肝ダイナミックが可能とのこと。

その上、2管球なので撮影も速い。すごい時代になったもんです。

これぞイケメン()CT!(GEブース)

1.面でもデュアルエナジー

GEさんはフラッグシップで、

Revolution HD 256 列のワイドカバレッジタイプ

Revolution GSI 64列だけれどデュアルエナジーに特化した装置

を販売していましたが、この256列でもデュアルエナジー撮影ができる装置が開発されましたというお話をいただきました。同時に再構成関係が大きく一新され、再構成スピードが短くなったり、超高速ヘリカルピッチで撮影できるようになったというお話しがありました。ピッチ1.5を利用可能とのことで、全身を3秒足らずで撮影できるようになりました。この技術を総括してHyperDrive(ハイパードライブ)と呼ぶそうです。

2.デュアルエナジーがルーチンの時代へ

デュアルエナジーの部分に関しては、今まではデュアルエナジーのデータをそのまま持っているとデータが大きかったのですが、今回からはあらかじめ指定した画像を自動で作れるようです。そうなると画像データだけですからかなりデータ量が圧縮されます。あらかじめ決めておく例としてはこのような物を想定しているようです。70kevそして、ヨード密度、脂肪密度、仮想単等々が自動でしかも素早く再構成されます。今まではデュアルエナジーで2つのエネルギーをかけているわけですから被ばく量も多くなっていたのですが、今回からは被ばく量も120kvのみで撮影した時と同様の被ばく線量で撮影出来るということでした。いよいよデュアルエナジーがルーチンで撮影可能という体制が整ったということですね。

3.心臓じゃない冠動脈を見ているんだ!

また、冠動脈撮影のナビゲーションが新しくなりました。撮影の直前の心電図から最適撮影タイミング、および撮影条件を計算し、撮影後は静止移送を自動で探してくるということでした。ここまでだとそんなにすごさを感じなかったのですが、この最適心位相探しがポイントでした。画像イメージの中の冠動脈部分だけを画像イメージから残し、その冠動脈の位相ずれだけでなくスライス間のずれも計算して最適な心位相を探してくれるそうでした。ゆえに右と左と両方とそれぞれに止まっている時相を教えてくれるというすぐれものでありました。

CABG後も自動認識成功で、腰が抜けた!(ザイオブース)

ザイオブースも大混雑で、デモ機ゲットに苦戦してしまいましたが何とかゲット。
CT関連の画像処理についていろいろと教えていただきました。

1.骨抜きから肝抜き、そんでもって腰が抜けました( ´∀ )

今回Realizeという高度な分析方法??を搭載しました。要は自動抽出の精度が高度化したということでした。

面白いのがこの単純の腹部画像上で、肝臓をクリックしたら肝臓だけのボリュームになったり。(写真は腎臓の例)

また、大腰筋だけのボリュームを残したりといったことが瞬時にできるという機能。

当然、それぞれに体積を測定できますので、経過を見たりすることができるそうです。ワンクリックでというのが本当にすごいですね。

2.バイパスの自動抽出成功!名前も付けてくれる!!

冠動脈の自動抽出も精度がアップされ、ついにあのバイパス解析でも自動ラベリングを搭載したということでした。RitaーLita、SVGとほんと見事に自動抽出&ラベリングされておりました。

当院でもよくCABGの画像処理は行いますが、なぜかみんなやりたがらず最後に残る画像処理でした。笑 次のバージョンアップからはそんなこともなくなるでしょう!!

3.Dでも高性能ボリュームサブトラクションできた

ザイオのサブトラクション機能、当院でも利用していますが前回くらいのバージョンアップで搭載された非剛体位置合わせというアルゴリズムがよくできています。例えば、SAH疑いでCT取りに来ます。すると単純撮ってSAHだということで一度救急室に戻り、その後また3DCTAを撮影に来るのですが、この時に先ほど撮影した単純画像を利用してサブトラクションができます。ほんとに凄いです。そして今回は4D撮影の時にも、ザイオ側で自動的にサブトラクションしてくれることが可能になりました。これで鬼に金棒です。というのも装置側でサブトラクションする場合は、そのベンダーの技術によるサブトラクションとなるので今一な事が多く経験されるのですが、単純と造影(多相)中に多少動いてもザイオのサブトラクションなら安心ですね。素晴らしく綺麗なDSAライクな画像が作成できます。

4.表面だけじゃないの、中身も大事!

あとは、肺切除支援のソフトウェア。肺区域も抽出できるようになり、また動静脈分離も末梢修正が新たになってかなり使いやすそうな印象をうけました。肺区域と肺動静脈の3D表現に関しては工夫がされていた、肺区域に関してはサーフェスレンダリング画像を血管画像にはボリュームレンダリングを使用ということで、より見やすい3Dイメージをみることができました。

たとえこの身が朽ち果てようと、今後もザイオステーションを使用していこうと、こころに決めた瞬間でした!そうそう、毎年ザイオブースは景品がお得なのよね。今回はモバイルバッテリーでした!お小遣い制のおじさん技師にとっても嬉しいですね。

あ~技師に生まれてよかった~??(With Zio)

以上ITEM2017レポートでした。

ライター紹介

江上 桂
2011年 新潟大学医学部保健学科卒 同年より横浜栄共済病院放射線科入職現在に至る。横浜栄共済病院放射線取扱主任者。X線CT認定技師。

保田 英志
1999年 池袋の近くの専門学校卒 同年より横浜栄共済病院放射線科入職
現在に至る。

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Takahashi Mitsuyuki

Takahashi Mitsuyuki国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院放射線技術科

投稿者プロフィール

診療放射線技師歴は30年です。歳がばれてしまいますね。現在は病院の技師長職を行っています。お昼の食事交代や、夏休みなど、人が足らない時にMRI業務をおこなっています。今でもMRIをやっていると、新しい発見があります。そして興奮します(笑) こんな魅力のあるModalityは他にはないですね。このブログを通して少しでもMRIの魅力を皆さまにお伝えしたいと思います。facebookの紹介文もメインで担当しています。宜しくお願いします。

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