SIGNA甲子園2021 金賞受賞演題「STIR-SSFSE」

SIGNA甲子園2021 金賞 川崎幸病院 中孝文さま おめでとうございます!!

MRIfan.net編集委員かつSIGNA甲子園2021実行委員長を務めさせて頂きました、森山脳神経センター病院の堀大樹です。

SIGNA甲子園2021で金賞を受賞されました川崎幸病院の中さまに、演題の解説記事をご投稿頂きましたので紹介したいと思います!

では、中さまの記事をお楽しみください。

今回のアイデアが生まれるきっかけ

今回のSIGNA甲子園は初の試みである、会場とwebとのハイブリット開催ということで、実行委員の皆様とGEヘルスケアジャパンの皆様はご苦労が多かったと思います。改めて御礼を申し上げます。

今回金賞を受賞することが出来た演題は、「STIR-SSFSE」と題して発表をさせていただきました。この記事をご覧いただいてる皆様はSingle-Shot Fast Spin Echo (SSFSE)にShort-tau Inversion Recovery (STIR)を併用されたことはございますでしょうか?

当院では全身MRI検査を施行することが多く、検査目的として悪性腫瘍関連以外にも不明熱や炎症源精査などが挙げられます。その際には脂肪抑制を併用したT2強調画像(T2WI)の冠状断と横断像を撮像しています。しかしFast Spin Echo (FSE)法では撮像時間が長くなってしまい、患者さんが動いてしまったり検査時間の圧迫につながっていたので、SSFSEでの撮像に切り替えて動きに強く短時間での撮像を目指しました。

ところが、Chemical Shift Selective (CHESS)法では脂肪抑制ムラが目立ってしまったため、STIRを使用しようと思ったことがこの演題のきっかけでした。

SSFSEの脂肪抑制効果

画像をご覧いただくと分かるように、STIRを併用したFSEではしっかりと脂肪抑制されているのに対し、CHESS法を用いたSSFSEでは矢印のように脂肪抑制ムラが目立ち、STIRを用いたSSFSEでは脂肪抑制されていないことが分かります。

そこで、しっかりと脂肪抑制されたSTIR-SSFSEを撮れるよう、Repetition Time (TR), Echo Time (TE), Inversion Time (TI)に注目して検討を行いました。

ポイントはTI値の設定

1.5T装置においてTEとTIを変更して健常ボランティアの撮像を行いました。1.5TにおけるSTIRの理論値となるTI 170msではやはり脂肪抑制効果がなく、TI 150msとTI 170msでは筋肉と脂肪の境界にブラックバンド用のアーチファクトが発生しました。

また、TI 100msとTI 120msを比較するとTI 100msの脂肪抑制効果が弱いことが分かります。よってTI 120msが最も良好な脂肪抑制効果であることが分かりました。

TRを変更しても全く同じ結果であり、3.0Tにおいてもほぼ同等の傾向を示しました。さらに、ファントムでの検討の結果を下記に示します。

1.5T, 3.0TともにSSFSEのnull pointはFSEよりも短縮しています。1.5Tのnull pointは120msと健常ボランティアでの検討結果と一致していました。

Clinical Imagesでも効果絶大

本手法はSTIRのため撮像部位を選ばす良好な脂肪抑制効果が得られ、SSFSEのため動きに強い撮像法であると言えます。

実際に本手法を用いて撮像した画像を供覧いたします。

多発嚢胞精査で撮像した症例では、全ての断面において均一かつ良好な脂肪抑制効果が得られています。また、本手法をMRCPに応用することで3D MRCP MIP像を得ることもできます。

繰り返しになりますが、本手法はTIを120ms(1.5T)、130ms(3.0T)にするだけで、誰でも簡単にどの部位においても脂肪抑制併用SSFSE画像を得ることができます。さらに短時間かつ動きの影響が少ないという特長もあります。

本手法が皆様にとって少しでもお役に立つことができれば幸いです。

川崎幸病院 中孝文

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