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★頭部MRAの信号欠損を攻略するには!?
- 2026/6/12
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<新企画>「撮像のワンポイントアドバイス」
★〜★★★までの難易度を設定し、MRIにおける基本的な注意点や撮像のポイントなどをまとめていくコンテンツです。初学者の方やローテーターの方など是非ご一読ください!
今回の「撮像のワンポイントアドバイス」の難易度は★ひとつです。
YouTubeショート動画もご覧ください:https://www.youtube.com/shorts/4AbDua99H34?feature=share
はじめに
札幌美しが丘脳神経外科病院の中居智弥と申します。CanonのMRI装置を使用しています。
皆さま、頭部TOF-MRAを撮像する際に、脳動脈クリップからの磁化率アーチファクトによる信号欠損に悩まされたご経験はないでしょうか?
今回は頭部MRAの信号欠損への対処法について紹介させて頂きます。
磁化率アーチファクトによる信号欠損
頭部TOF-MRAを撮像していると、しばしば遭遇する磁化率アーチファクトによる信号欠損です(Fig.1)。
ここで、信号欠損が生じる原因を考えてみたいと思います。クリップなどのデバイスや空気との境界付近では局所的な磁化率差によって磁場が不均一になり、ボクセル内でスピンの周波数がバラつきます。すると位相が揃わずに位相分散が生じ、信号が欠損します。つまり位相分散が信号欠損の主な原因と言えます。TOF-MRAはGradient Echoシーケンスであり180°パルスを使用しないため、位相は再収束せずに位相が分散して信号が欠損してしまいます。
頭部TOF-MRAでの位相分散対策にはshortTE
頭部TOF-MRAにおいて、クリップによる磁化率アーチファクト対策以外にも、ステント併用コイル塞栓術後の評価にshortTEが有用との報告は多数あります。では、なぜshortTEが有用なのか。それはTEを短くすることでエコーの読み取りまでの時間が短くなり、位相差が拡大する前にエコーを収集することで、位相分散の影響を小さくできるからです。よって、shortTEの設定により信号の欠損を抑制できます。
通常のTOF-MRAでは位相分散の抑制にFlow Compensation(FC)を併用することが多いかと思いますが、FCを併用するとTEは延長してしまいます。そのため、FCをオフにしてTEを最短に設定する方が、磁化率アーチファクトによる信号欠損の対策には効果的です(Fig.2)。
shortTE MRAの有用性について非常にわかりやすい以前の投稿もありますのでぜひご覧ください。(頭部MRAのちょっとした工夫(2))
また、shortTE MRAをベースにクリップの磁化率アーチファクトに特化したシーケンスも考案されていますのでぜひ参考にしてください。(不可能を可能に!? MSO-MRA)
shortTE MRAの究極版、Ultra shortTE MRA
頭部TOF-MRAでTEを最短に設定した際、多くの装置で2.0 ms前後になるかと思います。オプションにはなるかと思いますが、Ultra shortTE(UTE) MRAシーケンスを使用できるメーカーの場合、そのTEは0.1 ms以下まで短縮できます。
UTE(Canon)、PETRA(SIEMENS)、Silenz(GE)など各社シーケンス名が異なり、撮像原理や条件設定の際の制約などにも若干の違いはありますが、Ultra shortTEを実現している点は共通しています。CanonのUTE MRAの簡単な説明を記載します(Fig.3、4)。
CanonのUTEでは傾斜磁場を印加すると同時にエコーを充填することで、TOF-MRAと比較して極端に短いTEの設定を可能とし、位相分散による信号欠損を大幅に抑制できます。しかし、同時にデメリットもあり、TOF-MRAと比較して撮像時間が長い、高分解能な撮像条件の設定が難しい、サブトラクション処理が必要なため体動に弱い、といった点が挙げられます。
UTE MRAでの症例画像を1例提示します。未破裂の右中大脳動脈瘤に対し、開頭クリッピング術を施行した症例です。UTE MRAでの撮像によりTOF-MRAと比較してクリップのアーチファクトによる信号欠損が低減し、クリップ近傍の血管も明瞭に描出できています(Fig.5)。
おわりに
今回は頭部MRAにおける、磁化率アーチファクトによる信号欠損の対策について紹介させていただきました。本稿が臨床現場において、少しでも皆さまのお役にたてましたら幸いです。
ライター紹介
札幌美しが丘脳神経外科病院の中居智弥(なかいともや)です。
MRIに携わった当初は撮像原理の難解さ、臨床で出くわすアーチファクト対策に悩むことが多く、正直苦手なモダリティでした。しかし、今ではそれらについて考えることが楽しくなり、臨床現場で役立つ画像を提供できた際の喜びは格別です。
学会や勉強会で見かけた際はぜひお声がけください。皆さまとMRIについてお話できますと嬉しいです。

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