GEのMRIブースです。
Asia-PacificのCEOであるショーン・バーク(Sean Burke)さん(左)、また、毎年お世話になっている内海さん(右)と写真を撮りました。
SIGNA Voyager(ボイジャー)
- SIGNA Pioneerの1.5T版
- 70cmボア
- TDI搭載
GEは今回、1.5テスラの新しい機種として、SIGNA Voyager(ボイジャー)を発表しました。形状的には、SIGNA Pioneer(パイオニア)(3T装置)と似ていることからも分かる通り、これはPioneerの1.5T版と考えて良さそうです。宇宙探査機の名前として、PioneerとかVoyagerとかありますね。
70cmボア。Pioneerで初めて採用されたTDI(Total Digital Imaging)が採用されていて、SNRが向上しています。これは先週日本でも薬事が取れたとのこと。
SIGNA Architect(アーキテクト)
もうひとつは、まだ薬事が取れていませんが、3TのSIGNA 750wの上位後継機種として、Signa Archtect(アーキテクト)が発表されています。
いままで750wのチャンネル数は32cmまででしたが、この装置では128chまで増やせるようになっています。
↓これは新型の48ch 頭部用コイル。ちなみに(写真はとれませんでしたが後述する新しいテクノロジーにより)上と下のピースの間に、最大3cmのスペーサーを置くことが出来て、頭の小さい人には小さい空間で、大きな人には大きな空間でそれぞれ最大のQ値で撮影ができるようになっているようです。普通、こういったコイルはカップリングなどの問題があり、「大きさを変える」ことはできませんでしたがこれが可能になりました(理由は同様に後述)。
また750wでは、腹部のAnterior Coilは1つしか付けられませんでしたが、Architectでは2つ付けることが出来ます。これでWB-MRIが容易に撮れます。
SIGNA Premier(プレミア)
ここから先は、「Technology Development Display」といって、近接写真NGの場所です。
今回GEでは、「SIGNA Premier」と呼ばれる、総力を挙げて提供する予定の装置(リサーチ用)を展示していました。70cm Boreで80/200の最大傾斜磁場/Slew Rateを持っており、チャンネル数なども最大化した装置です。
AIR Technology – 革命的な超軽量フレキシブル表面コイル
そして今回の最も大きな発表は、何と言っても、「超軽量・フレキシブル表面コイル」でしょう。これは上の遠景写真で少し分かるように、「まるでブランケットのような」コイルなのです。実際に触らしてもらいましたがふにゃふにゃで、かつ超軽いものです。
- INCA conduction loop(インカ・ワイア)
- E-mode preamplifier module
という2つの革命的な部品によりできています。「INCA」はスペイン語のインカ帝国(Imperio Inca)と同じ綴りですが、どんな言葉の略号化はわかりませんでした。
写真が使えないのでスケッチで。下記のように従来型(左)では、銅でできた配線で、基盤もごついものですが、新型コイル(AIR Technology)では、青く半透明な、まるでグラスファイバーを少し不透明にした質感の、あるいはプラスチックぽいフニャフニャのワイヤがはいっていて、E-modeと呼ばれているAmplifierも非常に小さいものでした。従来が1チャンネルあたり175グラムのところ、新型は45グラムのようです。
↓この結果、こんな風に、まるで毛布のように、軽量で、フレキシブルなものを、患者さんに「掛ける」ことができます。
このコイルでとても重要な事は、従来とは異なり、かなり重なってもコイル間の干渉が起きないことです。
- Current Noise Cancelling
- Adjustable coil overlap and flexibility
- Controls both B & E
- Field coupling in conjunction with INCA wire
と書いてありました。
↑上記のように、2つのコイルをA→Dのように近づけていくと、Dでは干渉してしまって感度が無くなるのですが、新しいAIR Technologyでは大丈夫なのです。
これが何を意味するかというと、
- 沢山の素子で
- より大きなコイルをオーバーラップさせた
コイルを作れるということです。つまり、深部の感度が良い(あるいはpenetrationのよい)多チャンネルシステムができるわけですね。また、overlap量にある程度の許容範囲を生じるので、先に示した48chのヘッドコイルにスペーサーを入れられるようになるわけです。
これはスゴイ。いつ実現するのでしょうか。
Freelium Technology – ヘリウムが1/100で済むマグネット
もう一つ驚いたのが、ヘリウムが従来品に比較して、1/100で済むというマグネットです。一体どうやってこういうことができるんでしょうね。ワカリマセン!
それでも「実現したらこうなる」というディスプレイはよくわかりました。1/100ですから、クエンチしてヘリウムがMRI検査室に漏れても、大した量ではないので、安全なんですね。だから
- クエンチパイプが不要(ビル壁を通す必要がなくなる)
- 高さが低くなる(クエンチパイプが伸びないので)
ということになり、設置条件が非常に良くなります。低い天井の部屋でもOK。これも驚きました。以上、GEブースから、新型装置と、将来可能になる(かもしれない)Technology Development Displayなどをご紹介しました。
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