MRI検査時の患者のマスクについて

はじめに

現在、新型コロナウイルスの最も有力な感染経路は飛沫感染と考えられているため、感染防御に当たってはマスクの着用が最も重要と考えます。

しかし、鼻部に金属ワイヤーが入っている不織布マスクも多く出回っており、それを着用して来院した患者のMRI検査をどのように施行するかが問題となります。

患者のマスクについて

当院では当初、MRI検査を施行する際の被検査患者のマスクの対応を以下のように決定しました。

【当初の暫定的措置=主に吸着防止とアーチファクト防止】

・マスクの鼻部にワイヤーがある場合には、検査前に市販の磁石を使用して吸着の有無を確認する。

・吸着する場合は、鼻部のワイヤーは磁性体であるためマスクを外して検査を施行する。
・吸着しない場合には磁性体ではないと考え、検査部位により以下の通り対応する。

①頭部検査:マスクの上下を反転し、ワイヤー部が顎の位置になるようにして検査を施行する。
②頸部検査:ワイヤーのアーチファクトが問題となるため、マスクを外して検査を施行する。
③その他の部位

*意識がある患者/認知機能の良好な患者:事前に説明を行い、何かあれば非常連絡用ブザーを鳴らしてもらう事を説明し検査を施行する。検査中は、患者観察用モニターにて注意深いモニタリングを行なう。
*意識障害のある患者/認知機能低下患者:明確な意思表示が行なえないと考えられるため、マスクのワイヤー部と皮膚の間にガーゼを入れ、ワイヤー部が直接皮膚に接触しないよう留意し検査を施行する。検査中は、患者観察用モニターにて注意深いモニタリングを行なう。

【FDAの措置】

しかし、2020年12月7日に米国のFDA(U.S. Food and Drug Administration)より以下のような報告がされました。

The FDA received an injury report for a patient who was wearing a face mask with metal during a 3 Tesla MRI scan of the neck. The report describes burns to the patient’s face consistent with the shape of the face mask.

引用元:Wear Face Masks with No Metal During MRI Exams: FDA Safety Communication
https://www.fda.gov/medical-devices/safety-communications/wear-face-masks-no-metal-during-mri-exams-fda-safety-communication

これは、金属のあるフェイスマスクを装着したまま施行した3T装置での頸部検査にて、フェイスマスクの形状と一致した患者の顔への火傷があったという報告です。上記以外にも、この報告の中には金属(銀や銅など)を含む可能性のある抗菌コーティングなどもMRI検査施行時の火傷のリスクになると記載されています。
これを受けFDAは、MRI検査施行時に鼻部にワイヤーなどの金属のないマスクの装着を推奨していますが、現在のコロナ禍においてマスクを外すことは感染防御の観点から適切ではありません。

そのため現在当院では、MRI検査を受ける患者に対して、可能であれば検査当日は鼻部にワイヤーの無い不織布マスクもしくは布マスクを装着し来院していただくよう検査予約時に案内しています。

おわりに

もちろん案内をしたからそれで良いというわけではなく、検査前には検査室内にてワイヤーの有無を確認しています。

その際、鼻部にワイヤーがある場合には、暫定処置としてワイヤーの無い不織布マスクを渡し、そちらに交換してから検査を施行しています。

ただし患者用マスクの在庫には限りがあるため、在庫が無くなった後の対応については、その時の状況を踏まえて再検討していきたいと考えています。

依然として大変な状況が続いておりますが、新型コロナウイルス終息までは感染防御を徹底し、頑張っていきましょう。

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石川 応樹

石川 応樹

投稿者プロフィール

2000年に診療放射線技師の免許を取得し、最初は脳神経外科の病院に勤務しましたが、2001年に縁があり現在の上尾中央総合病院に勤務しています。
学生のころからMRIに興味があり、現在はDWIのコントラストに魅力を感じ、DWIBS検査に励んでいます。

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