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★3D高速グラディエントエコー法のモーションアーチファクト対策
- 2025/12/19
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<新企画>「撮像のワンポイントアドバイス」
★〜★★★までの難易度を設定し、MRIにおける基本的な注意点や撮像のポイントなどをまとめていくコンテンツです。初学者の方やローテーターの方など是非ご一読ください!
今回の「撮像のワンポイントアドバイス」の難易度は★ひとつです。
YouTubeショート動画もご覧ください:https://www.youtube.com/shorts/UbmCPLY8nxQ?feature=share
3D高速グラディエントエコー法は、短時間で広範囲の撮像が可能なシーケンスのため、様々な領域に利用されている一般的なシーケンスです。特に、造影Dynamic検査で使用することが多いと思います。
今回は、3D高速グラディエントエコー法におけるk-space充填方向の違いが、モーションアーチファクトに与える影響について紹介します。
2Dにおけるモーションアーチファクト
モーションアーチファクトについての詳細は、以前の「撮像のワンポイントアドバイス」をご覧ください(https://mrifan.net/blog/19740)。2Dにおけるモーションアーチファクトは、動きの方向に関係なく位相エンコード方向に発生します。これは、k-spaceを充填する時間が影響しています。位相エンコード方向のk-space充填時間が数秒~数分単位であるのに対して、周波数エンコード方向のk-space充填時間は数ミリ秒単位とモーションの影響が問題にならないくらい短時間になります(Fig.1)。3Dにおいても同様に、k-spaceの充填時間がモーションアーチファクトに影響を与えます。

3D高速グラディエントエコー法とモーションアーチファクトの関係
3D高速グラディエントエコー法は、高速スピンエコー法と同様に「k-spaceのセグメント分け」が可能な高速撮像シーケンスです。各メーカーでシーケンス名も異なり、Philipsでは3D-TFE、GEでは3D-FGREや3D-FAST-SPGR、SiemensではMPRAGE、Canonでは3D-Fast-FEと呼ばれています。
3D高速グラディエントエコー法は3D撮像になりますので、位相方向のみならず、スライス方向にも位相エンコードが行われます(Fig.2)。したがって、3D高速グラディエントエコー法では2方向のk-space充填方向を考える必要があります。Philipsの3D-TFEでは、ContrastタブにおけるTFE turbo directionで先に充填するk-spaceの方向を決定します(Fig.3)。例えば、turbo direction = Z の場合、スライス方向を優先的にdata samplingすることになります。つまり、Z(スライス)方向のk-spaceが1列充填されると、Y(位相)方向のk-spaceを1列移動し、また、Z(スライス)方向のk-spaceが1列充填されます(Fig.4)。そのため、先に充填するk-spaceの方向よりも、後からk-spaceを充填する方向のほうがk-space充填時間は長いことが分かります。したがって、モーションアーチファクトは後から充填する方向(Fig.4の場合、Y)に目立つことになります。
骨盤部領域への応用
肝臓などの上腹部を横断面で撮像する場合、臓器の上下運動が大きいので、スライス方向のモーションアーチファクトを抑制するためにturbo directionをZ(スライス)方向に設定することが多いと思います。一方、骨盤部領域を横断面で撮像する場合、臓器の上下運動は小さいと予想されるため、腹壁からの動きなどを抑制するためにturbo directionをY(位相)方向に設定することで、スライス面内のモーションアーチファクトを抑制することができます。Fig.5に示すように、turbo directionをY(位相)方向に設定することで、腹壁や腸管の動きによるモーションアーチファクトを抑制することができ、腸管内が鮮明に描出されていることが分かると思います。
おわりに
一般的に使用されている3D高速グラディエントエコー法ですが、k-space充填方向を変更するだけでモーションアーチファクトの出方が変わります。腹部や骨盤部以外の領域においても造影Dynamic検査時には3D高速グラディエントエコー法を使用すると思いますので、k-space充填方向を気にしながらモーションアーチファクトを抑制した画像を撮像してみてください。
ライター紹介
福岡大学筑紫病院(ふくおかだいがくちくしびょういん) 三尾素平(みお もとひら)

学生の頃にMRIの面白さや可能性に魅了され、現在、幸いにも主にMRI業務に携わらせていただいています。パラメータを調整することで、少しでも患者さんに有益な画像を提供することが出来るMRIにやりがいを感じながら、日々の業務に取り組んでおります。
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