Look back Gyro cup ④「b-Flow」

Look back Gyro cup ④

Gyro Cup開催されましたが、皆様もご覧になりましたか?

今回、素晴らしいアイデアだけど惜しくも予選落ちした発表を紹介するシリーズ企画「Look back Gyro cup」を企画しました。

第4回目は「流れの可視化です。

b-Flow

まず、このフレーズ格好良いと思いませんか??

今回、ご紹介するのはこの「b-Flow」です。MRIシークエンスにおいて、“流れ“をみる撮像は様々な手法が提案されています。

中でも、その動態を捉えようとする場合、心電図や脈波に同期して撮像することが一般的であると思います。

このb-Flowは、非同期撮像で、信号の位相分散を利用した手法です。

本シリーズ②の「CSFの可視化」と内容が一部重複しますが、今回は“流れ”として、CSFと四肢の末梢血管のイメージングについて紹介させて頂きます。

b-Flow Imageとは

拡散強調画像で用いられるlow b値を使用した、Flow Imageです。

通常、大きなMPGを印加することで、拡散の有無を見ることができます。

小さなMPGを印加する(low b value imaging)では、より流速の低い水分子のランダムな運動(bulk motion)で位相分散を生じ、乱流の有無を検出できます。

 

今回、この記事を書くにあたり、改めて論文を読み返してみますと、以下の論文が発表されていました。

– Takahara T, et al. Low b value diffusion-weighted imaging. JMRI, 2012(くも膜のう胞に生じた小孔からの乱流を表示)

– Takahara T, et al. JMRI, 2011(b=50を用いることで、小腸の蠕動(に伴う内腔の乱流を表示)

low b値を使用し、乱流を表示させることは臨床でも有用性が報告されており、古典的手法ともいえます。

 

このようなlow b value imagingでは、流れの方向がわかるのではなく、bulk motionの有無を見ることができます。

この際、使用するb値は撮像対象によって調整が必要となりますが、“流れ”以外の部位との信号のコントラストが必要なので、極めて低いb値が適しています。

例えば、上図の頭部MRIにおいては、b値を上げすぎると、脳室内の信号も消えてしまうので、b値100 (s/mm2)以下に設定します。

ただし、b値が大きい方が、動きに対する変化も大きいので、対象の速度によって調節すると描出能が変化します。

つまり、b-Flow Imageは、古典的でもあるlow b value imagingを応用して、方向は分からないまでも流れを経時的に描写する手法です。

Zoom diffusion

もう一つ、今回の撮像にはZoom diffusionを併用します。

これは、ZOOMitと同じ原理で、励起パルスと再収束パルスにオブリークをつけて印加することで、局所励起ができ、折り返しアーチファクトを気にせず、FOVを絞った画像を得ることができます。(Fig.1)

fig.1  Zoom diffusion

 

 

 

 

 

 

 

 

 

b-Flow

実際にZoomを使用したb-Flow ImageをFig.2-3 に示します。

Fig.2の①はb値が0で、それ以外はb値が20(s/mm2)です。

流れが信号の位相分散により黒く描出されています。

 

Fig.3は各b値の画像からb0画像をを差分した画像です。これがb-Flowです。

背景抑制になるので、CSFの流れだけが黒く描出されています。

モンロー孔、中脳水道、第4脳室に流れがあることが明瞭にわかります(注:流れている方向はわかりません)。

Fig.2 CSF low b value imaging

Fig.3 CSF b-Flow imaging (subtraction image)

 

撮像方法

撮像条件はFig.4に表示したとおりです。

Philipsでは、DWIでDynamic設定ができないため、同じ場所を何度も撮像するにはスライス厚とギャップの関係を工夫することで対応します。

理想はギャップが「−スライス厚」となることですが、それも難しいので、極めて近づけることがポイントです。

さらにスライス枚数が撮像のphase数(動画のコマ数)となります。撮像時間は16 phaseで1分30秒程度です。

Fig.4 撮像条件

 

low b-value imaging(b=0,

その他

上記の他にも、b値を0〜100でMulti-b設定にし、撮像することでもb-Flowは可能です。

この際、b=1〜10(s/mm2)を入れておくと、流速が小さな部分と大きな部分の分布を判断することができます。

さらに、この手法を手の血管に応用すると以下のようになります。

条件の調整を行うことで、末梢の流速の遅い血管も描出可能です。
(注:流れているように見えますが、そうではありません。b値を変えることで、流速の小さな部分を強調したり、より大きな部分を強調している様子を示しています)

まとめ

b値を利用した微細な流速のCSFや血管(血流)を描出する手法を紹介させて頂きました。

今回はZoom(局所励起)を使用しましたが、無ければ全脳をカバーするなどでも描出可能です。

同期などが必要ないため、小児などの撮像に非常に有効です。b値を固定することで、イメージングだけでなく機能的な評価に繋げていけると考えています。

今後、色々な流れの描出に利用されていければ嬉しいです。

 

ライター紹介

吉丸大輔と申します。

現在、埼玉県和光市にある国立研究開発法人理化学研究所の脳神経科学研究センターで9.4T-MRIと共に勤務してます。

主な仕事はMRIを用いた研究で、毎日大好きなMRIの事をこれまでになく多角的に見つめて、色々な発見を楽しんでいます。

一緒に楽しみたい方、いつでも声をかけてください!

宜しくお願い致します。

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古河 勇樹

古河 勇樹東京警察病院 放射線科

投稿者プロフィール

当院はローテーション制なので年に数ヶ月しか担当していませんが、MRIの魅力にどっぷりはまっています。
勉強すればするほど無知の自分に気づき、それでもまた学びたくなるMRIに出会えたことに感謝です。

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