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神経根奇形をきれいに描出する!(HOP-MRAのちょっと変わった使い方)
- 2015/8/26
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HOP-MRAとは?
東芝MRIにはHOP-MRA(Hybrid of Opposite-contrast MRA)という頭部用のシーケンスがあります。
このシーケンスはdual echoのFE法であり、1st-TEとして 3D TOF-MRA,2ndTEとしてFSBB法で同時にDATA収集します。得られた2画像を差分することで血管をより末梢まで描出することが可能です。
このHOP-MRAを他の領域に応用できないかと考えました。
・神経根の描出の試み
東芝装置で腰椎神経根を描出する方法として、dual echoのFE3D法を用います。これは、同時取得した2echoを加算することで、従来のFE法より画質の良好な画像を作成でき、臨床の場で多く使用されています。
しかし、下位神経根の描出を目的とした場合、下左図のように大腿動静脈が高信号に描出され、障害陰影となってしまいます。FSBB法にて撮像することで下右図のように血管信号を抑制する方法があり、磁化率変動に敏感なFE法に、弱いMPGパルスを印加し流速のある血液をBlackBloodに描出することで、minMIP処理により微細血管までも表現することができます。通常MIPすることで血液信号をBlackではなく、抑制という形に置き換えています。
しかし、FE3D法に比べるとFSBB法では、画質が低下してしまいます。そこで、このHOP-MRAを使用してみました。下図は1.5テスラで撮像した神経根奇形の画像です(各エコーの画像と加算画像)。
1stTEはTOF法にSORS-STC(脳実質の信号を抑制し血管を強調するためのパルス)を印加していないため3D-T1WIとなります。また、2nd TEはFSBBにMPGパルス(low-b)を印加することによりBlack BloodなT2*WIとなり、神経根を描出できます。この2画像を加算することで、高コントラスト、高画質な3D-myelographyを得る事ができます。
神経根奇形
long TEのためS/Nは悪くなりますが、前述したとおりに1st TEと加算することで改善できます(加算した画像では正確にはBlack Blood像とは言えませんが)。また加算の重み付け(各エコーの割合)を変えることでコントラストを変化させることも可能です。
こういったある意味メーカーが想定していなかった使用方法を考えるのも楽しいのではないでしょうか。
ライター紹介!
片岡 剛 (社会医療法人社団慈生会 等潤病院)
使用装置:東芝 Vantage Titan 3T(本画像は1.5TのVantage Atlas)
MRIは創意工夫で玉にも石にもなるのが面白いですね。まだまだ常に勉強していかないと。
趣味:最近は登山(一緒に行ってくれる方募集中!)
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