はじめに
こんにちは! 国家公務員共済組合連合会熊本中央病院の豊成信幸です。よろしくお願いします。 mDIXON-XDを使用した非造影MRA撮像についてご紹介したいと思います。
このシーケンスについては、JSMRM2015より演題発表していまして、ご存知の方がいらっしゃるかと思いますが、貴施設でさらに活用されることを期待して投稿させて頂きました。
REACTの特長
REACTは、DIXON法を用いることで、磁場不均一の影響も少なく、非同期で非造影MRAが3分程度の撮像時間で簡単に撮像可能な方法です。
血管描出はflow(inflow)ではなく、『緩和時間の違い』を利用しています。残念ながら静脈も観察されますが、見た目上ある程度の動静脈分離が可能です。
当初、“NENT”と名付けられましたが、その後“REACT”と変更になりました。Philips社製でmDIXON-TFEのオプションがあれば撮像可能です。
写真は昨年ハワイで行われたISMRM2017のPhilips ランチョンで使われたスライドの1枚です。提供元に私の名前がクレジットされていたことにとても興奮しました。
NENT: Non-enhanced, non-triggering subclavian MRA
REACT: Relaxation-Enhanced Angiography without Contrast and Triggering
mDIXON-XDからREACTへ @3T
① mDIXON-XD(TFE)・・・脂肪抑制画像
② mDIXON-XD(TFE)+shot interval 3000ms. ・・・SNRが上昇
③ mDIXON-XD(TFE)+shot interval 3000ms +invert(shortest) ・血管信号が上昇
④ mDIXON-XD(TFE)+shot interval 3000ms +invert(shortest) +T2prep =REACT・・・筋肉信号の低下、静脈信号の低下
【撮像シークエンス】
【撮像条件】
FOV: 370mm, matrix: 224, re-matrix: 640, SENSE: 1, thickness: 3mm, 70slices, TR: 4.1ms, TE/TE2: 1.38/2.6ms, FA: 12deg, shot interval: 3000ms, TFE-factor: 100, WFS: 0.4pix, NSA: 1, scan time: 3min, Low-high radial,
次のグラフは、各TI delay timeにおける筋肉信号と動脈信号、静脈信号の信号変化を示します。TI delay=100程度 では動静脈とのコントラストが大きく、筋肉信号も低下しています。
REACTの臨床応用
TI設定により血液のT1コントラストを利用、T2prepを印加することで、T2値が短い静脈信号や筋肉信号を低下することで、bright-blood画像を取得可能です。
またTI=800-900msec.+T2prep(-)に設定することで、REACT MPRAGE(black-blood)画像が簡単に撮像可能です。
次の画像は胸腹部MRAをそれぞれ撮像し、つなげ合わせた画像です。非同期で撮像しています。臨床画像として頚部と動脈弓に血栓が認められる画像を提示します。TI=900msで同様に撮像し、広いFOVでムラのない脂肪抑制画像が取得できます。
興味がある方は、是非一度試していただいて、+αの画像として撮像して頂けたら幸いです。
ライター紹介
豊成 信幸(Nobuyuki Toyonari) 国家公務員共済組合連合会熊本中央病院
技師歴26年目、MRIは難解ですが興味深いことばかりで悩みながらも楽しくやってます。面白いです。またMRを通じて、学会や研究会では沢山のMR職人との交流も楽しく、とても良い刺激を受けてます。
JSMRM2019 Kumamotoでお待ちしてます!
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