RADっていいとも 素敵な仲間とのペンリレー (53) 三阪 知史

はじめに

兵庫県立がんセンターの重永裕さんよりバトンをいただいた近畿大学奈良病院の三阪知史と申します。
重永さんとは大学院の博士後期課程で、社会人大学院生として同じ研究室に所属していました。Philips主催のGyro Cupで毎回全国大会へ勝ち上がっていかれる姿を見て、すごく刺激を受けています。

自己紹介

広島県で生まれ育ち、大学進学のため大阪に出て来ました。
大阪大学を2009年に卒業し、同年に近畿大学奈良病院に入職しました。

近畿大学奈良病院では毎日違う検査業務に従事するため、MRIに専従しているわけではありませんが、当院では技師それぞれにメインの業務担当が割り当てられており、現在はMRIの担当です。

臨床研究も積極的におこなっています。
初めて学会発表をしたのは働き始めて5年目のときで、そこから国内での学会発表を何回か経験したのですが、そのうち海外の学会で発表したいと思うようになり、アメリカのRSNAで発表できる機会がありました。

その時はポスター発表だったのですが、事前にRSNAに詳しい方から、ポスター発表は決められた時間にポスターの前に立っているだけでよく、大体は発表せずに終わると聞いていました。

しかし、いざ時間になると座長がきっちり2名現れて、オーディエンスが大量に集まり、プレゼンをするよう指示されました。
念のため用意していたので助かりましたが、いくつか質問もあり、かなり焦ったのを今でも覚えています。

しかしその経験から、自分の研究テーマに関心を持ってくれる人が世界に存在することに感銘を受け、論文を書くようになりました。
そして、2018年から大阪大学大学院の博士後期課程に在籍し、学位を取りました。
博士号を取得した後、同大学院で招聘教員もしています。

趣味

筋トレが趣味です。
最初はジムでトレーニングしていたのですが、性格的にわざわざジムに出向くのが面倒で続けられなかったので、バーベル等を購入し、自宅の裏庭に簡易的なジムを作って毎日行っています。

今まで色んな趣味を見つけては長続きしなかった私ですが、筋トレだけは唯一ずっと続けられています。

筋トレを始めた当初、トレーニングのやり方をネットで調べていたのですが、とあるSNSで紹介されていたトレーニング解説動画を見たときに、衝撃的な名言に出会いました。
私は今まで何か一つの事に熱中したことがなかったため、この言葉を聴いて「自分もこの境地に達してみたい」と思い、筋トレにのめりこむようになりました。

筋トレは体が引き締まり、体力も向上するなど、肉体的な健康面だけでなく、ストレスが発散できたり、気分が向上してポジティブになるなどの精神面でも良いことがあります。

筋肉を鍛えることにはメリットしかなく、デメリットは特にありません。強いて言えば、周りから「何を目指しているの?」と言われるくらいです。
筋トレは重量や回数が増えることで自分の成長が実感でき、非常におすすめです。

MRIとの関わり

私自身、入職した当初からMRIに関わりがあったわけではなく、週に1回程度のルーチン業務でしか検査をしていませんでした。
私がMRIを勉強するようになったのは、数年前、当時の所属長に言われた言葉がきっかけでした。

その当時、私は核医学を担当していたのですが、ある日突然、所属長に呼び出され、「MRIに興味ないか?」と言われました。
実は当時、当院には新しく放射線科の教授が赴任され、当院のMRIの撮影技術レベルを問題視しており、度々所属長に苦言を呈されていたそうです。

当時から磁気共鳴専門技術者の資格を持った先輩はいましたが、すごく仕事ができるゆえに、管理職級の仕事をガンガン与えられていました。
また、日替わりで勤務が変わる当院の職場環境も相まって、傍から見ても明らかに大変そうな様子でした。

ただ私自身も、MRIは難しくて少し苦手意識もあったので、その場では少しうやむやな返事をして終わったのですが、後日再度呼び出され、「ウチのMRIを何とかしてくれ、頼めるのはお前しかいない」と言われ、結局MRIの担当になりました。

今思えば、所属長のその言葉は明らかにおだててその気にさせる作戦だったと思いますが、自分の能力を認めてもらえたことは素直に嬉しかったので、頑張ろうと決心しました。
またこの時に、人は認められることで向上心を持つのだということが分かりました。そこから放射線科の意見や指摘を一つ一つ解決していき、少しずつ信頼してもらえるようになりました。

当時、MRIの予約件数が少ないことも課題としてあり、技術の向上とともに件数も増加させるよう言われていました。今思えばかなりの無茶ぶりだったと思います。
そんな中、装置更新によってPhilipsのProdiva 1.5Tが導入されたため、件数増加を目的としてDWIBS検査を開始しましたが、月に2,3件ほどしか依頼がありませんでした。

そこで、各診療科のカンファレンスにお邪魔して、DWIBSの臨床的有用性に関するプレゼンをおこなうことにしました。
その時たまたま、造影CTやPET-CTでは描出できず、DWIBSで肝転移を検出できた事例があり紹介したところ、乳腺外科の医師に気に入ってもらえ、爆発的に件数が増加しました。
なにより患者さんにメリットがある検査を広められたことが嬉しかったです。

プレゼン資料の作成には、MRIfan.netに掲載されている情報が大いに役立ちました。
運営は大変かと思いますが、臨床現場で仕事をしている我々技師はとても勉強になっています。
DWIBSを考案された高原先生をはじめ、MRIfan.netを運営されている関係者の皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。

次回のペンリレーは

奈良県立医科大学附属病院の山谷 裕哉さんにお渡しします。
山谷さんは日本放射線技術学会近畿支部で一緒にお仕事をさせていただきました。研究会の代表もされていてすごい方ですが、気さくに喋りかけてくださいますし、同じ奈良県内の病院で働く先輩として尊敬しています。
とても面白く、当院で山谷さんの事を知っている技師は、みんな山谷さんのことが大好きです。

山谷さん、よろしくお願いいたします。

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