ハンディ型金属探知機を使いこなそう
検査室に入室前に金属探知機を使用している施設は多いと思いますが、探知機を使用しているにもかかわらず、金属の持ち込みインシデントを体験したことがある方は多いのではないでしょうか?
確かに探知機には限界がありますが、実は探知機の使い方や使用する探知機の種類によって解決できることもあります。どんな種類の探知機を使っているのか、探知できるもの・できないものを知ってハンディ型探知機を使いこなしましょう。
金属探知機は、原理により3つに分類されます。
①磁気誘導方式…永久磁石による静磁界を利用
永久磁石の磁界の中で、磁性体が動く時に探知コイル内に生じる微小な起電力を増幅し信号としています。アパレル業界で折れた針が洋服内に残っていないか確認する際に使用されているため“検針機”として販売されていることが多い探知機です。
強磁性体への感度は高く、逆に非磁性への感度はあまり高くないので臨床では,磁性体探知機として使用することができます。
②電磁誘導方式…平衡誘導型・パルスインダクション型
コイルの電界中を金属が通過すると生じる電界の歪みを増幅し、信号としています。電気を通すもの全てに反応するため、高感度に設定すると人体にも反応してしまいます。8.2Hzの中感度で使用するのが一般的です。
医療施設の多くで導入されているタイプだと思いますが、磁石には全く反応しない、ヘアピンなど小さい金属への感度が悪い、MRI用の車いすやストレッチャーなどに乗っている患者さんには使用しにくいという弱点があります。
③MIセンサー方式…微弱磁界を感知するセンサー
MRI専用として開発されたマグネティックインピーダンス(MI)素子という半導体を用いた磁性体探知機です。地磁場の変化を感知し、その乱れにより金属を検知する仕組みです。ITEMなどの会場でご覧になった方も多いと思いますが、磁性体”だけ“に反応するというのが売りですが、ねじり動作に誤作動してしまう、高価であるという弱点があります。
インシデント代表15素材を臨床使用条件下(20cm/s)で走査した結果をお示しします。
ご覧の通り1台ですべての金属を探知できるパーフェクトな探知機はありません。
2種類の探知機を併用して使用するのがベストですが、手間を考えると現実的ではないかもしれません。その場合は探知機の限界を認識し、目視や口頭での確認を併用して確認する事を心がけましょう。
当院では探知機の役割を“磁性体持ち込み防止”と位置付け、磁気誘導方式の探知機をメインで使用し、必要に応じて電磁誘導方式の探知機を併用するようにしています。
兵庫県立西宮病院 検査・放射線部 廣瀬悦子
(oct)
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