DWIBSのWindowとFusion設定の際に注意すべきポイント

はじめまして。岡山画像診断センターの杉本昂平と申します。

私は先日開催された第13回Body DWI研究会のハンズオンセッションにて、DWIBSのWindowとFusionの設定について高原先生に直接指導していただく機会をいただきました。本記事はこのハンズオンセッションで学んだことをMRIfan.netの読者の皆様と共有し、日々の業務に役立てていただくことを目的に執筆いたしました。

DWIBSのWindowとFusionの設定、難しいですよね。私も検査のたびに悩まされていました。しかし今回のハンズオンセッションを受講したことで注意すべきポイントを知ることができ、それを意識することで以前よりWindowとFusionをうまく設定することができるようになりました。以下にそのポイントについて一つずつ列挙していきたいと思います。

DWIBSのWindow設定のポイント

1.神経とリンパ節を濃く写す

DWIBSのWindow設定の1つ目のポイントは神経とリンパ節を光らせることです。特に神経節をしっかり光らせることが大事だそうです。頚部または骨盤は脊髄とリンパ節が近くに存在しているため同時に観察しやすいです。このあたりを目印にしてWindowの設定してみると良いと思います。

2.腸管を濃くなく写す

DWIは病変がなくても腸管が高信号に描出されることがあります。DWIBSにおいて、高信号の腸管は読影の障害になります。可能な限り腸管の信号は目立たせないようにしなければなりません。しかし、1つ目のポイントで挙げた神経とリンパ節もDWIでは高信号になるため、これらと腸管との間でちょうど良い塩梅のWindowを設定することが必要となります。

それでは私がセミナーではじめに設定したWindowの画像と高原先生から指導を受けた後に設定したWindowの画像を見比べてみたいと思います。

 

スクリーンショットですので実際の見え方と多少異なりますが、指導を受けたAfter画像のほうが神経とリンパ節がはっきりと写しだされていることがわかります。腸管の信号もそこまで目立っていないように見えます。

Window設定の指導を受けている際に、高原先生から「技師さんはWindowが薄い画像をよく転送してくる」と言われました。私自身も放射線科の先生から同じこと言われた経験があり、少しドキッとしました。たしかに最初に私が設定したWindowは全体的に薄く見えます。Window設定をするときは自分が思っているよりも、もう一歩攻めたWindowにしたほうがいいかもしれません。

それでは続いてFusion設定のポイントです。

 

DWIBSのFusion設定のポイント

1.病変を明るく

Fusion画像の最も大事なポイントは病変をしっかりと明るくすることです。DWIBSの元画像と比較して、Fusion画像のDWIの明るさの印象が一致することが重要だそうです。

2.DWIノイズ部はかすかに赤く

Fusion画像上でDWIの信号をまったく見えなくすると、本当にその箇所に病変がないということを断言できなくなります。ハンズオンセッションでは腋窩の脂肪に注目し、淡くDWIの信号が見えるくらいに調節していきました。

3.背景のT2WIは十分明るく

Fusion画像を作成する利点は、解剖の情報が加わることによる読影しやすさの改善だと思います。背景となるT2WIが暗すぎると解剖学的な情報を得ることができません。そのため背景のT2WIは十分明るくする必要があります。

それではFusionも指導を受ける前後の画像を見比べてみたいと思います。

AfterではFusion上の病変部(前立腺)が明るく、左のDWIと右のFusionの印象が一致しています。また、右腋下の脂肪を見るとDWIのノイズ信号がわずかに見え、背景のT2WIも明るく表示できていることがわかります。

最後に

以上のポイントを押さえることで、適切なWindowとFusionの設定がしやすくなると思います。また、今回のハンズオンセッションの様子はBody DWI研究会のホームページ(http://bodydwi.kenkyuukai.jp)でも公開されているようですので、そちらもご覧いただければより詳細な情報を得ることができると思います。

最後になりますが、このような機会を与えていただいた高原先生をはじめBody DWI研究会の世話人の皆さま、事務局の皆さまにはこの場を借りて厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

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tarorin東海大学工学部 医用生体工学科 教授

投稿者プロフィール

MRIの撮像・フィルム焼き・患者導入に従事していた経験を活かし、企・技・医の中間の立ち位置を大切にしています。モットーは研究結果を中立的に判断すること、皆で研究成果を愉しむことです。

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