はじめ
岡山済生会総合病院の吉村さんよりバトンを受け取りました・・・が、ペンリレーが自由投稿になったということで、
「RADっていいとも」のネタ元である今は亡きお昼のバラエティ番組の最後の出演者的な感じでありながらも、投稿が続いてほしいなと思う今日この頃です。
自己紹介
岡山大学病院の松下 利(まつした とし)と申します。
1980年に広島にて生まれ、大学院修了後に岡山大学病院(1年間)、岡山画像診断センター(9年)と経て、現在再び岡山大学病院にて勤務させていただいております。
最初の勤務当初からMRIに携わっており、下の子からは「プロトンが見える変人」といじられながら、目下変人仲間を増やすべく仲間たちと日々楽しく仕事をしております。
スタートラインの数
趣味と言えるほどではありませんが、30代半ばにピアノを始めました。きっかけは子供です。
子供が幼稚園で習い始めたのですが、家で練習するには教える人が必要だと思い、子供が持って帰ってくる教本をもとに独学で始めました。
そして、1年後には子供ともに発表会で「アイネクライネナハトムジーク」という曲を親子で連弾させていただきました。
小学校に上がってからはスポーツ少年団でソフトボールを始めたので、野球経験は皆無でしたがこれまた一緒に始め、40歳を前にウインドミルが投げれるようになりました。
その他には、フルマラソンを完走したり、語学留学をしたり。
そして今現在は、何を思ったかスペイン語の習得を目指しております。
新しいことを始めるたびにそこにスタートラインが引かれます。個人的には、そのスタートラインの数が人生をより豊かにするものであると思っていますし、決して遅きに失するものでもないと、そう捉えています。
私のこだわり
さて、私自身の仕事へのこだわりについてですが、1枚の画像・1つの検査に対するこだわり、というものはMRIをされている方であれば当然のように持たれていると思います。
いくらSNRの高いきれいな画像を撮像したところで、病変が適切に撮られていなければせっかくの検査も意味合いが薄れてしまいます。
もちろん私自身、検査の意味合いや求められているものを熟考しながら、臨床へ最大限フィードバックさせることを考えて日々の業務にあたっております。
ですが、私の仕事上のこだわりはそれだけではなく、研究発表や講演の際の「スライド」に非常に強いこだわりを持っています。
研究発表にしても講演にしても、聴きに来てくださるということはその間その人の貴重な時間を占有していることになります。
多くの場合、お金を払ってまで時間を割いてくれているわけです。
であるならば、聴きに来てくれている方を魅了するものでなければならない、と私は考えています。
内容的にも、また視覚的にも魅了させること、それが私の信条です。そのためにいくつか心掛けている事のひとつとして、私はほとんど文字を載せません。
文字は必要最小限とし、文字が必要な場合は書体やフォントサイズにまでこだわります。
和文と英文とでフォントを変えたりもします。
読んで理解できる文字ではなく、見て理解できる文字。「読む・見る・聴く・理解する」よりは「見る・聴く・理解する」の方が脳も楽ですよね。
そもそもMRIというただでさえ難解な分野の話を聞くわけですから。
・・・と偉そうに書きましたが、デザインの本やプレゼンの本を読んでたりするわけではないので上手く説明できませんが、要は、「イイ感じ」「かっこええ」「わかり易い」をいつも目指してます。
MRIがもたらした出会い
これまでにMRIを通してたくさんの方との出会いがありました。
地元の研究会から国際学会に至るまでいろいろな場面で出会いがあり、繋がり、繋がりが次の出会いを生みました。
ただ、その中でも一番印象深い出会いは、医療関係者ではなくある患者さんとの出会いです。
10年以上前の話ですが、岡山画像診断センターで勤務していた時に出会った11歳の発達障害のある男の子です。
彼にとってMRI検査は苦痛でしかなく、最初は検査室に入ることすら拒否されました。
ですが、時間をかけて彼とゆっくり会話をし、打ち解けてくれるのを待ち、なんとか検査を完遂することができました。
実はその後、その子のお母さんから手紙を頂きました。
「息子のために幼いころよりあらゆる病院を訪問してきましたが、息子にもつらい思いをさせることが多く、
私自身も肩身の狭い思いを幾度となく経験してきました。今回も検査させていただくことになり、心を痛めておりました。
けれどもあの日、息子に大変優しく声をかけていただき、無理強いをせず、ゆっくりと時間をかけて対応してくださったことに大変驚き、感激いたしました。
息子の頭を何度も優しく撫でて、一緒に頑張ろうと声をかけてくださったこと感動のあまり忘れられません。本当にありがとうございました。」
その後は他の病院で鎮静をかけながら検査を継続されることになったそうです。
その後、私自身も大学病院に移りました。
そして、今から2年ほど前になんと大学病院で親子に再会したのです。
彼は20歳を過ぎ、立派な大人になり、仕事に就いていました。
話を聞くと、「今日で終診で、最後のMRI検査なんです」と。
めぐり合わせに感謝すると同時に、10年もの年月を彼なりに頑張ってきたんだなと、尊敬の念を抱きました。
数日後に、彼から作業所で製作したマグネットが送られてきました。それは今でもMRI室で大事に使っています。
《了》
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RADっていいともでは、リレー方式の他に、自由応募も受け付けております。
自薦他薦は問いませんので、ご興味のある方はお気軽に事務局までご連絡下さい。
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